レポート:河村大志
小椋藍が最高峰クラス初のポールポジションを獲得!
土曜日の予選は日本とは異なり晴天に恵まれ、気温28度のドライコンディションのなかで行われた。
予選Q2ではドゥカティのふたりが連れ立ってコースイン。マルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)が先頭でアタックに入ると、1分51秒856をマークしたものの、このタイムは後にトラックリミット違反で抹消された。そして後方でアタックしていたライバルたちが次々とそのタイムを更新していった。
セッション序盤にトップに立ったのは、1分51秒643を記録したファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)。2番手にはルーキーのディオゴ・モレイラ(Pro Honda LCR)が続き、小椋は3番手につけた。
セッション後半ではドゥカティワークスの2台が躍動。フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が1分51秒383をマークし、マルク・マルケスも1分51秒436の僅差で続く。
そんなチャンピオンチームを上回ったのが小椋藍(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)だった。

レコードブレイクで初のポールポジションを獲得した小椋。
小椋はコースレコードを更新する1分51秒139を叩き出しトップに浮上。その後、ライバル勢もアタックするも小椋のタイムには届かずセッションは終了、小椋が自身初となる最高峰クラスでのポールポジションを獲得した。
日本人ライダーによるMotoGPクラスのポールポジション獲得は、2020年の中上貴晶以来、6年ぶりの快挙だ。

初日トップだった小椋が、勢いそのままに予選も制圧。
2番手はディ・ジャナントニオ、3番手にはバニャイアが並んだ。ポイントリーダーのマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)は4番手で予選を終えている。
小椋がスプリント最高位となる2位獲得!バニャイアが今季初のスプリント優勝
Moto2、Moto3クラスの予選を挟んで行われたスプリントでは、今大会から復帰したアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)がスプリントと決勝を欠場することが発表された。予選では14番手につけていたが、状態を鑑みての判断だという。
上位勢では、前後ミディアムを選択するライダーが多いなか、ドゥカティワークスの2台がリアにソフトを履きスプリントに挑んだ。

バニャイアがトップに立ち、小椋が首位の座を奪い返すべく追走する。
10周で争われるスプリントレースは、3番グリッドスタートのバニャイアがホールショットを奪い、トップに浮上。小椋は2番手で、モレイラ、マルク・マルケスと続いた。
好スタートを決め、一気に3番手にポジションを挙げたモレイラだったが、1周目に転倒。これでマルケスが3番手に浮上した。
トップに立ったバニャイアはソフトタイヤの優位性を活かすべく序盤からペースアップ。小椋との差を徐々に広げていき、今季初優勝に向けてひた走る。
しかし、レースが折り返し時点を迎えると、小椋が徐々にバニャイアとの差を詰めていく。また、3番手のマルケスも小椋を上回るペースで接近し、トップ3は等間隔でそれぞれ約0.5秒ほどのギャップとなる。

チャンピオン経験者2人を相手に一歩の引かない小椋。
小椋はマルケスのプレッシャーを受けながらも隙を見せず、ファイナルラップではバニャイアに迫っていく。その差0.2秒まで詰めるもオーバーテイクを仕掛けるには至らなかった。
トップのバニャイアはそのまま逃げ切りトップチェッカーを受け、今季初となるスプリント優勝となった。
小椋は2位で、スプリントレースでは初表彰台を獲得、3位はマルケスが続いた。
5番手を走っていたランキングトップのベッツェッキはレース終盤に痛恨の転倒を喫しリタイア。チームメイトのホルヘ・マルティン(Aprilia Racing)は5位でフィニッシュし、両者の差は15点差まで接近している。
2026 MotoGP 第9戦チェコGP スプリント結果

ベッツェッキが決勝不参加に。タイトル争いはさらに激化の予感
現在ポイントリーダーのベッツェッキは、スプリントで転倒を喫した際、マシンを回収しようとしていたマーシャルを2度殴打。この暴力行為により、ベッツェッキは決勝レースへの出場禁止処分を受けた。
公式映像を確認すると、マーシャルがバイクを起こす際、誤ってエンジンをふかしてしまいベッツェッキが激昂した様子が映っていた。
スポーツマンシップに反する行為を行ってしまったベッツェッキは、日曜日に公式声明を発表し謝罪。また、ベッツェッキは暴力行為を行ってしまったマーシャルの元を訪れ直接謝罪し、和解のハグを交わしている。
転倒直後という最もフラストレーションが溜まったいる状況で、オーバーレブの恐れがある対応をされたベッツェッキとしては、危険でエンジンが壊れる可能性がある対応をしてしまったマーシャルに怒りを覚えてしまうことは無理がない。しかし、それでも暴力行為というやってはいけないことをしてしまったことに対するペナルティは仕方のないことだろう。
ベッツェッキにとっては今大会のノーポイントが確定。ドゥカティワークスが復調しつつあるなか、あまりにも痛い結果となった。次戦以降負の連鎖を止めることはできるのであろうか。
小椋藍が自身最高位となる2位!マルケスが連勝
決勝も天気に恵まれ、気温31度、路面温度48度と暑いコンディションに。21周の決勝レースは、ポールシッターの小椋がホールショットを奪い、バニャイア、マルケスが続く。
スプリント同様に序盤からペースの良いバニャイアが2周目に小椋を捕らえトップに浮上。さらにマルケスも続き、小椋は3番手に後退した。
3台は周回によって変化はあれど、0.6秒差前後のギャップで周回。しばらくこう着状態が続いたが、折り返し時点を迎えると2番手のマルケスが動いた。

チャンピオン2人と一歩も引かないバトルを繰り広げた小椋。
徐々にバニャイアとの差を詰めていったマルケスは、16周目のターン4でバニャイアをパスしトップに浮上。先頭に躍り出たマルケスが一気にペースを上げるなか、これに小椋が反応する。
翌17周目のターン10で鋭いブレーキングによりバニャイアを攻略し2番手に浮上。トップのマルケスとの差は0.8秒ほどだった。
マルケスと小椋はともにペースを上げ一進一退の攻防を見せる。互いにタイムを削る力走を見せ、その差は0.5秒前後のままいよいよファイナルラップに突入。
小椋は最終周でマルケスを上回るタイムを刻むも、0.421秒届かず。マルケスが小椋とのバトルを制し、前戦ハンガリーに続き優勝を飾った。
絶対王者マルケスをあと一歩のところまで追い詰めた小椋だったが惜しくも2位でフィニッシュ。チェッカーを受けた直後は悔しさを露わにした。しかし、最高位を更新し、自身2度目の表彰台を獲得。チャンピオン経験者たちに、小椋藍という存在を強烈に印象付ける走りを見せた。
2026 MotoGP 第9戦チェコGP 決勝結果



