1968年創業の「ファンティック」は、トライアルやエンデューロ競技での活躍ぶりからオフロードのイメージが強いですが、近年はICE(内燃機関)搭載車だけでなく、「電動系」のプロダクトにも力を入れてます。今年のEICMA 2021にファンティックは、さまざまな電動の意欲作を展示して、会場の注目を集めていました。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年11月26日に公開されたものを転載しています。

あのデロルトとエネルジカとのコラボレーション!!

現在電動スクーターの分野は、国策でEVに力を入れている中国などを中心にアジア圏が最もホットなマーケットであり、電動スクーターに関するニュースはアジア圏発の話題が多いです。しかし、アツいのはアジアだけではありません。2輪文化発祥の地でもあるヨーロッパでも、各メーカーが来る電動時代に向けて着実に開発を進めています。

ファンティックが欧州最大級の2輪ショー、EICMA2021で発表した電動スクーターは、100%イタリアンメイド・・・という点が大きな特徴です。ファンティックはこの電動スクーターの開発にあたり、燃料系メーカーの名門であるデロルトとMotoE用ロードレーサー開発で著名な電動バイクブランドのエネルジカの協力を得ています。ベネト、そして"モーターバレー"と呼ばれるエミリアロマーニャには多くのICE(内燃機関)関連会社が存在しますが、電動化の波はこのエリアにも波及しているのですね。

画像: ファンティックの電動スクーター。電動モーターとインバーターは、デロルトとエネルジカとのコラボレーションにより完成した部品を搭載しています。 www.fantic.com

ファンティックの電動スクーター。電動モーターとインバーターは、デロルトとエネルジカとのコラボレーションにより完成した部品を搭載しています。

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電動モーターは3kW出力で、3つのマッピングを使いクラス分けをすることができる仕組みで、L1〜L3版(それぞれ50cc、125cc相当)を販売する計画。2,200Whのリチウムイオンバッテリーを標準装備していますが、さらにセカンドバッテリーを積むことで4,400Whまで容量を拡大することが可能で、その場合は100km以上の航続距離を発揮することができます。

画像: フレームはアルミ製シングルビームで、特徴的なトレリス構造はファンティックの人気ペデレック(電動アシスト自転車)、「イッシモ」との共通性を感じさせます。欧州に多い石畳路面などを考慮し、前後ホイールは16インチを採用しています。 www.fantic.com

フレームはアルミ製シングルビームで、特徴的なトレリス構造はファンティックの人気ペデレック(電動アシスト自転車)、「イッシモ」との共通性を感じさせます。欧州に多い石畳路面などを考慮し、前後ホイールは16インチを採用しています。

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この電動スクーターの組み立ては、ボローニャのモトミナレリ向上で行われ、その生産プロセスにも環境の持続可能性に配慮されたものになるそうです。また低メンテナンス(初回点検整備まで1万km)、維持費の優遇(保険費用50%と5年間の税免除)により、所有コストが100kmあたり約1ユーロ≒128.67円という経済性の高さも、この電動スクーターの魅力です。なお販売開始は2023年から・・・の予定ですが、日本市場にも導入されるかどうか・・・期待したいですね。

主要諸元
カテゴリー スクーターL1-L3 販売開始 2023年
寸法 全長1,834mm 全幅395mm(ハンドルバー700mm) ホイールベース 1,275mm シート高 750mm 重量(バッテリーなし)75kg バッテリー重量 12kg
パワートレイン 電動モーター 最大出力 3kW(4CV)ギアボックス 直結 ファイナルドライブ チェーン バッテリー容量 2,200Wh
シャーシ フレーム アルミ合金シングルビーム フロントサスペンション テレスコピック フロントトラベル 100mm リアサスペンション アルミ合金スイングアーム+ツインショックショック リアトラベル 80mm フロントブレーキ 220mmディスク リアブレーキ 180mmディスク タイヤサイズ フロント 90/80-16 リア 100/80-16

Eモビリティに力を入れるファンティック!

電動スクーターのほかにもファンティックは、魅力的なEモビリティをEICMA2021に展示しています。すでにファンティックは、市場にペデレック(電動アシスト自転車)とEスクーター(キックボード型)を投入しており、それぞれ高い評価を受けています。

画像: アルミ・トレリス構造のフレームが、外観上の特徴でもある「イッシモ」は、ファンティックの人気ぺデレック(電動アシスト自転車)です。EICMA2021には、「イッシモ45」が登場! 45とは45km/hの最高速を発揮する、スーパーペデレック・バージョン(L1版)であることを意味しています。 www.fantic.com

アルミ・トレリス構造のフレームが、外観上の特徴でもある「イッシモ」は、ファンティックの人気ぺデレック(電動アシスト自転車)です。EICMA2021には、「イッシモ45」が登場! 45とは45km/hの最高速を発揮する、スーパーペデレック・バージョン(L1版)であることを意味しています。

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画像: 今年の秋に発売された、キックボード型Eスクーター「TX2」。369Whのバッテリーにより、最大25kmの走行が可能。第1レベルでは6km/h、第2レベルでは20km/h、第3レベルでは25km/hと、走る場面に合わせ3段階の最高速制御が行われます。なおフル充電に要する時間は、5時間です。 www.fantic.com

今年の秋に発売された、キックボード型Eスクーター「TX2」。369Whのバッテリーにより、最大25kmの走行が可能。第1レベルでは6km/h、第2レベルでは20km/h、第3レベルでは25km/hと、走る場面に合わせ3段階の最高速制御が行われます。なおフル充電に要する時間は、5時間です。

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画像: 重量13,9KgのTX2はステアリングを折りたたみ、持ち運ぶことも可能です。総出力500Wのダブルモーター方式で、2輪駆動、または後輪駆動のみで走れるのも大きな特徴。タイヤは、8.5インチの「エアレス」タイプを装着しています。 www.fantic.com

重量13,9KgのTX2はステアリングを折りたたみ、持ち運ぶことも可能です。総出力500Wのダブルモーター方式で、2輪駆動、または後輪駆動のみで走れるのも大きな特徴。タイヤは、8.5インチの「エアレス」タイプを装着しています。

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画像: ファンティックのE-MTB、XEF1.9ファクトリー。ダウンヒルに特化したデザインを採用していますが、長年のファンティック製モーターサイクルのオフロード経験が活かされています。 www.fantic.com

ファンティックのE-MTB、XEF1.9ファクトリー。ダウンヒルに特化したデザインを採用していますが、長年のファンティック製モーターサイクルのオフロード経験が活かされています。

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黎明期はオフロード専業だったファンティックのようなメーカーにとって、電動化の波は「ラインアップ拡充」の好機にもなった・・・と言えるでしょう。今後、意欲的にEモビリティ市場に挑戦するファンティックが、どのような製品展開をすることになるのか、注目していきたいです!

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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