2021年3月23日21時、電動バイクに関する注目のプロジェクトがトライアンフモーターサイクルズより発表された。

トライアンフ製の市販電動モーターサイクル開発が目標

世界的に知られるオートバイメーカーの「トライアンフ・モーターサイクルズ」をはじめ、「ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング」、「インテグラル・パワートレイン」、「ウォーリック大学」という、イギリスの産業界・研究機関をリードする企業や研究機関がコラボレーションし、イギリス政府のゼロエミッション車局の資金提供によって2019年から進められている「TE-1プロジェクト」。

イギリス製電動モーターサイクルにおける新たな可能性の創出、ひいてはトライアンフの将来的な電動モーターサイクル開発を目指したプロジェクトだ。

画像1: トライアンフ製の市販電動モーターサイクル開発が目標

「TE-1プロジェクト」は将来の革新的な電動モーターサイクル開発のため、イギリスにある高度な技術やノウハウを統合。電動4輪レースの最高峰・フォーミュラEにバッテリーを供給してきた「ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング」は革新的なバッテリー制御システムや車両制御ユニットを、「インテグラル・パワートレイン」のe-Drive部門は電力密度の高い独自のモーターとSiCインバーターを、「ウォーリック大学」は将来的な市場ニーズに基づいたモデリングとシミュレーションを通じ、電動化の専門知識、研究開発から商業化への発展を推進する重要なビジョンをそれぞれ提供。

そしてトライアンフは、先進的なオートバイの開発から量産化までに必要となるノウハウ、そして機能安全システムという面でプロジェクトに参加している。

画像: TE-1プロジェクト・パワートレインプロトタイプ

TE-1プロジェクト・パワートレインプロトタイプ

画像: ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングはバッテリー&管理ソフトウェアを担当。重心、スペースに配慮しながら、出力、エネルギー効率の点で現在市販されているどの製品よりも優れているという。

ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングはバッテリー&管理ソフトウェアを担当。重心、スペースに配慮しながら、出力、エネルギー効率の点で現在市販されているどの製品よりも優れているという。

画像: インテグラル・パワートレインの手がけたパワーユニット。モーターとインバーターを一体化する独自の構造を採用。最高出力130kw(約180hp)を発揮しながら、重量は僅か10kgと非常に軽量。

インテグラル・パワートレインの手がけたパワーユニット。モーターとインバーターを一体化する独自の構造を採用。最高出力130kw(約180hp)を発揮しながら、重量は僅か10kgと非常に軽量。

そして先ごろ「TE-1プロジェクト」は、当初設定されていた4つのフェーズのうち、2つまでをクリアしたことを発表した。

フェーズ2で製作されたパワートレインプロトタイプの、バッテリーを含むパワートレインとしての性能が、英国自動車協議会が2025年に向けて設定した目標を上回るテスト結果を達成してプロジェクトの目標をクリア。電動バイクの性能における新しい基準を打ち立て、そしてバッテリーとパワートレインのパフォーマンスなど、次のフェーズで製作される電動モーターサイクルの目標が確立されたという。

そして「トライアンフ・モーターサイクルズ」は、直感的なスロットルレスポンス、回生ブレーキ、トラクションコントロールなど、ユーザーが求める高い性能とスポーティなライディングを支える、全く新しい車両制御ソフトなどを開発。さらにパワートレインプロトタイプにも使用された、メインフレームをはじめとするプロトタイプ用シャシーもデザインした。

画像2: トライアンフ製の市販電動モーターサイクル開発が目標

このシャシーは、フェーズ3でさらに進化するバッテリーとモーターに最適化された後、フェーズ4でテスト用プラットフォームとして使用される予定。今回の発表では、完成車のコンセプトデザインも初公開されている。

画像3: トライアンフ製の市販電動モーターサイクル開発が目標

トライアンフのCEOであるN・ブルーア氏は「TE-1プロジェクト」について、「ライダーがトライアンフに求めるものを提供することに極限まで焦点を当てた、将来的な電動モーターサイクル戦略の基盤の1つ。 パフォーマンス、ハンドリング、扱いやすさにおける完璧なバランスを、トライアンフらしく実現したい」と述べている。

ゼロエミッション化が叫ばれる昨今、一般ライダーの電動モーターサイクルへの注目も高まりつつあるだけに、イギリスが国を挙げて進める「TE-1プロジェクト」、その今後の動向にも注目していきたい。

まとめ:小松信夫

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