まとめ:松本正雅
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ヤマハとMotoGPが描く「Moto3新時代」がスタート

YAMAHA
Moto3 Project
オランダGPが開催されているTTサーキット・アッセンで、MotoGPとヤマハ発動機は2028年から2033年までの6年間、ヤマハがFIM Moto3世界選手権の独占マシンサプライヤーを務めることを正式発表した。
これは単なるマシン供給契約ではなく、oto3を世界最高峰ロードレースへの登竜門としてさらに発展させるとともに、若手ライダー育成の環境そのものを刷新する長期プロジェクトである。

Moto3は世界中の有望な若手ライダーが世界選手権への第一歩を踏み出すカテゴリーとして機能してきた。一方で、近年はライダーの体格変化や競技レベルの向上など、新たな時代に対応したマシンづくりが求められていた。
今回のプロジェクトでは、「親しみやすさ」「スポーツとしての健全性」「技術の卓越性」「長期的ビジョン」を柱に据え、誰もが実力で世界へ挑戦できるカテゴリーを維持しながら、さらに魅力的なレースを実現することを目標としている。
688cc「CP2」エンジンをベースにした完全新設計レーサーを投入

プロジェクト最大の注目点は、新たなMoto3マシンのパワーユニットだ。
採用されるのは、ヤマハのスポーツモデル「YZF-R7」や「MT-07」などに搭載され、高い評価を得ている688cc水冷並列2気筒エンジン「CP2」をベースとした専用ユニットである。
CP2は270度位相クランクを採用することでVツインのような力強いトラクション特性を実現しながら、軽量・コンパクトな構造と優れた耐久性を両立したエンジンとして知られる。
しかし、Moto3用として採用されるユニットは市販車エンジンの流用ではない。グランプリ専用エンジンとして大幅な再設計が施され、現行Moto3マシンを上回るパワーウエイトレシオを実現するという。
さらに車体もフルサイズ化され、現在より大型化したライダーの体格やライディングスタイルへ最適化される予定だ。これにより若手ライダーはMoto2やMotoGPへよりスムーズにステップアップできる環境が整備されることになる。
「未来のチャンピオン」を育てるためのプロジェクト
今回のプロジェクトはMoto3世界選手権だけに留まらない。
若手育成カテゴリーであるJuniorGP Moto3では、2029年以降、この新型マシンをベースとしたスペックを抑えた仕様の導入が予定されているほか、世界各地域で開催される育成カテゴリーへの展開についても協議が進められているという。
つまり世界中のライダー育成システムを、同じ思想・同じプラットフォームで統一しようという構想だ。世界各国の若手ライダーが同一コンセプトのマシンで経験を積み、そのまま世界選手権へステップアップできる環境づくりを目指しているのである。
Yamaha Motor Racingのマネージング・ディレクターであるパオロ・パヴェジオ氏は、「Moto3は未来のチャンピオンが夢への第一歩を踏み出す場所」であり、このプロジェクトは単なるレースマシン開発ではなく、ライダー、チーム、そしてMoto3カテゴリー全体を支える長期的なプラットフォームづくりであると説明している。
またMotoGPチーフ・スポーティング・オフィサーのカルロス・エスペレータ氏も、Moto3は将来MotoGPで活躍するスター選手の原点であり、この新プロジェクトは世界規模でモーターサイクルレースの発展に大きく貢献するとの期待を示した。
ヤマハは2026年内にプロトタイプのテストを開始し、2027年シーズン中に新型Moto3マシンを公開する予定としている。
Moto3は2000年代以降、多くのMotoGPチャンピオンを輩出してきた重要カテゴリーだ。そのエントリークラスが、688cc並列2気筒というまったく新しいコンセプトへ移行することで、レースの迫力はもちろん、ライダー育成のあり方も大きく変わる可能性がある。
ヤマハが掲げる「Yamaha Moto3」プロジェクトは、一台のレーシングマシンではなく、未来のMotoGPを支える人材育成プロジェクトそのもの。2028年、新時代のMoto3がどのようなレースを見せてくれるのか。世界中のレースファンが、その第一歩を注目している。
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