好みと状況に合わせてボタンひとつで「性格」を変化させる機構
【主な機能・効果】
1.ハイパワーモデルでも安心して乗れる
2.安全性の向上

ヤマハ MT-09
先代のヤマハ「YZF-R1」や「MT-09」に採用されているDモード(現行R1ではPWR・パワーモード切替システムに進化)などがいわゆるライディングモード。

MT-09 SP のメーター。写真はDモード(ライディングモード)を「STDモード」(さまざまな走行条件に適したモード)にしている状態。そのほか、「Aモード」(STDモードより、シャープでダイレクトなレスポンスを楽しめるモード)、「Bモード」(STDモードより、穏やかで扱い易い出力特性を楽しめるモード)を選択できる。
路面コンディションやライダーのテクニック、好みに応じてボタン操作で出力特性を変化させ、高性能ハイパワーモデルを幅広いユーザー層に楽しめるようにするという目的は、スズキのS-DMSに代表されるパワーモード(後述)と変わらないが、ライディングモードはそのアプローチ方法が異なっている。
パワーモードでは、点火タイミングや燃料噴射量、排気バルブ開度など、いくつかの要素を組み合わせた各モード専用のマッピングを設定しているのが一般的で、最も扱いやすいモードでは最高出力を落とすケースも多い。
一方のライディングモードでは、モードごとに変化するのは原則としてスロットルバルブの開度特性のみ。
当然、スロットルバルブの開度に伴って燃料噴射量は変化するが、その他の要素は基本的に変わらない。
たとえば、ヤマハのDモードの場合、特性を変化させる中間開度域の出力は変化するが、最高出力そのものは原則変わらない。
ホンダCBR250RRが採用したのもこのライディングモードタイプとなっている。
このライディングモードの基盤となるシステムが「スロットル・バイ・ワイヤ」。R1とCBR1000RRは、さらにIMUを組み合わせて様々な総合制御を行なっている。

ホンダ CBR250RR

これはCBR250RRのライディングモード。スロットル・バイ・ワイヤを使って、コンフォート、スポーツ、スポーツ+という3つのパワー特性をライダーが選べるようになっている。
ヤマハMT−09やトレーサーは、右スイッチボックスにある「MODE」ボタンでSTD、A、Bという3つのモードを切りかえる。