水冷カワサキを試したくて乗り、同系車のアドバイスにつなげる
カワサキのZRXシリーズは現代国産ネイキッドの代表的モデルであり、’70~’80年代の旗艦的バイクが持っていたオールラウンド性能を持ち合わせた、今となっては希有なモデルとなった。
街乗りにも長距離にも高速道路にも使えて、タンデムしても荷物を積むにしても使いやすい。さらにはGPZ900R系という系列互換性の高さを含む豊富なパーツ群によって、自在にカスタム化できてしまう。
そして、シリーズも1100/1200/DAEGと3系統があり、それぞれに特徴を持つ。だからいじり方、使い方は本当にさまざまだが、それゆえに、何をどうすればいいのかという贅沢な悩みも生じてしまう。
そこでこの車両だ。大型量販店とカスタムショップのふたつの顔を持つ、愛知のしゃぼん玉。幅広いお客さんのうちZRXのユーザーは多い方で、カスタムを依頼する向きも多い。その理由のひとつは、代表の滝川さん自身がZRXを所有していることで、ここに紹介の車両はその滝川さんの愛車だ。
「元々はカワサキの水冷車に乗りたかったんです。メカニック業をしていた頃でしたが、候補はGPZ900Rと、出て間もなかったZRX1100。今もそうなんですけど、自分としてはとにかくバイクとクルマのチューニングが好きで、手を入れた結果を知りたくて、その時に新しいというか以後の可能性が高そうな方を選んだんです。それが1998年のこと」と滝川さん。
その時に手に入れたZRX1100は2019年末の現在、20年超もの間、所有し続けて、写真はその最新の姿だ。今までにエンジンは3基。マフラーやホイール、サスもさることながら、換えていったパーツは切りがないほどに多い。今付いているものはひとつひとつ試した結果選ばれたもので、それぞれに意味があるのだと言う。
「当時からエンジンパーツもピストンやカムもたくさんありましたし、バルブスプリングもZZR1100用などが使える。車体側もアフターパーツを含めて、とにかくある。そうしたパーツを使ってどう変わるか。追い求めたのは本当にそこなんです。後にしゃぼん玉に入社するんですが、このバイクでやってきたことは以後の車両カスタムに結構、応用できました」。
「このパーツはお勧め、このパーツはルックス。お客さんの乗り方や使い方も聞いてこっちが合うな……とか、ここも換えておくとこのパーツが生きてきますよなんてことも、考えたり話すようになってきましたけど、それも全部乗ってきた、使ってきたからじゃないかと思います。その点で自分のZRXは有用でした」
今も自分が納得して使いたい内容でチューンされ、パワーもディメンションも、サーキットでも快走できるようになっている。
「それならばスーパースポーツを買えば(笑)なんて思われもするでしょうが、好きなバイクでやるのが楽しいんですよね」と滝川さんは続ける。
上限まで振った上で改めて公道での用途も考えているというこの車両。そのノウハウはしゃぼん玉でのピットサービスや、店内に豊富に並んだ販売パーツ群からも感じ取れるはずだ。