クラス中最も過激で辛口! まさにスーパーバイクそのまま
リッタークラスのスーパーネイキッドは数多く存在するが、その中で最も過激なのが新型トゥオーノ1100。一言で表現するなら「凄まじい」オートバイだ。
アップハンドルやライダーをアシストする電子制御を見て勘違いしてはいけない。このオートバイは乗り手を選ぶ。少なくとも加減速や体重移動を使った荷重コントロールをスムーズに行えるライダーでなければ、ポテンシャルを引き出すどころか、楽しく走らせることすら難しいだろう。
トゥオーノはワールドスーパーバイク選手権で大活躍した、RSV4RFの兄弟車だが、レギュレーションに捉われないため、V4エンジンは排気量を1077㏄まで拡大。アルミツインスパーフレームも基本的に共通で、前後サスペンションやブレーキシステムも同じ。他のスーパーネイキッドは、扱いやすさを得るためエンジンやハンドリングの特性をマイルドにするのが常套手段だが、トゥオーノはRSV4の特性に徹底的に近付けたいという開発陣の「意地」を感じさせる。
当然のことだが、トゥオーノが得意とするステージはワインディング。最初に感じるのは、高荷重に対応した車体設定の手強さ。オートバイ任せで流すようなペースではトラクションを感じ取りにくく、旋回性もほどほど。だがサスペンションをしっかり動かしてタイヤを路面に押し付けるペースになると、途端にキレのいいコーナリング特性を見せる。アップハンドルではあるが、車体の動き方はスーパースポーツモデルそのもので、想定ラインにキッチリ乗せるにはメリハリのある操作が必須だ。
さらにエキサイティングなのがスロットルを捻るだけであふれ出すパワー。高回転型のRSV4はタイトターンだと速度が低すぎてパワーバンドから外れることがあるが、トゥオーノはパワーバンドが低回転側に大きく広がっているので、Uターンのようなコーナーの立ち上がりでもリアタイヤにトラクションを掛けられる。ただし電子制御を切ると当たり前のようにパワースライド、パワーリフトを起こすので、各種の制御レベルを設定して自分の乗り方に合わせる楽しさもある。
これほど研ぎ澄まされたスポーツ性能を持つスーパーネイキッドを造ったのはアプリリアのプライドであり、ポリシーなのだろう。「誰にでも扱いやすい」ことを優先したスーパーネイキッドとは決定的に異なる「辛口」のキャラクターに感動した。
主要諸元
全長×全幅×全高 2065×NA×NA㎜
ホイールベース 1445㎜
最低地上高 125㎜
シート高 825㎜
車両重量 184㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒
総排気量 1077㏄
ボア×ストローク 81×52.3㎜
圧縮比 NA
最高出力 175HP/11000rpm
最大トルク 12.3㎏-m/9000rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 18.5L
キャスター角/トレール 24.7度/99.7㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前・後 φ330㎜ダブルディスク・φ220㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・200/55ZR17
DETAIL
RIDING POSITION(身長:176㎝ 体重:60㎏)
アップハンドルではあるが、ステップ位置が後退していることもあって走行中は前傾姿勢になり、車体との一体感が得られる。足着き性はサスペンション設定の違いでRSV4より良好だが、それでもシートは高めだ。
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