文句の付けようのない世界一のヨンヒャク
CB400SF/SBに関する原稿には毎回書いているけど、この2機種は紛れもなく「世界一のヨンヒャク」だ。粗探しが得意な専門誌のレポーター達からでさえ、このオートバイへの不満は聞いたことがない。
400㏄という排気量区分は事実上、日本独自のもの。
その日本の二輪市場は80年代をピークに30年間で大幅に縮小し、96年には大型二輪免許が教習所で取得できるようになって大型車に人気が移った。
メーカーにとって販売台数を見込めない400㏄クラスは「割に合わない」製品になってしまったのだ。
80〜90年代には覚えきれないほど多くの車種があった400㏄モデルが続々と生産を終えたのも抗えない時代の流れ。
そうした中で、実直に改良を重ねて着実に販売台数を保っているSF/SBは奇跡の存在と言っていい。
400㏄専用設計だけに車体は同クラスのライバル車よりもコンパクトだけど、アップライトなポジションで身長180㎝近いライダーでも窮屈さは感じないし、取り回しも楽。
そして何よりの魅力がハイパーVテックRevoを採用した4気筒エンジンならではのスムーズさと伸びやかなパワー特性。
市街地で扱いやすく、峠道ではエキサイティング、そして高速道路では余裕の動力性能。
これを速度域に関係なく素直で安定性の高いハンドリングの車体に組み合わせているから、ライダーの技量を問わず快適に安心して走れる。
事実、大型車の大きさと重さに辟易としたベテランの指名買い対象になっているし、これからオートバイの楽しさを知り、可能性を広げていく免許取りたてのビギナーにもお勧めだ。
CBX400Fでホンダの400㏄4気筒の素晴らしさに感心してから三十数年が経ったが、今後、体力的に大型車を操ることが厳しくなったとき、まず候補に挙げるのは同じ400㏄4気筒のCB400SBだろう。
SPECIFICATION
■エンジン:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
■排気量:399㏄
■最高出力:53PS/10500rpm
■最大トルク:3.9㎏-m/9500rpm
■車両重量:197/200(ABS)/201(Eパッケージ)㎏
■タンク容量:18ℓ
■シート高:755㎜
■タイヤ前・後:120/60ZR17・160/60ZR17
改良を施す必要がないほどの完成度を誇るエンジン
今回のモデルチェンジでエンジンは改良されなかったが、それはそんな必要が無いほどの高い完成度を備えていることの証明。
滑らかで扱いやすいパワー特性、ハイパーVTECRevoによる胸のすくような爽快なフィーリング、優れた環境性能や経済性、そして信頼性の高さはライバルの追随を許さないレベル。
LEDヘッドライトを初採用
ほぼ同時期にモデルチェンジしたCB1300SBと同じく、CB400SBもハーフカウルのリファインと同時にヘッドライトをLED化。
白色光とロング&ワイドな優れた配光特性を備え、視認性、被視認性を向上。
LEDのコンパクトさによるデザインの自由度の高さも、カウルをより精悍なイメージへ変身させるのに役立っている。
RIDING POSITION 身長:176㎝ 体重:60㎏
今年3月のマイナーチェンジでハンドル位置が若干ライダー寄りになり、市街地やクルージングでの快適性が増した。
4気筒エンジン車とは思えない足着き性の良さもCBの美点。