カムシャフトの回転角をずらすことでバルブタイミングを変化
【主な機能・効果】
1.扱いやすさとパフォーマンスを両立
2.快適性と燃費の向上
4ストエンジンは吸排気バルブの開閉タイミング、いわゆるバルブタイミングで基本的な性格が決まる。
そして、決められたタイミングでバルブを開閉するのがカムシャフト。
高回転域のパフォーマンスを優先してバルブタイミングを決めると、低中回転域のトルクやレスポンスが低下するのも、エンジンがそもそも持っている避けられない特性だ。
高回転域のパワーと低中回転域のトルクを両立させる方策として、バルブタイミングを変化させるシステムを採用したのは、91年のスズキ・バンディット400Vに採用された油圧式カム切り替え機構「VCエンジン」が世界初だった。
その後、2008年登場のカワサキ1400GTRが採用したVVTや、2015年型ドゥカティ・ムルティストラーダ1200に搭載されたDVT(デスモドロミック・バリアブル・タイミング)は、エンジン回転数やアクセル開度などに応じ、カムシャフトの回転角を油圧を使って調整して、常に理想的なバルブタイミングを得る機構。
低回転域でのトルク向上と、高回転域でのハイパワーを両立しつつ、省燃費にも貢献している。
スズキのGSX-R1000Rに搭載されているSR-VVT(スズキ・レーシング-バリアブル・バルブ・タイミングシステム)もカムシャフトの回転角を調整するタイプだが、こちらはカムスプロケット内部に組み込んだ12個の金属球が、遠心力で外側に移動する力を利用して吸気側のカムを進角/遅角させる機械式を採用している。