レポート:丸山 浩
▶▶▶写真はこちら|ホンダ「CB500 SUPER FOUR E-Clutch」
歴代史上最強のスーパーフォアが誕生!
待ちに待ったCB400 SF E-Clutchの日本発売日が8月21日に決定した。ご存じのように、この新型400SFは、ひと足早く中国で今春から発売されているCB500SFの日本向け中型排気量版である。今回は、そのCB500SFに乗る機会を得た。

HONDA
CB500 SUPER FOUR E-Clutch
中国蘇州にある五羊-本田(ウーヤン・ホンダ)の販売店の協力で試乗が実現。現地では500ccが一般層に買える現実的な上限排気量で、その上になると一気に価格がハネ上がってスーパーカーと同じような扱いになるとか。したがって500が中国における実際のフラッグシップ帯。400ではなくCB500SFとして作られたのは、その辺りの事情もあるようだった。
中国でもCB500SFは相当な人気を集めているようで、同じ4気筒エンジンを搭載するフルカウルの兄弟車、CBR400R FOURに対し、ネイキッドモデルであるSFの需要は3倍近いという。
そもそも、なぜ日本向けモデルという印象の強いCBが中国でも支持されているのだろうか。中国では輸入バイクに対する規制が厳しく、海外製の車両はほとんど入ってこない。CB400SFも例外ではなく、HYPER VTEC時代のモデルはほぼ皆無。海外の情報も入りにくいため、中国のファンにとって近年のCB400SFは縁遠い存在だった。
一方、1990年代には規制をかいくぐる形で並行輸入車が持ち込まれていた時期があり、その頃のCB400SFが今なお神格化されているという。そうした背景もあり、ZXMOTOをはじめとする中国メーカーが相次いでミドルクラスの4気筒モデルを投入。さらにはCB400SFを思わせるスタイルのモデルまで登場し、大きな人気を集めた。
こうした市場の盛り上がりを受け、中国ホンダがついにオリジナルであるCBを投入する決断を下した。それがCB500SF誕生の背景だという。中国での人気がなければ、日本向けの新型CB400SFも存在しなかったかもしれない。その点は、中国のファンに感謝したいところだ。

そんなCB500SFを実際に目の前にすると、外観は新型CB400SFとほぼ同じである。スプリングレートなどの設定は異なると思われるが、KYB製の倒立フロントフォークや中国メーカー製のリアショックといった足まわりも、外から見る限り基本構成は共通している。
日本の“わびさび”を宿したライディングポジション

身長:167cm 体重:62kg
旧400SFに通じるジャパニーズ・ネイキッドそのものなライディングポジション。ハンドルバーが腕をすっと前に伸ばしたところにある高さにあるため、気負わず操れる。
まずはライディングポジションから見ていこう。基本的には鈴鹿8耐の会場で体験した新型CB400SFと同じで、感覚的には僕らが長年親しんできた歴代CB400SFに通じるものがある。
跨った瞬間から、用途や乗り手を選ばない懐の広さを感じられるのがいい。何より、ハンドルがストリートファイター系モデルのように低く構えられているのではなく、身構えずに自然な姿勢で乗れる適度な高さに設定されている点が好印象だ。

身長:167cm 体重:62kg
足着きは両かかとがわずかに浮く程度。軽いから引き起こしや取り回しも簡単だ。
気になる足つき性は、両足のかかとがほんのわずかに浮く程度だった。CB500SFのシート高は新型CB400SFと同じく780mm。車体が軽いため、足つき性に対する不安はほとんど感じない。新型のCB400SFも、まず足つきが問題になることはないはずだ。
両足がべったりと地面に着いた旧型CB400SFのシート高・755mmにはかなわないと思う人もいるかもしれない。しかし、車重を見ると、旧型CB400SFの201kgに対し、CB500SFは188kg、新型CB400SFは187kg。実に13〜14kgも軽い。この軽さは、実際の扱いやすさという点で足つき性以上の武器になる。
HYPER VTECを廃止、電子制御で武装

完全新設計となるエンジンはDOHC直4で、500SFは502cc。399ccの新400SFとはボアとストローク両方とも数値が異なっている。吸気はダウンドラフト。TBW=電子制御スロットルになったことでライディングモードを搭載できるようになった。

完全新設計となるエンジンはDOHC直4で、500SFは502cc。399ccの新400SFとはボアとストローク両方とも数値が異なっている。吸気はダウンドラフト。TBW=電子制御スロットルになったことでライディングモードを搭載できるようになった。
注目は完全新設計の直列4気筒エンジン。新型CB400SFの最高出力58PSは、1992年に登場した初代から続く歴代CB400SFの中でも最強の数値だ。
CB500SFでは、そこから排気量を103cc拡大した502ccエンジンを搭載し、最高出力は71.1PSを発揮する。パワーウエイトレシオはCB500SFが2.64kg/PS、新型CB400SFでも3.22kg/PSとなる。56PS、201kgだった旧型CB400SF HYPER VTEC Revoの3.58kg/PSと比べても、500、400ともに新型が歴代最強クラスの性能を持つことは間違いない。

エンジンを空吹かしすると、直列4気筒らしいシャープな吹け上がりを見せる。鈴鹿で体験した新型CB400SFよりも、CB500SFは若干レスポンスが穏やかなようにも感じた。排気量と出力の増大に伴い、ピストンなどの往復運動部分が重くなっていることも関係しているのかもしれない。
それでも、走り出せば502ccらしく速い。クラッチがつながった瞬間から、太いトルクを感じさせてくれる。
新型のCB500SFとCB400SFには、旧型CB400SFにはなかった電子制御のライディングモードも備わっている。パワー、エンジンブレーキ、トラクションコントロールを個別に設定することが可能で、トラクションコントロールをオフにし、クラッチレバーを使ってマニュアル操作すれば、フロントアップも容易だ。USERモードで最もスポーティな設定を選ぶと、本当に簡単にフロントが浮き上がり、思わず驚かされた。
バルブ休止機構のHYPER VTECは廃止されたが、現時点で感じたデメリットは、回転上昇の途中で排気音やフィーリングが切り替わる演出がなくなったことくらいだ。
HYPER VTEC本来の目的は、低回転域の扱いやすさと高回転域の性能を両立させることにある。しかしCB500SFでは、バルブ作動数を切り替えなくても低回転域から十分なトルクが得られている。
電子制御スロットルの採用によって燃焼制御も進化しており、燃費性能との両立も期待できる。新型CB400SFでも、低回転トルクが薄くなったと感じることはないはずだ。それ以上に、HYPER VTECを廃止したことでエンジン本体を軽量化でき、メカニカルノイズの低減や静粛性の向上につながるメリットの方が大きいと感じた。

TBW=電子制御スロットル対応の新型E-Clutchを採用。TBWになったことでシフトダウン時のエンジン回転数をマシン側で調整(オートブリッピング)してくれるように進化している。
そして見逃せないのがHonda E-Clutchである。発進から停止までクラッチ操作をすべて任せることができ、テクニックを駆使したいときにはマニュアル操作も可能。この基本的な使い勝手は、これまでのE-Clutch採用車と同じだ。
その便利さは、一度慣れてしまうと手放せなくなるほど。今回新たに気付いた点として、マニュアルモードを選択していても、Uターン時にはごくわずかにシステムが自動介入しているような感触があった。
電子制御スロットルに対応した新型E-Clutchとなり、その制御が従来型から変化したのかどうか。新型CB400SFが登場した際に、じっくり確認しておきたいポイントのひとつである。
