TZR250を基とする並列2気筒を独自のスチール製フレームに積むネイキッド

画像1: TZR250を基とする並列2気筒を独自のスチール製フレームに積むネイキッド

1990 R1-Z/3XC1

画像: 1990 R1-Z/3XC1

1990 R1-Z/3XC1

全長/幅/高:2005/700/1040mm
シート高:775mm
車軸距離:1380mm
車体重量:133kg(乾)
燃料消費率:34.0km/L
エンジン:水冷2サイクル二気筒
総排気量:249cc
最高出力:45ps/9500rpm
最高トルク:3.7kg-m/8500rpm
変速機:常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ:前110/70-17(54H)・後140/70-17(66H)
スプロケ: 前14|後45
チェーン :サイズ520|リンク114
発売当時車体価格:48万9000円(税別)

TZR250でレーサーレプリカ路線を突き進む一方で、ヤマハはさほど構えずに乗れる2サイクルスポーツを生み出した。R1-Zである。

初期型は1990年6月に発売、3XC1の機種コードNo.を与えた。価格は48万9000円で、白と黒の2色から選べた。

画像2: TZR250を基とする並列2気筒を独自のスチール製フレームに積むネイキッド

並列2気筒をカウルを持たない車体に積む外観はRZ250シリーズを思わせるが、エンジンは1988年型までのTZR250が積むクランクケースリードバルブが基に開発(RZはピストンリードバルブ)。

画像3: TZR250を基とする並列2気筒を独自のスチール製フレームに積むネイキッド

エンジンを上から抱え込むトラス構造のフレームは、左右レールの間隔を広くすることで高い剛性を獲得。着脱式のアンダーチューブを備え、構造的にはダイアモンドではなくダブルクレードルだ。

画像4: TZR250を基とする並列2気筒を独自のスチール製フレームに積むネイキッド

1991年9月登場の3XC2では、フレームを強化、ハザードランプを追加。1992年12月に発売された3XC3は、新しい馬力規制に適合、エンジン懸架部を見直し、ラジアルタイヤを採用した。

R1-Z(3XC1)1990年 DETAIL

画像: フレームは専用設計で、長さの異なる複数のスチールパイプを組み合わせてトラス状としている。写真では取り外されているが、着脱式のアンダーチューブを備える。

フレームは専用設計で、長さの異なる複数のスチールパイプを組み合わせてトラス状としている。写真では取り外されているが、着脱式のアンダーチューブを備える。

スイングアームピボットを持つ部分をアルミ製カバーで覆い隠す構造で、2型となる3XC2では、同プレート内側を2枚のスチールプレートを接合したモナカ構造から3重構造に変更。

これによりフレーム全体での剛性は、ねじり方向に10%、横方向に20%高められた。

画像1: R1-Z(3XC1)1990年 DETAIL

水冷並列2気筒は、1988年型までのTZR250が搭載するエンジンをベースとしており、56.4×50㎜のボア×ストロークより249.8㏄の排気量を得るのは共通。排気ディバイスのYPVSも装備する。

画像2: R1-Z(3XC1)1990年 DETAIL

ミッションは同様に6段だが、1/2/6速の変速比を改めることで立ち上がり加速や低中回転域での扱いやすさを高めている。キャブレターは2㎜小径なφ26㎜に換装された。

画像3: R1-Z(3XC1)1990年 DETAIL

車体右側に2本のサイレンサーを並べる排気系が独特な外観を生み出している。チャンバーはフロント部で交差させる構造として1本あたり5.6ℓという大容量を確保。

画像4: R1-Z(3XC1)1990年 DETAIL

エンジン真下の太い部分を円形断面として滑らかな排気を実現。バンドで上下に並べられる細身のサイレンサーは外筒にカーボンを使う。

画像: YEIS:ヤマハエナジーインダクションシステムで、左のエアクリーナーボックスに入った空気はキャブレターを通過。吸気ポートの直前にチャンバーを配し、リードバルブの開閉に伴って生じる混合気の断続的な流れを均一化して滑らかな吸気を狙う。

YEIS:ヤマハエナジーインダクションシステムで、左のエアクリーナーボックスに入った空気はキャブレターを通過。吸気ポートの直前にチャンバーを配し、リードバルブの開閉に伴って生じる混合気の断続的な流れを均一化して滑らかな吸気を狙う。

画像: 排気ディバイスYPVSとポンプを連動させ、オイルの供給量を調整する機構で、スロットル開度と回転数で制御、消費量を低減させる。

排気ディバイスYPVSとポンプを連動させ、オイルの供給量を調整する機構で、スロットル開度と回転数で制御、消費量を低減させる。

画像: メーターは左に速度計、右に回転計を配する2連タイプで、これらを支持するアルミプレートに各種の警告灯を並べる。ハンドルはアルミのセパレートで、クランプ部はトップブリッジ上方にあるので乗車時に上半身が前傾する度合いは強くはない。

メーターは左に速度計、右に回転計を配する2連タイプで、これらを支持するアルミプレートに各種の警告灯を並べる。ハンドルはアルミのセパレートで、クランプ部はトップブリッジ上方にあるので乗車時に上半身が前傾する度合いは強くはない。

画像: スイングアームは、59.2×30㎜でオーバル断面のスチールパイプを左右レールに使用、上部にサブフレームを与える。フレームを強化した1991年型では、スイングアームの剛性も高めた。

スイングアームは、59.2×30㎜でオーバル断面のスチールパイプを左右レールに使用、上部にサブフレームを与える。フレームを強化した1991年型では、スイングアームの剛性も高めた。

画像: フロントブレーキは、φ282㎜フローティングディスクと対向式異型4ピストンキャリパーをダブルで組み合わせており、諸元上は同年式のTZR250と共通だ。正立式フロントフォークはφ38㎜のインナーチューブを使用、プリロードのみ調整できる。

フロントブレーキは、φ282㎜フローティングディスクと対向式異型4ピストンキャリパーをダブルで組み合わせており、諸元上は同年式のTZR250と共通だ。正立式フロントフォークはφ38㎜のインナーチューブを使用、プリロードのみ調整できる。

1990年に発売された最初期モデルはブラック2とシルキーホワイトの2色を用意。同年9月にはビビットレッドカクテル1を追加。以上の3カラーとも機種コードNo.は3XC1となる。

1991年9月発売の3XV2で、フレームの着色方法を電着+静電塗装に変更、スイングアームピボットを備える部分の構造を改めるなどで剛性を向上。ハザードランプを追加するなどの小変更を実施。写真のシルキーホワイトとブルーイッシュブラック2の2カラーから選べた。

1992年12月にリリースされた3XC3で、馬力自主規制の強化に対応して最高出力を40psに抑える、ラジアルタイヤを採用、エンジンマウントを見直すなどの改良が行われた。この3XC3は、ヤマハが2サイクル車の販売を終了する1999年までラインアップに名を残した。

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