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第17回「Z2なんて誰も興味ナシ」
「苦情ハガキは『ヘルメットを被れ』、『Z2って何? そんなの知らない』、『作者はバイクを理解していない』等々。
言われてみれば研二はノーヘルです。中学生や高校生の読者はZ2なんて知らないし興味もないでしょう。担当が提案します。『研二にヘルメットを被らせバイクも今風のヤツに乗り換えさせよう』と。
断りました。『自分が高校生の時はノーヘルが当たり前だったし、漫画だから別に』と。『じゃあ、バイクだけでも換えよう。Z2なんて読者は誰も興味を持ってないぞ』と。
『誰も興味を持っていない』。これは本当でした。83年にZ2に興味を持つ人なんて皆無でした。かつて乗っていた人でさえ『今さらZ2なんて』でした」。
「Z2に拘っているとバイクブームに乗り遅れる。その通りだと思いました。でも拘っていただけではないんです。Z2だと隅から隅まで知っているから早く描けるんです。
バイクやクルマはアシスタントではなく自分で描きます。これは今もそうです。だから好きなモノで早く描けるモノがいいんです。
『Z2に興味を持つ人はいない』と忠告を受けている時、僕はもう一つの『Z2に乗る主人公』を描きます。
83年春。ヤングマガジンで『J物語』スタート。ヤンマガは隔週誌ですからマガジンと合わせて月に6回の締切。テーマは『黒いZ2に乗るJと呼ばれる時代遅れの不良』。『ララバイとは違うZ2』でしたが、2本の連載は無謀で、三たび原稿をオトします」。
人気があるわけでもないZ2をメインに据え続け、席巻するバイクブームに背を向け、己の描きたいものを貫く。だが、月6回の締切は過酷で、またもや原稿をオトした楠先生の奇策とは…!?
(以下、第18回「もう一度、Z2に乗ろう」をお楽しみに!)
過去の回はこちらからご覧いただけます。
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