カムシャフトの回転角をずらすことでバルブタイミングを変化

【主な機能・効果】

1.扱いやすさとパフォーマンスを両立

2.快適性と燃費の向上

画像: スズキレーシングバリアブルバルブタイミング (SR-VVT)を採用しているGSX-R1000R ABS(2019)

スズキレーシングバリアブルバルブタイミング (SR-VVT)を採用しているGSX-R1000R ABS(2019)

4ストエンジンは吸排気バルブの開閉タイミング、いわゆるバルブタイミングで基本的な性格が決まる

そして、決められたタイミングでバルブを開閉するのがカムシャフト

高回転域のパフォーマンスを優先してバルブタイミングを決めると、低中回転域のトルクやレスポンスが低下するのも、エンジンがそもそも持っている避けられない特性だ。

高回転域のパワーと低中回転域のトルクを両立させる方策として、バルブタイミングを変化させるシステムを採用したのは、91年のスズキ・バンディット400Vに採用された油圧式カム切り替え機構「VCエンジン」が世界初だった。

その後、2008年登場のカワサキ1400GTRが採用したVVTや、2015年型ドゥカティ・ムルティストラーダ1200に搭載されたDVT(デスモドロミック・バリアブル・タイミング)は、エンジン回転数やアクセル開度などに応じ、カムシャフトの回転角を油圧を使って調整して、常に理想的なバルブタイミングを得る機構

画像: カワサキ1400GTR(2015)

カワサキ1400GTR(2015)

低回転域でのトルク向上と、高回転域でのハイパワーを両立しつつ、省燃費にも貢献している。

スズキのGSX-R1000Rに搭載されているSR-VVT(スズキ・レーシング-バリアブル・バルブ・タイミングシステム)もカムシャフトの回転角を調整するタイプだが、こちらはカムスプロケット内部に組み込んだ12個の金属球が、遠心力で外側に移動する力を利用して吸気側のカムを進角/遅角させる機械式を採用している。

画像: スズキGSX-R1000RのVVTの模式図。向かって右、吸気側のカムシャフトを駆動するプーリー内部に配置されている金属ボールを使って、カムの回転を調整する機構だ。

スズキGSX-R1000RのVVTの模式図。向かって右、吸気側のカムシャフトを駆動するプーリー内部に配置されている金属ボールを使って、カムの回転を調整する機構だ。

画像: スズキGSX-R1000RのVVTの高回転時。吸気カムを駆動するプーリー内部に配した鉄球が遠心力で外側に移動、プーリーの速度を変化させてバルブタイミングを変えている。

スズキGSX-R1000RのVVTの高回転時。吸気カムを駆動するプーリー内部に配した鉄球が遠心力で外側に移動、プーリーの速度を変化させてバルブタイミングを変えている。

画像: テスタストレッタDVT 1262エンジンを搭載するドゥカティ ムルティストラーダ1260S(2019)

テスタストレッタDVT 1262エンジンを搭載するドゥカティ ムルティストラーダ1260S(2019)

画像: ドゥカティが採用したDVTは油圧式。こちらは吸気、排気両方のカムシャフトにこのようなフェーザーを装着、内部チャンバー内の油圧を調整してカムの回転速度を変化させる。

ドゥカティが採用したDVTは油圧式。こちらは吸気、排気両方のカムシャフトにこのようなフェーザーを装着、内部チャンバー内の油圧を調整してカムの回転速度を変化させる。

現代バイク用語の基礎知識

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