近年流行の150~160ccクラスのオートバイ。原付二種なら維持費を安く抑えられるが、この排気量帯には高速道路を走れること以外にメリットはあるのだろうか。125ccもラインアップする「NMAX」の155ccモデルで、約1週間352km走ってみて分かったことをお伝えします。

ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

画像: YAMAHA NMAX155 総排気量:155cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒 シート高:765mm 車両重量:128kg メーカー希望小売価格:税込38万5000円

YAMAHA NMAX155

総排気量:155cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
シート高:765mm
車両重量:128kg

メーカー希望小売価格:税込38万5000円

片道約30kmの通勤の相棒に、1週間ほど付き合っていただいたNMAX155について感想を綴っていきます。

私の通勤路は日本屈指の渋滞路であり、都市部に向かう大動脈的な都心ブチ抜きエリアとなり、そこで見かけるオートバイは終日125ccを中心としたいわゆる原二(第2種原動付自転車)が大半を占める。軽快さ抜群の俊敏性、そして維持のしやすさなどを鑑みると、原二は通勤を始めとした都心を駆け巡るために存在するように思えてならない。

都心部に通勤する私も、例に漏れず原二オーナー。我ながら問答無用のベストチョイスと言えるでしょう。しかし、他にも250やナナハンの車両を持ち、時間帯や行き先によって使い分けるといった、贅沢なオートバイライフを送っています。

全くもって余談ですが、カミさんのバイクと2人の息子の車両も合わせ、家の前がオートバイで溢れかえり、駐車スペースの問題でクルマがコンパクトな軽自動車にサイズダウン。近ごろはバイク優先の自宅前事情となっています。

画像1: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

さて、期間限定で相棒となるNMAX155は、155ccで高速道路も走行可能な立派な軽二輪(二輪の軽自動車)。通勤スペシャルな原二とは一線を画す兄貴的存在でしょう。125ccのNMAXの骨格や外装を共にする一卵性双生児のようであり、完全なるアップデートモデルとも言えます。

561ccのTMAX560を頂点に、単なるコミューターではなく超コミューターであることを謳うMAXシリーズ。上等な雰囲気をまとい、普段の通勤路において周りの原付二種と比べると、ワンランク上の質感で悦に入ってしまいますね。

画像2: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

ボディメイクは派手さを抑えているものの、余計な装飾などの駄肉がなく、低くスマートな出で立ちは高い運動性を連想させます。事実、原二とほとんど変わらないサイズ感や重量は、軽快そのもの。

原二譲りの低速でのクイックリーな回頭性も活きているので、特殊なクランク走行が必要となる場面や、瞬発的な寝かしこみにも淀みなく対応可能。車両運送法区分はビッグスクーター(250cc)と同じなものの、それらと比較するのも可笑しなほど原二寄り、いやむしろ完全に原二の取り回しの良さが輝きまくる。

原二のサイズ感で高速道路走行を可能にするパワフルな155ccエンジンの組み合わせに違和感はないのか? 試乗前にはシンプルにそんな疑問を抱いていたが、ハッキリと断言出来ます「バランスを崩すことは一切ない!」それどころか、コンパクトなサイズ感を連想させない高い剛性感を誇る骨格と、強靭な足まわり、そして強力な制動力を備えています。

125ccベースにアップデートではなく、155ccの車両として均衡をとって仕立てられたと見受けられる。なので、「超コミューター」といったMAXシリーズのコンセプトが、ソリッドかつダイレクトに活きていると言えるでしょう。

画像3: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

私の通勤路といえば、ストップ&ゴーが繰り返される市街地となるので、永遠と繰り返される加速と減速に上質さと快適性を求めてしまいます。ただ漫然と安全に走行するのではなく、せっかくオートバイに乗るのであれば毎回、瞬間瞬間を楽しみたい。ワクワクしたいじゃないですか? そんな私を含めた「通勤でもワクワク民」も納得のパフォーマンスに満ち溢れていますよ、NMAX155は。

ダッシュ力は感激もので、原二を遥かに置き去りにし、マニュアルミッションの上位排気量車であっても最高速(法定速度内の)到達時間は引けを取ることはないでしょう。停止状態から、はたまた低速状態からの加速のパンチ力たるや、同等のサイズや排気量では抜きん出ている気がします。

表現として適切かどうか悩みますが、その圧倒的加速力は優越感に浸れるもの。しかも、強力な加速中でもエンジンは高回転でシャカリキになっている感じはなく、穏やかに淡々と速度をノせていく雰囲気はジェントルであり、余裕を感じるポイントです。

画像4: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

そんな、ダッシュ力だけに物言わせているだけではないのが、NMAX155の凄み。優雅な走行にもシットリと応えてくれる器用さや引き出しの多い出力特性を備えています。

この点は、『「走りの楽しさ」と「燃費・環境性能」の両立を高次元で具現化させる、ヤマハ独自のエンジン設計思想“BLUE CORE(ブルーコア)” 』エンジンの賜物か。また、速度を増していく過程においても、ただ単一的に加速して最高速で頭打ちするだけではなく、欲する加速力や速度を解釈し演出してくれる頭脳的な一面もあり、フレンドリーさを超えた「考え導く」といった奥深い能力を秘めている……ように感じます。

画像5: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

無駄なエンジン回転上昇を抑えた定速走行時、例えば単調となりやすい高速道路走行時には、ゆったりと重厚感のあるトルク感を演出し、頼もしさと快適性が光る。クローズドコースで試したところ最高速は、メーター読みで120km/hを確認。体重82kgの私の場合、体をかがめつつかなり距離を有しますが。

120km/hを維持し続けることは難しいものの、100km/h以上での巡航は無難にこなし、そこからの加減速もフレキシブルに対応。私が高速道路で欲する性能は十二分に発揮してくれるので、所有したら通勤用に特化したサブマシンではなく、休日やツーリングも共にするメイン車にさえなり得る。

画像6: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

今一度フットワークに焦点を合わしてみたい。街乗りでの軽快なフットワークは、82kgの私の体重を鑑みると、かなりスポーティな部類に入る印象で、乗り手によっては硬質な足回りと捉えられるかもしれません。

前後共にショックアブソーバーの極めて初期の沈み込みのみソフトな動きを見せるものの、強い反発感と強いコシがある印象で、体重の軽い方が大きめの路面のウネリやバンプを通過した際は車体全体で跳ね返る傾向があるのかも。これは、軽量な車体と走行条件(二人乗りや高速道路走行)を考慮した設定による、合併現象ではないのかなと思います。

とはいえ、私は約1週間352kmを走行して常に快適で、週末のトラベルプランも練りたくなるような、ご機嫌な乗り心地かつ自分好みの設定でした。

画像7: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

「軽快なフットワーク」というと、ある種乗り手の趣向や一方向の評価になりやすいが、私はこの表現に安定感や高い制動力や安心感も含めているとお伝えしたい。NMAX155と付き合った一週間で改めてそう感じた次第です。

大径の13インチホールやサスペンションによって速度域を選ばず寝かしこみの安定感を生み、前後ディスクブレーキによるキメ細かいコントロール性とストッピングパワーなど、それぞれが絶妙なバランスを生み、トータル的に車両の持つポテンシャルを向上させているように感じます。

画像8: ヤマハ「NMAX155」通勤インプレ

コミューターならではの懐の深さがありつつ、専用設計のスポーツマシンのようなストイックなアスリート気質の顔も垣間見える。リッチに思えるMAXシリーズのコンセプトを裏切らないNMAX155は、メインマシンの嗜好性とサブマシンの使い勝手の良さを併せ持つ、奇跡の一台と言っても過言ではないでしょう。

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