自在に走りを楽しめるストリートファイター
2018年、ドイツ・ケルンで開催されたインターモトで登場し、世界中のバイクファンの話題をさらったスズキの新型カタナ。
その斬新なスタイリングはものすごい反響を巻き起こし、早い時期の市販を熱望する声も多かったが、ついに5月30日から国内仕様の販売がスタートした!
「新たなるストリートバイクの伝説を鍛造する」というプロダクトコンセプトで生まれた新型カタナは、イタリアのバイク雑誌「モトチクリスモ」が2017年のEICMAで発表したカスタムコンセプト「カタナ3・0」を発展させたマシン。
ベースとなったのはGSX-R譲りのエンジンを持つロードスター、GSX-S1000だが、カタナらしい、独創のスタイリングを採用。
これに合わせてライダーの着座位置を前進させ、同時にアップハン化。
ライダーがより積極的に操れる、新世代のストリートファイターに仕上げられている。
最新のメカニズムを余すところなく投入
今更いうまでもないが「カタナ」はスズキにとって由緒正しい大切なブランドであり、大きな存在でもある。
新型カタナはその「伝統」を引き継ぐ新世代モデルなわけだが、実はそのメカニズムにはもうひとつのスズキが誇る一大ブランド、GSXーRシリーズの血統も加わっているのだ。
新型カタナのベースとなっているGSXーS1000に採用されているエンジンのルーツをたどっていくと、ハイパフォーマンスと扱いやすさの絶妙なバランスで「名機」と謳われたGSXーR1000・K5(2005年)のエンジンにたどり着く。
シャシーに目を転じれば、徹底したコンピューター解析から生まれたアルミフレームはGSX-Rと同じ設計手法だし、スイングアームにいたっては、実はGSXーR1000と同じものが使用されている。
惜しみなくスズキが持てる最先端技術を投入した新型カタナ。
個性あふれる斬新なボディの下には、スズキが誇る最高のエンジニアリングの粋が詰まっているのだ。
SPECIFICATION
全長x全幅×全高 2130x835x1110㎜
ホイールベース 1460㎜
シート高 825㎜
最低地上高 140㎜
車両重量 215㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 999㏄
ボア×ストローク 73.4x59㎜
圧縮比 12.2
最高出力 148PS/10000rpm
最大トルク 10.9㎏-m/9500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 12L
キャスター角/トレール 25度/100㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ310㎜ダブルディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・190/50ZR17
RIDING POSITION 身長:176㎝ 体重:68㎏
上体が起きているので車体が小さく感じる。
街中でも楽だが、これはハンドルを抑え込む戦闘的な使い方が狙い。
自由度は高いが、シートの角が内股に当る感触があり、体格によってはスペックより高めに感じるかもしれない。
現代のカタナは積極的にコントロールを楽しめる
「開発期間が短すぎて、色々な部署から無理だと怒られました。でも、これだけ短期間で開発することできたのは、このバイクがカタナだったからなのかもしれません」
チーフエンジニアの寺田さんがそう語るように、新型カタナはわずか1年足らずという、異例の短期間での開発だった。
ただ、そんな異例の開発を成し遂げることができたのは、スズキの技術力の高さに加え「カタナ」という名前が生み出すモチベーションやエネルギーがどれほど大きかったかを示している。
そんな新型カタナだが、ベースとなったGSX-S1000と比べ、キャラクターはどのように違うのだろうか。
「昔のカタナを知るライダーの方だけでなく、若い方をはじめ、幅広い層の方に楽しんでいただきたいと考え、カタナはニュートラルなハンドリングを目指しました」
上半身の起きた、アップライトなポジションに、ワイドなバーハンドル。
こうした設定がどのような乗り味を生み出すのか、テストライダーの大城さんが教えてくれた。
「ライダーが前方に座るディメンションですので、フロントの荷重が増していて、その結果コーナーでの旋回性が上がっています。
ベースのGSX-Sは操作に対する反応がリニアで、思った瞬間にバイクが旋回してくれるような感覚ですが、カタナの場合は、ライダーが積極的にバイクの操縦を楽しめるるようなフィーリングに仕上げています」
基本メカニズムはGSX-Sながら、独自の味付けで「積極的にコントロールを楽しむ」仕上がりを目指した新型カタナ。
それはエンジンのパワー特性も同じ。秘密はスロットルグリップのカム形状にあるようだ。
「アクセルワイヤーの動きを、出だしから一定のスロットル開度のところまでマイルドになるような設定としてライダーが安心してスロットルをどんどん開けていけ、バイクのパワーを積極的に引き出していく感覚を楽しんでいただく、そんな設定を目指しました」
テスト過程では、往年のカタナを知るライダーやGSX-R1000Rのテストライダーまで参加して、徹底的に「鍛え上げた」という新型カタナ。
スズキが総力を挙げて仕上げたこのバイクには、カタナというブランドに対するスズキの熱い想いが込められている。
「今の時代に合った、新しいカタナに仕上げました。ぜひ乗っていただいて、スズキの走りへのこだわりを感じて下さい」
純正アクセサリーも豊富にラインアップ!
OPTIONAL PARTS
ケルンでの世界デビュー時に用意されていた純正アクセサリーも、その多くが国内販売されることになった。
新型カタナをよりスポーティに仕上げてくれる多彩なアイテムを、ここで一挙に紹介しよう。
フロントマスクを引き締める、カーボングレーのスモークスクリーン。
サイド表皮をレッドとしたカスタムシート。タンデム部には「刀」ロゴも入る。
寒い時期だけでなく、雨天時にも重宝するグリップヒーター。左右セット。
カタナデザインのヘルメットも登場!
発表会の会場に展示されていた「刀」の文字をあしらったシルバーのヘルメットだが、これは限定アイテム。
アライのアストラル-Xをベースとしたこのヘルメット、実はすでに注文期間は終了していて、販売店さんの受注在庫を残すのみなのだとか。
欲しい人は急げ!
特製3Dクリスタルプレゼントキャンペーン!
待望の国内発売を記念して、9月30日までの期間中にキャンペーン実施店にて新型カタナを購入、登録が完了したオーナーには写真の特製「KATANA3Dクリスタル」がもらえるキャンペーンを開催中。
詳しくはスズキのHPか専用サイトまで!
COLOR VARIATION
PHOTO:南 孝幸、鶴身 健 TEXT:本誌編集部