カムシャフトの回転角をずらすことでバルブタイミングを変化
【主な機能・効果】
1.扱いやすさとパフォーマンスを両立
2.快適性と燃費の向上
![画像: スズキレーシングバリアブルバルブタイミング (SR-VVT)を採用しているGSX-R1000R ABS(2019)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/15b351e07361af1cc8e66eec999a31f112a5eb99_xlarge.jpg)
スズキレーシングバリアブルバルブタイミング (SR-VVT)を採用しているGSX-R1000R ABS(2019)
4ストエンジンは吸排気バルブの開閉タイミング、いわゆるバルブタイミングで基本的な性格が決まる。
そして、決められたタイミングでバルブを開閉するのがカムシャフト。
高回転域のパフォーマンスを優先してバルブタイミングを決めると、低中回転域のトルクやレスポンスが低下するのも、エンジンがそもそも持っている避けられない特性だ。
高回転域のパワーと低中回転域のトルクを両立させる方策として、バルブタイミングを変化させるシステムを採用したのは、91年のスズキ・バンディット400Vに採用された油圧式カム切り替え機構「VCエンジン」が世界初だった。
その後、2008年登場のカワサキ1400GTRが採用したVVTや、2015年型ドゥカティ・ムルティストラーダ1200に搭載されたDVT(デスモドロミック・バリアブル・タイミング)は、エンジン回転数やアクセル開度などに応じ、カムシャフトの回転角を油圧を使って調整して、常に理想的なバルブタイミングを得る機構。
![画像: カワサキ1400GTR(2015)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/96800f54df89b9730c8586347c622235dab923a9_xlarge.jpg)
カワサキ1400GTR(2015)
低回転域でのトルク向上と、高回転域でのハイパワーを両立しつつ、省燃費にも貢献している。
スズキのGSX-R1000Rに搭載されているSR-VVT(スズキ・レーシング-バリアブル・バルブ・タイミングシステム)もカムシャフトの回転角を調整するタイプだが、こちらはカムスプロケット内部に組み込んだ12個の金属球が、遠心力で外側に移動する力を利用して吸気側のカムを進角/遅角させる機械式を採用している。
![画像: スズキGSX-R1000RのVVTの模式図。向かって右、吸気側のカムシャフトを駆動するプーリー内部に配置されている金属ボールを使って、カムの回転を調整する機構だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/0fd2a7bba19e744736b018c31e02b929a39354ec_xlarge.jpg)
スズキGSX-R1000RのVVTの模式図。向かって右、吸気側のカムシャフトを駆動するプーリー内部に配置されている金属ボールを使って、カムの回転を調整する機構だ。
![画像: スズキGSX-R1000RのVVTの高回転時。吸気カムを駆動するプーリー内部に配した鉄球が遠心力で外側に移動、プーリーの速度を変化させてバルブタイミングを変えている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/be95204378785cf69ce74be26965af871018561e.jpg)
スズキGSX-R1000RのVVTの高回転時。吸気カムを駆動するプーリー内部に配した鉄球が遠心力で外側に移動、プーリーの速度を変化させてバルブタイミングを変えている。
![画像: テスタストレッタDVT 1262エンジンを搭載するドゥカティ ムルティストラーダ1260S(2019)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/847831dad5a51a0caa04ee320658881186bbb277_xlarge.jpg)
テスタストレッタDVT 1262エンジンを搭載するドゥカティ ムルティストラーダ1260S(2019)
![画像: ドゥカティが採用したDVTは油圧式。こちらは吸気、排気両方のカムシャフトにこのようなフェーザーを装着、内部チャンバー内の油圧を調整してカムの回転速度を変化させる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2019/08/20/d02a45b2a29b13c484eeafd14730be43d199b91b_xlarge.jpg)
ドゥカティが採用したDVTは油圧式。こちらは吸気、排気両方のカムシャフトにこのようなフェーザーを装着、内部チャンバー内の油圧を調整してカムの回転速度を変化させる。