ヤマハがオンロードとオフロードの技術を融合させた新たなアドベンチャースクーター「RW」シリーズを発表した。ラインナップは690ccのCP2エンジンを搭載するRW700および上級版のRW700 Explore、そして新設計330ccエンジンを積むRW350の2モデル/3タイプ。街乗りから冒険まで走破する、注目の新機軸だ。

まとめ:吉岡直矢
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CP2エンジンとオフロード対応Y-AMTを融合した「RW700」

ヤマハの新たなシリーズ「RW」のフラッグシップとなるRW700は、EU5+に準拠した690ccの水冷並列2気筒CP2エンジンを高張力鋼管バックボーンフレームに搭載したクロスオーバーモデルだ。単気筒並みのスリムさと扱いやすいトルク特性で定評のあるCP2エンジンに、こんな使い方があったのか! と思わずにはいられない。

電子制御スロットル(YCC-T)の採用により全回転域でスムーズなトルクを発揮するエンジンだが、注目すべきはスクーター初かつオフロード用途として初めて開発された自動変速システム「Y-AMT」の採用だろう。クラッチレバーやシフトペダル操作なしで、ハンドル部のシーソースイッチによる手動変速(MT)とフルオートマチック(AT)を切り替えられる。

Y-AMTはラバー製クラッチダンパーやシフトロッドスプリングの調整により0.1秒での精密かつ滑らかな変速を実現。さらに6軸IMUと連携する電子制御「YRC(ヤマハライドコントロール)」を備え、オンロード用のROADモード(SPORT/STREET/ECO)と、オフロード用のGRAVELモード(EXPLORE/EXPLORE+)を選択可能だ。

GRAVELモード時にはスリップ状態に応じた変速制御「GSH」が作動するほか、後輪ABSの解除も可能。PWR、TCS、SCS、BCS、BSRといった各種支援機能も充実しており、BCSとBSRは全モードでON/OFF可能となっている。さらに自動変速対応のクルーズコントロールや可変速度リミッター(YVSL)も備えている。

徹底した足まわり設計と本格オフロード装備

RW700の足まわりには、フロントに160mmストロークのΦ41mm倒立フォーク、リアに155mmトラベルのボトムリンク式モノショック(7段階プリロードおよび2.5段階伸び側減衰調整付き)を装着。ホイールは前17/後15インチのアルミリムにステンレスクロススポークを組み合わせ、ピレリ製Scorpion Rally STRチューブレスタイヤ(前120/70R17、後160/60R15)を履く。

ブレーキはフロントにΦ298mmダブルディスクと4ピストンラジアルマウントキャリパー、リアにΦ267mmシングルディスクを採用する。車重は221kg、シート高は810mm、最低地上高は170mm、燃料タンク容量は14Lを確保している。

非常に特徴的なフットペグは、位置を4段階に調整可能かつ着脱式ラバーを備え、さらに前方に折りたたみ式フットレスト(ほぼフットボード)を配することでシッティングかスタンディング走行かによって足の置き位置を変えることができ、異なる走行シーンを自然にこなすことができる。

コクピットには5インチフルカラーTFTディスプレイを採用し、Garminナビ連携やMyRideアプリ接続、USB Type-Cポート、スマートキー、ワンプッシュスタート、急ブレーキ時に点滅するESS機能付きオートキャンセルLEDウインカーを完備。フルフェイスヘルメットが収まるシート下スペースやアルミスキッドプレート、ナックルバイザーも標準装備だ。

デザインは独特で、正面から見るとテネレ700とのリレーションを強く感じさせる出で立ち、横から見ると車体中央から後半にかけてスクーターという、なんともハイブリッドなシルエットだ。モーターサイクル用エンジンを転用しているためスイングアームは長め。そこに(テネレ700よりは)小径のホイールを組み合わせることでシート下スペースを確保しながらシート高も比較的抑えられている。

このほか、車体素材にはバイオプラスチック「DURABIO」などの持続可能素材を採り入れ、自然環境と調和するデザインコンセプト「TEXNATURE」を導入している。カラーはセージブルーとパワーグレーの2色展開だ。

豪華装備を追加した最上級仕様「RW700 Explore」

RW700をベースに、長距離移動の快適性と上質感が高められたモデルがRW700 Exploreだ。フロントフォークに15mmのプリロード調整と11段階の伸び側減衰力調整機能が追加され、さらに10段階の温度調節が可能なヒーター付きシート(ライダー用)とグリップヒーター、耐久性に優れたセンタースタンド、バックライト付きスイッチギアを標準装備する。カラーリングには専用のフォレストグリーンと、セージブルーのアクセントが映えるミッドナイトブラックが用意される。

新開発330ccエンジンとYamaha Dynamic Ride搭載の「RW350」

ミドルウェイトクラスのRW350には、新開発の水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒330ccエンジンが搭載される。シャシーにはダイアモンド型高張力鋼管フレームと独自レイアウト「Yamaha Dynamic Ride」を採用。これはエンジンをフレームに固定し、CVTユニットのみがクランクシャフトピボットを中心に上下動する構造と4軸バランサーの組み合わせにより、バネ下重量の大幅な低減と高剛性、低振動を実現したものだ。

クラス初の電子制御スロットル(YCC-T)も組み合わされる。走行モードはSTREET、EXPLORE(後輪のスリップを一定容認)、ECOの3種類が設定され、各モードでパワー特性とトラクションコントロール(TCS)が最適化される。

足まわりには140mmストロークのΦ37mm倒立フロントフォークと、リアにはホイールトラベル105mmかつ7段階プリロード調整可能なツインショックを備える。ホイールはラリーカー着想のディッシュ形状(前16インチ、後14インチ)で、リアホイールハブには振動を低減するダンパーを内蔵し、ダンロップ製D615ブロックパターンタイヤを装着する。最低地上高は185mm、燃料タンク容量は13Lだ。

クルーズコントロールやスマートキー、ワンプッシュスタート、5インチTFTディスプレイ、USB Type-Cポート、フルフェイスが入るシート下収納スペース、アルミスキッドプレート、さらにRW700に共通するイメージの位置調整可能なワイドフットペグやフォワードフットレストも備えており、日常の利便性とオフロード性能を高い次元で融合している。車体色はセージブルー、アラシサンド、ミッドナイトブラックの3色展開だ。

これらが日本に導入されるのかはまったくの未知数だが、ライバルと想定したに違いないX-ADVが日本でも破格のリセールバリューを誇ることなどから、ヤマハが独自路線のRWシリーズでホンダの独走に待ったをかけるというシナリオは十分に考えられそうだ。続報に期待!

ヤマハ「RW700 / EXPLORE」

項目RW700 / RW700 EXPLORE
全長×全幅×全高2255×940×1415mm
ホイールベース1585mm
最低地上高170mm
シート高810mm
車両重量221kg(EXPLORE=224kg)
エンジン形式水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量689cc
ボア×ストローク80.0×68.6mm
圧縮比11.5
最高出力51kW(69.3PS)/8250rpm
最大トルク65.0Nm(6.6kgf・m)/6500-6750rpm
燃料タンク容量14L
変速機形式Y-AMT(電子制御6段変速)
ブレーキ形式(前・後)Φ298mmダブルディスク・Φ267mmディスク
タイヤサイズ(前・後)120/70R17M/C (58H)・160/60R15M/C (67H)
燃料消費率(WMTCモード値)24.39km/L
価格未発表

ヤマハ「RW350」の主要スペック/燃費

項目RW350
全長×全幅×全高2170×815×1310mm
ホイールベース1540mm
最低地上高185mm
シート高810mm
車両重量192kg
エンジン形式水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
総排気量327cc
ボア×ストローク74.0×75.9mm
圧縮比10.9
最高出力21.5kW(29.2PS)/7000rpm
最大トルク31.5Nm(3.2kgf・m)/5750rpm
燃料タンク容量13L
変速機形式Vベルト無段変速
ブレーキ形式(前・後)Φ282mmディスク・Φ245mmディスク
タイヤサイズ(前・後)120/70-16M/C 57P・150/70-14M/C 66S
燃料消費率(WMTCモード値)28.57km/L
価格未発表

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