守備範囲が広いことは『バイクの自由』に直結する
乗り手の年齢も性別も、運転スキルさえ問わない。
どんなライダーでも受け入れる度量の広さで言ったら、ホンダCB400SF(CB400 SUPER FOUR)の右に出るバイクは多くないでしょう。
【中編】からの続きです
しかも、ただ『受け入れるだけ』じゃない。
CB400SFはきちんと高い満足と納得をライダーに感じさせてくれます。
この守備範囲の広さは、ある意味どんなスペック上の高性能よりも素晴らしいものです。
高速道路でのフィーリングについては、先にお伝えした通りですが、CB400SFのスゴさはまだまだそんなもんじゃありません。
その理由は、むしろ高速道路を降りてからのほうが本領だからです。
穏やかな空気の中で『CB400SF』は黒子に徹する
例えば静謐な古き良き日本の街並みの中を走る時。
その時のCB400SFは限りなく存在を感じさせません。
気になる場所でちょっとバイクを停めるときは、狙い通りにスウッと優しく止まる。
扱いやすいブレーキが威力を発揮するのは、何もスポーティに走るシチュエーションだけじゃないんです。
スピードを出さず、ゆっくりと走る。
バイクは低速走行時が最も不安定になる乗り物ですけど、CB400SFは優しくありつつ、不安なく発進します。
狭い路地でのタイトな左折も、先にも言った狙い通りに止まれるブレーキも。
ライダーがバイクから意識を離して、外の世界に興味を向ける時に、それを完璧にサポートする。
旅を楽しむための『黒子』として、最上級の仕事をこなしてくれます。
バイクでの旅は本質的に『自由なもの』ですよね。
でもその中で、相棒たるバイクに気を使ってばかりじゃ楽しめません。
つまり、ゆっくり走る時のサポート力も、CB400SFは一流のレベルにあるっていうことです。
もちろんそれは、高原の道をじっくり流す時も同じ。
時速40~60kmの速度で、大自然の中に溶け込むようなシチュエーション。
そういう時もこのバイクは、最高の解放感を乗り手に満喫させてくれます。
ライダーの感じる自由を邪魔しない。CB400SFはその点において徹底しています。
ワインディングでの『CB400SF』は別の顔
ただし『のんびりだけ』じゃないのがホンダの傑作CB400SFです。
ワインディングに持ち込めば、それまでの控え目な姿勢から一変。
大型スポーツバイクに乗り慣れたライダーでさえも舌を巻くようなパフォーマンスを披露するんです!
真に本当に恐るべきは、そこにあります。
スタイリングは純粋なネイキッドで、スポーティなフルカウルを纏っている訳でもないのに、スポーティさを売り物にするバイクに匹敵、もしくはそれ以上のスポーティさで走れてしまうこと。
街中や旅で感じた『狙い通りに操れる』という感覚が、ワインディングのコーナーでもそのまま変わらない……
バイクを走らせる醍醐味の大きなもののひとつに『操る楽しみ』というものがあります。
その気になれば時速100kmなんて軽く超えてしまう動力性能を持った『バイク』という乗り物をイメージ通りに操ること。そして、その中で風を切って駆け抜けること。
ツーリングや街乗りでも快適なのに、スポーティなシーンでも、完璧な仕事をこなす。
守備範囲が広すぎて、逆に呆れるほどです。
CB400SFは深くバイクを寝かせていくようなシーンでも、前後サスがきっちり路面をトレースしていることが感じられます。
走り方としては、前後輪のどちらかに頼るような乗り方ではなく、前後タイヤに均等に路面を捉えさせるような軽量級バイクに近い走りのイメージ。
バイクを走らせる基本に忠実に動かせば、どこまでもCB400SFが応えてくる。
底が知れない、とはこのことです。
CB400SFのようなバイクは他にない
何かに特化すれば、何かを失う。
バイクっていう乗り物には、そういう側面が存在します。だけどそれは、ホンダのCB400シリーズだけには当てはまりません。
万能、なんていう言葉じゃ到底足りない。
ホンダというメーカーが28年もの歳月をかけて、ひとつのバイクを熟成させると、こういう奇跡が生まれるんです。
(下に続きます)
世界中のどんなライダーも、CB400SFっていうバイクに乗る機会があれば、きっと感動することになる。
すべてのバイク乗りを自由に解き放って、あらゆる夢を叶えてくれる。
ホンダCB400SFって、やっぱり他に並ぶものがない、真の傑作バイクだと思います!
【文:北岡博樹】