他にないものを積極的に使うという工夫を凝らす

空冷Zにこだわってきたルーディーズプロジェクトが、ショップの特徴と位置づけたローダウンスタイルで1994年頃に作った1台。名付けて“ボルナイト・ターボ”。ボルナイト(Bornite)とは、銅と硫黄と鉄からなる鉱石=斑銅鉱のことで、そのイメージをカラーでも表現している。

ベースとなったのはMk.Ⅱだが、ルーディーズ・永井さんはZ1にこだわってシリンダーヘッドカバーをMk.Ⅱの角からZ1の丸型に換装、タンクなど外装も丸仕様に。エンジンもMk.Ⅱで備わったブローバイ機構をキャンセル、クランクシャフトを加工(ウエブ形状がMk.Ⅱで変わったため)してダイナモもZ1化するという徹底ぶりを見せる。

もう1度全体を見ると、車体右側からは横向きにφ51mmという大径ファンネルが覗いている。反対側にはタービンとうねったエキゾーストシステムが配され、コクピットにはブースト計が加わるなど、普通のZとはここでも雰囲気が異なる。

画像: 他にないものを積極的に使うという工夫を凝らす

輸入時点で既にターボ化されていたものを、冒頭の外装総交換をはじめとして“アメリカン・デモンストレーション・ストリートドラッガー”というコンセプトの下に消化したというのが、この車両の成り立ちだったのだ。しかも見た目だけでなく、実際に軽くホイールスピンしながら発進し、さらに3速までタイヤスモークを上げながら加速していくというから、走りもド迫力。

車両にペットネームを付けるのは、身近な存在として感じられるようにという理由から。そしてないパーツは作るか、何か工夫をするか、探して賄う。その上で、きちんと走ること。じつは、カスタムに必要な要素をしっかりと押さえて作られた1台でもあった。

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画像1: Detailed Description 詳細説明

メーターはブースト計(右手前)を追加、その対称位置に油温計も加えて視覚的バランスも取る。コード/ホース類はシルバーorレッドのチューブでカバーし視覚効果を高める。アッパーブラケットはBe-Oneによる削り出し品で、左右マスターシリンダーは当時大流行したRC30用を使う。

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エンジンはZ1000Mk.Ⅱをベースに[STD値:1015→]1105cc化して圧縮は下げ、ピストン裏側への肉盛りで耐爆発力を高めるなどの加工がされた。本文のようにクランク加工、ダイナモ加工、ヘッドカバー交換等でZ1に寄せたのも特徴。クラッチはオリエントエクスプレス製ロックアップタイプだ。

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ターボと排気系は当時定番だった、アメリカのミスターターボ製。圧縮新気はインテーク部直前で滞留させて各気筒に吸入される。

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スイングアームはSTD比100mmロングの角型スチール、フロントはノーマルφ36mmフォークにWPスプリングを組んで、今で言う足まわり強化とロング&ローを実現。ホイールはアルミスパンのパフォーマンスマシン製シケインをブルーアルマイト加工。サイズは前後とも18インチだ。

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フレームは6カ所を補強。またキャスター角はチョッパーの手法でノーマルから5度寝かせた30度にして、直進安定性を高めていた。

取材協力:ルーディーズプロジェクト(活動終了)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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