※本企画はHeritage&Legends 2026年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
まとめ:Heritage&Legends 編集部
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800ccと思えないサイズの好感ストリートバイク登場
スズキGSX-8シリーズは、スズキが久々に新設計エンジンを投入したモデル群だ。ベーシックなGSX-8S、サスペンションをスポーツに振ったGSX-8R、アドベンチャースタイルのVストローム800に、オフロード色も加えたVストローム800DEと、ベースとなるエンジン+フレームを多機種に展開する戦略でデビュー以来、どれも評価は高い。車重が200kgチョイで、80PSをマークする775cc直列2気筒エンジンがスゴ過ぎることなく、ちょうどいいを越えてちょっとイイ、そんな評判のモデルなのだ。
そのエンジンはオールラウンドと言えるほど懐が深い。街乗りで流すのは気持ちいいし、峠をキツ目に走ってもビクともしない。高速道路ランだって悠々こなす、万能性が光る。では、新作のGSX-8T/TTではどうなのか? ということは、やはり長い距離を走って確かめてみたい。
前回、CB1000Fに荷物満載でキャンプへ連れ出したのに続き(CB1000F試乗記事はコチラ!)、今度は超ロングランに出てみた。800ccだから少なくとも800kmは走ろう!
「800kmなら広島、島根かな、北海道はまだ寒いんじゃない?」と編集部は優しく言うけれど、いや、帰りも考えてよ。片道400kmの道を往復しよう(笑)。
それなら西は名古屋、北は新潟、東は福島の先あたり。なに気なく見ていたネットニュースで、新潟・上越の「高田城址公園」で4月上旬まで、平日でも桜まつりが開かれているという。そういえば今年はゆっくり花見もできていないから、ちょうどいい。バイクなら、思いついてすぐ、どこへだって出かけることができるのだ。
今回、スズキからお借りしたGSX-8Tは先のGSX-8/Vストローム800シリーズと共通のプラットフォームと思えないスタイリングを持つスポーツバイクだ。
そんな兄弟モデル各車と違うのは、タンクシートがオーソドックスなスタイルであることと、ノンカウルであること。同車の新車発表時に話題になったバーエンドミラーも装着されている。
スズキの名車T500もモチーフに加えてデザインしたと説明された時はピンと来なかったけれど、実車を前に、特にこのキャンディゴールドの車体色には、どことなく往時の懐かしさを感じる。
車体サイズも同じストリートスポーツのGSX-8シリーズと変わらないはずだが、GSX-8S/8Rがスリムなせいか、このGSX-8Tはやや大柄に感じる。それでもハンドルがアップ気味で取り回しやすいから、サイズと重さなど気にならない。実際に跨っても800ccのモデルと思えないコンパクトさだ。

▲イタリアのデザイナーがスズキの歴代名車にインスピレーションを受け制作されたというGSX-8Tと8TTのスタイル。左のGSX-8TTはビキニカウルとアンダーカウルを装着。8Tは全色ともシュラウドがシルバーだ。

▲GSX-8Tと8TTでは5mmほどシート高が違うけれど、跨り比べた体感はほぼ同じ。スズキが配慮する「跨ぎ高さ」では身長170cmで不安ない足着きという。写真の筆者は178cm/80kg。
走り出すと、やはりこのコンパクトさが何よりの武器になる。800ccの直列2気筒は、穏やかな出力のイメージだが、スロットルを開けた時の瞬発力、加速がスゴい。しかもサウンドがおとなしめだから、静かに速い! が第一印象。
エンジンは低回転からトルクがあって、とんとんとシフトアップして6速2000回転といったエリアでも息つきなく走ってくれる。スロットル開度1/8とか1/16といったところの力感やレスポンスがよく、車体のコントロールがしやすくて、このあたりが街乗りで評価の高いところなんだろう。
ワインディングを走ると、この加速が扱い易さにつながる。加減速で車体が上手くピッチングしてくれて、コーナリングではフロントに荷重が乗る印象。意識してフロントブレーキを残してコーナー進入、なんて考えなくていいイージーさで、シャープ過ぎない、安定感のある動きを見せる。
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片道400kmの旅でも身体に疲れが残らない!
お待ちかねの片道400kmツーリングは、都内にある編集部を出て首都高速→中央高速→長野自動車道→上信越自動車道で上越市へ。同じ道を戻るより、帰りは関越自動車道を使ってグルッと時計回りに関東を一周するイメージだ。
高速道路に乗り入れたGSX-8Tは静かで速い武器がそのまま高速域にも生きる感じで、快適に高速クルージングが楽しめた。トップギヤ6速で100km/hでは、エンジン回転数は4200回転ほど、120km/hなら5000回転といったところか。GSX-8Tの直列ツインがグンと力強くなるのは6500回転あたりからだから、そのエリアすらも使わないクルージングができる。

回転フィーリングは柔らかで、身体に伝わるのはわずかな鼓動感だけこれで。周囲のクルマに存在を気づいてもらえるのか? ってほど静かに走るのがGSX-8Tなのだ。
そんなノンカウルの同車だが120km/hあたりでは走行風もほぼ気にならない。ワインディングで感じた安定感はしっとりした手応えに感じられて、以前、GSX-8Sで高速道路を走った時には、もっとシャープなフィーリングだったと記憶するから、TとSではキャラクターをうまく変えているのが分かる。
東京から山梨へ。南アルプスを望みながら長野に入り、安曇野から北上する形で白馬、妙高高原を越えて上越へ。辿り着いた高田の街は平日というのに桜まつりは盛況で、現地で探そうと考えていた周辺の宿に空きが見つからず、まさかのそのまま帰路へ! 400kmが800kmのイッキ走りに変わったけれど、そうと決まればそのままほぼ休憩なしで現地を立った。この疲れのなさもGSX-8Tの特性をよく表しているのかもしれない。

さて、同じルートで帰るのもつまらないと関越道を目指すと、最寄りのインターチェンジまでは夜の峠道。見通しの悪い夜道を1時間ほど走るハメになったが、リヤブレーキを使っての速度コントロールがし易いこと、パワーモードはAのまま走るよりCに設定、ややレスポンスをダルにして走るのが快適とよく分かった。闇の先に現れるコーナーをいくつもこなし、時に雪溶けで濡れた路面も安心してラインに乗れるという、コンディションの悪いシーンを走ったからこそ分かったGSX-8Tのキャラクター。
こうして一日中走り回っての、日帰り800kmツーリングは終了。気になる燃費は、一般道では約20km/L、高速道路メインのこの旅では最高27km/Lまで伸びた! 好ましいストリートバイクと思っていたGSX-8Tは、実は優秀なツーリングバイクでもあったのだ!

▲結局、借り出したGSX-8Tは別日も含めて924kmを走行して返却した。この間に使ったハイオクガソリンは約40L、期間内の平均燃費は約22.5km/Lでした。
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新GSX-8シリーズ初となったオーソドックスなスタイリング!


独立したタンク、シートを持つネイキッドスポーツのGSX-8T。GSX-8Sをベースに、スクエア風フューエルタンク、シートカウルを持たないオリジナリティあふれる外装デザインは、その車体色とともにクラシック感があふれるものだ。

GSX-8シリーズ共通の775cc直列2気筒エンジン。スズキクロスバランサーを持ち270度点火を採用する。

ステップ下にそのエンド部がくるショートマフラー。サイレンサーカバーは8Sでの樹脂製からステンレス製に変更される。

パワーモードは3種の設定が可能。Cモードでさえパワフルで、長時間ランは快適だった。

こちらもGSX-8シリーズと共通のフレーム。タンクエンド、シート前部幅はやや広めの設計となっている。


KYB製倒立フロントフォーク、リンク式モノショック、アルミスイングアームはGSX-8シリーズと共通だ。フロントブレーキはΦ310mmローター+ラジアルマウントによる対向4ポットキャリパーを装備する。

バーエンドミラーは後方視界が素晴らしく、ハンドル幅も走り出せば気にならなかった。

造形にこだわったというフューエルタンク。8Sより2L増となる16Lの容量を確保する。

表皮にタックロールをあしらった段付きスタイルのシート。シート下には荷かけフラップ、ヘルメットホルダーも装備する。


5インチのフルカラーTFTメーターはギヤポジションインジケーターのほか、瞬間&平均燃費、オド&ツイントリップ付き。USB給電口はTypeCでスマホ充電も可能だ。
取材協力:スズキ
レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部






