PHOTO&TEXT:YUKA IZAWA、MASANORI INAGAKI(ANIMALHOUSE inc, Off1.jp) TEST RIDE:TAKU IZUMI(STRANGE MOTORCYCLE)
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ヤマハ「YZ250F」インプレ

YAMAHA
YZ250F
価格:97万9000円
発売:2026年9月25日
※コンペティションモデル(公道走行不可)
開け始めからのピーキーさが抑えられストレスが軽減
モトクロッサーの「新型」は、たいてい前年の継続で、外装が変わり、サスペンションが見直される程度で済む年も多い。ところが2027年型のYZ250Fは、クランクケースからはじめてエンジンすべてが新しく、8年ぶりの新造となった。
本丸はシリンダーヘッドだ。従来はバルブの上にリフターという円筒の部品を乗せ、その頭をカムが直接押していた。新型はリフターをなくし、指のような形のロッカーアームがバルブを押す。フィンガーフォロワーと呼ばれる構造で、YZシリーズでは初の採用になる。
動く部品が軽くなればバルブスプリングが高回転まで暴れなくなり、そのぶんエンジンを回せる。結果は、レブリミット+700rpmと、全域でのトルク面積12.6%拡大となった。
テストライダー和泉拓が最初に挙げたのは、高回転側ではなく低回転側の話だった。
「昔のYZはスロットルの開け始めに、勝手に吹けていってしまう性格でした。新型にはそういったフィーリングがなくなっていましたね。ごく微開なのに、勝手に回転数が立ち上がってバンって出てしまう、そういう独特な感触がなかったです。モトクロスで言うと、コーナーで寝かせている最中に開け足しやすいし、そもそも普通に走り出すときのスタートもしやすい。僕好みです」
「個人的に気になったのは、中間域から7000〜8000回転あたりまでのトルクが薄いことですね。ただ、これは2023年モデルのときにも感じていたので、新型に限った話ではないと思います。そこから先、9000〜10000回転あたりからは怒涛のパワーで、吹け切るまできっちり回るし、超速い。回すと超楽しいバイクです」
この谷が、レーシーな乗り方を要求する。
「半クラッチを使ってやると速い。速く走ろうとすると、2スト125みたいな乗り方がいいのかなという感じですね。低いギアに入れて回し切ってしまうか、クラッチで回転を合わせにいくか…。新型はクラッチで合わせるバイクだな、と思いました」
薄いと言われた中間域を、ライダーがクラッチで飛び越えて高回転域へ放り込む。ひと手間かかるが、そのぶん速い。
「ずーっと伸びていく。明確にレブリミットに当たったという手応えは、あまりないんですよ。開け始めのギクシャクがなくなったぶん全域がスムーズでそのままレブリミットまで行ってしまう」と和泉は興奮していた。エンジン実験を担当した北原直哲氏によれば、当初の目標は1000rpmアップ。騒音規制対応で700rpmに落ち着いたという。
始動性の改良も高評価である。始動デコンプの圧を2.1倍とし、スターターも刷新された。ギアが入ったままでも一発でかかるようになった。
「昔YZに乗っていた頃は、長丁場のレースにリチウムバッテリーを予備で持っていっていました」と和泉は過去の苦労を振り返る。
オフロードレーサーの最高峰であるモトクロッサーは、年々進化を続けて20年前とは別のカテゴリーの乗り物に仕上がっている。優れた足まわりはライダーのミスを補填し、さらにはコンフィデンスを整える。その安定感に、いまだパワーアップを続けるエンジンがうまくバランスする。モトクロッサーに乗るなら今が黄金期だ。最高の刺激を日常にもたらしてくれる。

吹け切るまできっちり回るのに、レブリミットに当たった手応えははっきり出ない。ヤマハは“Long pulling feeling”と呼んでいる。
ココがすごいぞYZ250F!
すべてが新しい8年ぶりのエンジン
吸気バルブのリフト量は9.6mmから10.2mmへ増え、吸気側のスプリングはYZ初のダブルスプリングに。バランサー周りの部品削減などで、合計約270gを削っている。

油圧クラッチとマップ切り替え
クラッチはYZ450Fと同じ油圧式に。ワイヤーのフリクションがなく、切りたいときにスパッと切れる。手前のスイッチは走行中にエンジン特性を切り替えるためのもの。

高回転に耐えるミッション
ギアレシオを変更し、メインアクスルとドライブアクスルの軸間距離を51.97mmから56mmへ拡大。ギア配列を組み替えて歯幅を稼ぎ、あえて太くして耐久性を確保している。

騒音規制と高出力を両立させた排気系
エキゾーストパイプにレゾネーターを追加し、サイレンサーの内部構造も変更。音質そのものが旧型とは違い、抜けがよく心地いい。

