僕は清成こそ日本のトップライダーだってずっと思ってるんです(伊藤真一)

全日本ロードレース開幕を4月はじめに控え、徐々に、少しずつですが2020年シーズンの参戦チームが固まってきました。
2020年シーズンは、昨年まで10シーズン続いたJ-GP2クラスが終了となり、新たにST1000クラスがスタート。これは、従来のJSB1000クラスよりも改造制限が厳しく、ストッククラスと呼ばれる、よりノーマルに近いマシンで戦うクラスとなります。タイヤはダンロップのワンメイク。

実は2020年の全日本ロードレースは、まだ正式発表はないものの、すでに本誌でもお知らせしたとおり、TeamHRCとカワサキTeamグリーンが参戦を取りやめます。さらにヨシムラスズキも全日本ロードレースへのフル参戦を中止。ヤマハだけが同じ体制で継続参戦してくれますが、これは、正式発表があり次第、きちんとお知らせします。何言ってんだ、ウチはやめないよ、ってことになりましたら、全力で倍返しくらい告知活動をいたします!

それでも、きちんと2020年の発表をしてくれたチームも。
まずは本誌2月号でもお知らせした、ハルクプロHondaのJSB/ST1000クラス。JSB1000クラスには水野涼が継続参戦し、2019年J-GP2クラスチャンピオンの名越哲平がJSB1000かST1000クラスのどちらか、同じくJ-GP2クラスランキング2位の榎戸育寛がST1000クラスに参戦します。
そして、新チーム結成も発表されました。それが、コハラレーシングとTeamRSC高武を母体とする、ケーヒン ホンダ ドリームSIレーシング!
キャブレターやインジェクションでおなじみのケーヒンをメインスポンサーとしたSI、つまりシンイチ・イトウのレーシングチーム。本誌「ロングラン研究所」でもおなじみの伊藤真一がチーム監督を務める新生チームです!

ライダーは、2019年にWSBKに参戦していた清成龍一が2年ぶりに全日本ロードレースJSB1000クラスに復帰します。さらにカワサキTeamグリーンで3シーズン戦った渡辺一馬もJSB1000へ。さらにST1000クラスに、昨年までTeam高武からJ-GP2クラスを戦っていた作本輝介も加入。2クラス3台が全日本ロードレースにフル参戦するのです。

ご存知の通り、伊藤さんとケーヒン、コハラレーシングといえば、2006年から「ケーヒンコハラレーシング」として全日本JSB1000クラスに参戦。結成初年度にシリーズチャンピオンも獲得しています。チームが終了してからも伊藤さんとケーヒン、そして小原さんのおつきあいは続いていたそうで、いつかまた一緒にやりたいね、なんて話していたそうなんです。

「実は19年の鈴鹿8耐でもパーソナルスポンサーとしてサポートしてもらっていて、その報告にケーヒンさんに伺った時に『また一緒にやりたいです』ってご挨拶したんです。それが2019年のシーズンオフ頃かな、具体的な話になって。また応援していただけることになりました」と伊藤さん。
ライダー選定の段になっては、伊藤さんが思うチームに、3人がすぐに思い浮かんだ、といいます。

「いまはヤマハの中須賀君が全日本のトップにいますけど、僕は清成こそ日本のトップライダーだってずっと思ってるんです。さらに一馬も、かつて違うクラスとはいえ一緒に小原さんとやっていたことがあるし、次世代のチャンピオンだと思ってる。作本はJ-GP2のライダーですが、昨年も鈴鹿8耐を一緒に戦ったライダー。清成と一馬が互いに刺激しあって、ふたりで争ってくれて、それが優勝争い、チャンピオン争いになるといいですね」(伊藤さん)

画像: まだカラーリングも施されていないニューCBR1000RR-R。ケーヒンさんをメインスポンサーに、auテルルのピーアップもサポートします

まだカラーリングも施されていないニューCBR1000RR-R。ケーヒンさんをメインスポンサーに、auテルルのピーアップもサポートします

画像: ※車両は海外仕様のスタンダードバージョンです

※車両は海外仕様のスタンダードバージョンです

マシンはホンダのニュースーパースポーツ、CBR1000RR-R。もちろん、まだ発売もされていないし、ライダーみんな乗ったこともないマシンですが、ホンダ渾身のブランニューモデル、期待値はぐんぐん上がります。
「ぼくはWSBK、イギリスと海外経験もあるし、もうベテランと呼ばれるライダーになっちゃったので、その経験を若いふたりに伝えてあげたい。もちろん、一馬と競り合って、その結果ふたりで成績を出せたらいいし、もちろんチャンピオンをねらっていきます」とは清成龍一。

画像: ゼッケンはまだ仮、申請中ですが17と33を使いたいそうです 17はGT走ってるケーヒンNSXと一緒ですね

ゼッケンはまだ仮、申請中ですが17と33を使いたいそうです 17はGT走ってるケーヒンNSXと一緒ですね

「カワサキで3シーズン勉強してきたことを成績に出したいです。ニューマシンはまだ乗ったことありませんから、ポテンシャルがどういうものなのかはわかりませんが、ホンダのスーパースポーツのすごさは分かっているつもりだし、1年目からチャンピオン争いがしたいです」と渡辺一馬。

画像: 伊藤真一53歳、作本輝介23歳 親子でもいい年齢差の監督とライダー、うまくいきそう^^

伊藤真一53歳、作本輝介23歳 親子でもいい年齢差の監督とライダー、うまくいきそう^^

「J-GP2からステップアップすることになるんですが、まだマシンに乗ったことはないとはいえ、不安は特にないです。僕の出るのはST1000という新クラスなので、どんなライダーがいるのかわからないし、8耐で乗ったことがあるとはいえ、初めての1000ccマシンだし、ダンロップタイヤも初めてです。初めてづくしですが、最初から新クラスをリードしていきたい」と作本輝介。

ニューマシンCBR1000RR-Rは、デビュー前から世界が注目しているマシン。けれど、デビューシーズンということもあって、レーシングマシンとしてのポテンシャルは未知数。まだJSBキットすら出来上がってきていないし、まずはレーシングマシンの形にするのが先決、という状態です。
もちろん、そこはコハラレーシングの小原斉さんがついてます。伊藤さんと小原さんの付き合いは、たしか伊藤さんが全日本にデビューした年からの付き合いのはず。当然、当時はGP500クラス。
小原さんはその後、エディ・ローソンを担当してWGP500チャンピオンになり、ルカ・カダローラと2年連続WGP250チャンピオンになった名伯楽。ニューマシンのハンディだって、イッパツで吹き飛ばしちゃうかもしれません。

「まだマシンが来ていないし、テストもしていない状態なのは不安ですが、2月くらいにはテストを走り出したいですね。ケーヒンさんと伊藤とは長いし、一馬だってウチで走ってた時期があるライダー。いいチームになったと思いますよ。伊藤は監督、僕は…なんだろテクニカルディレクターかな。全日本はもちろん、鈴鹿8耐にも力を入れていきたいチームなんで、最初はバタバタでしょうが、早く軌道に乗せないとね」と小原さん。

ゆくゆくはアジア、そして世界へと飛び立つライダーを育てたい、という伊藤さん。
「せっかくの新チーム、ケーヒンさんと一緒になって、5年10年という長い活動をしていきたい。僕が考えるチームは、GT選手権のケーヒンさん。ビッグチームだし、強いし、カッコいいんだ。マシンとかピットのつくりとか、活動すべてがね。そういうレーシングチームにしていきたいな、と思ってます」(伊藤さん)

ちょっと明るい話題が少ないかもしれない全日本ロードレースに、明るい話題となりました。ケーヒンHondaドリームSIレーシング、注目したい、応援したいですね!

画像: ライダーコーチやアドバイザー経験はあっても、監督初体験の伊藤さん 「監督の仕事は未知数。サーキット以外の仕事だってあるしね。どっちかっていうとライダー寄りの監督になるんじゃないかな」

ライダーコーチやアドバイザー経験はあっても、監督初体験の伊藤さん 「監督の仕事は未知数。サーキット以外の仕事だってあるしね。どっちかっていうとライダー寄りの監督になるんじゃないかな」

写真/ケーヒンHondaドリームSIレーシング 中村浩史 文責/中村浩史

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