昨年、創業35周年を迎えたオフロード&バイクアフターパーツメーカーの株式会社ダートフリーク。国内で唯一、オフロード商品を専門に輸入・製造・卸・小売を行うリーディングカンパニーの代表取締役である石田敬一郎さんがめざす「楽しさ」の創造について伺った。

細分化された顧客のニーズは現場にいてこそわかるもの

──さまざまなレースに積極的にチャレンジする一方で、その他の週末はダートフリークさんが主催・協賛されているイベントやレースの設営、準備にも携わるなど、通常の業務の間にそれだけのオフロード活動を挟むのはかなりハードですよね。それでも石田さんが自らレースに挑戦し続けているのは、やはり見ているだけではダメだと思われるからですか?

「そうですね。これは個人的な性分でもあるけど、結局オフロードの現場を知らないことには、オフロードユーザーさんの顔もわからないんですよ。ひとくちにオフロードと言っても、モトクロス、エンデューロ、クロスカントリー、トライアルなど、ジャンルが違えばお客さんの層も全然違う。MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)公認レースとローカルな草レース、JNCCみたいなアマチュアレースでも、参加するユーザー層は全く異なります。それぞれのお客さんが何に不満を持ち、どんな要望を持っているかは、現地で探らなくてはわからないんです。それに、会社を成長させることは僕に与えられた当然の使命でもある。お客さんが本当に求める商品は何か、しかも喜んで買ってくれる商品は何かを突き詰めるためには、やはり自分でコースに出て、いま何が足りないかを察知する必要があるし、それがもう習慣化されていますね」

──ユーザーの求める商品は時代によっても変わると思いますが、商品ラインアップはどのように決めているのですか?

「デイトナの頃から大事にしている考えの1つに、松竹梅の価格帯プラン、簡単にいえば高・中・低の価格帯それぞれにお客さんのニーズが存在する、というのがあります。何でも安ければ良いわけではなくて、松・竹それぞれの商品の充実化も絶対に必要。例えばモトクロスジャージだと、全日本ライダー達が着るようなFOXなどの海外ブランドが〝松〟の価格帯ですが、上下で5万円を超えてくるんですね。対して、今うちが展開している「DFG(ディーエフジー)」という自社ブランドのジャージは、上下合わせて約2万円ほど。そして、その間のグレードの他社商品もありますが、やっぱり価格が高い方が性能はいいんです。うちは海外ブランドを輸入するディストリビューターでもあるので、ウエアはFOXやアルパインスターズだったり、パーツならツインエアなどの多数のブランドを扱っていますが、今は円安もあって、どうしても輸入商品の値段が高くなってしまいます。『それでも欲しい』と思ってくださるブランド意識の高いお客さんもいれば、当然、『そこまでお金は出せないよね』ってお客さんもいらっしゃる。今後はヘルメットにしろ、ブーツにしろ、すべての商品カテゴリーで、お客さんの求める価格帯に応じた幅広い商品ラインアップを展開したいと考えています。それはうちの囲い込み戦略でもあって、極端に言うと『ダートフリークがあれば、高いモノから安いモノまで全てが揃う』と言えるまで持っていきたいんですよ」

──社長に就任して以来、特に力を入れてる商品カテゴリーを教えてください。

「DFGなどの自社商品ですね。オフロードバイクパーツブランドの『ZETA(ジータ)』は、先代社長の頃からのうちの柱商品ですが、オリジナルのギアやウエアといった身に着ける系の用品を、今後はもっと充実させていきたいです。自社で安いジャージを作ると、高価格帯のジャージが売れなくなるという意見もあるのですが、そこはさっきの松竹梅の理論で、どの価格帯にも必ず顧客ニーズはあります。重要なのは、その住み分けをしっかり分析すること。そのためにはSNSやインターネットの交流や情報収集だけでは、絶対に不十分です。分析の精度を高めるためにも、実際にレースや店頭などの現場に出て、お客さんからの正直な生の声を聞きたいというのはありますね」

画像: オリジナル用品ブランド「DFG」は、ヘルメット、ゴーグル、チェストプロテクター、エルボーガード、ブーツ、ジャージ、パンツ、グローブのほぼフル装備が10万円台で揃うコストパフォーマンスの良さで、エントリーユーザーにも大人気。

オリジナル用品ブランド「DFG」は、ヘルメット、ゴーグル、チェストプロテクター、エルボーガード、ブーツ、ジャージ、パンツ、グローブのほぼフル装備が10万円台で揃うコストパフォーマンスの良さで、エントリーユーザーにも大人気。

オフロードの「楽しさ」を加速し、提案することが使命

──日本で唯一のキッズオフロードバイクレースシリーズ『44キッズクロス』に全面協力していたり、全国各地のイベントでキッズ向け電動バイク『ヨツバモト』の試乗会・体験会を開催するなど、キッズライダーの育成に力を入れていますね。

「今年で5年目となる『44キッズクロス』は〝中部から世界へ〟をキャッチコピーに、プロモトクロスライダーで、現在はベルズレーシングのライダー兼監督の小島庸平くんと始めたもの。体験会や試乗会に関しては、自社ブランドの『ヨツバモト』を広めるという狙いもありますが、子供達の育成には可能な限り取り組むべきだ、という使命感めいたものも感じています。もちろん一般企業なので、採算を全く度外視とはいきませんが、ヨツバモトが初めて幼児向け電動バイクを発売したのが2017年。その時のプロモーションビデオにモデルとして出てくれた子は、すでに中学生なんですね。その子はいま自転車のMTBに夢中ですが、キッズバイクにも乗り続けています。そしていまキッズクロスで走っている5歳とか6歳の子供達も、10年後には16歳になります。そうやって幼い頃にバイクとの楽しいストーリーを体験した子供達の方が、自分が二輪免許が取れる年齢になった時に、バイクに乗り始めるという選択をする確率が高くなると思うんです。だから我々は、オフロードの楽しさを知る未来のライダーを少しでも増やすために、1人でも多くの子供がバイクに触れる機会を、10年構想で作り続けていかないといけないんです」

──ダートフリークさんの商品づくりや活動の根底にはいつも、「楽しさ」を伝えたいという思いがあると感じます。

「昨年、プロモーションチームと一緒に〝楽しいを加速しよう〟という意味の〝Speed up the FUN〟というサブメッセージを考えましたが、我々は〝楽しさ〟をどんどん加速して提案していくべき会社だ、という思いがあります。楽しいことには、皆さん気持ち良くお金を使ってくれますからね(笑)。現代はどうしてもフラストレーションが溜まりやすい時代ですが、そういうストレスだって、オフロードは解消してくれることを知って欲しい。大のおとなが雨の中でどろんこ遊びをして、ドロドロになっても大笑いしてるとか、普通はなかなかできない体験ができるのがオフロードの魅力だし、その楽しさを味わえる場所や機会を提案することも、我々の役割だと思います」

──まさに、ダートフリークさんが目指すビジョンとして掲げる「バイクと自転車の『楽しい』を創造する」ですね。

「ちょっと生臭い話で恐縮ですが、うちは会社の収益と従業員の給与をある程度連動させているので、みんなの給料を上げたいとなったら売り上げを上げるしかないんですね。そして売り上げを上げるためには、お客さんが買ってくれる商品を作るしかない。となると、ではお客さんがお金を払っても欲しいと思ってもらえる商品は何かって話になるし、我々が考えるべきことは結局いつもそこに戻るんです。お客さんが楽しんでくれて、オフロード人口が増えて、みなさんがうちの商品をいっぱい買ってくれたら、うちの従業員たちも豊かになれる。そのためには、この業界全体を盛り上げないといけないというのが結論なので、本当にコーポレートメッセージのミッション『世界中のライダーへ価値ある商品と環境を提供する』ことが会社としても、二輪業界の中の役割としても、我々の使命なのだと思います」

オン・オフで遊べる、軽くて小さな電動原付オフローダー「GE-N3」

画像4: 〈インタビュー〉ダートフリーク 代表取締役社長 石田敬一郎さん|お客さんが真に求め、喜ぶ商品づくりを突き詰めたい【ブランドの歴史】

ダートフリークが手掛ける子供用電動バイクブランド「ヨツバモト」から誕生した「Meow(ミャウ)」「「WOOF(ウーフ)」に続く第3弾として登場したのが「GE-N3(ゲンさん)」(上写真・左)だ。

ブランド初の公道走行ができるシティコミューターでありながら、重量58kgの軽量コンパクトなボディにハードエンデューロコースも難なく走破するオフロード走行性能を備える。さらに2026年MCショーでは「GE-N3mini」プロトタイプ(上写真・右)が初披露された。

画像: 「GE-N3」は後輪軸出力は最大で230Nm。電動バイク特有の低速時の力強さがオフロード走行で威力を発揮。

「GE-N3」は後輪軸出力は最大で230Nm。電動バイク特有の低速時の力強さがオフロード走行で威力を発揮。

画像: 「GE-N3」は原付1種として公道走行も可能。

「GE-N3」は原付1種として公道走行も可能。

画像: こちらは子ども用電動バイク「WOOF」

こちらは子ども用電動バイク「WOOF」

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