ロイヤルエンフィールドのAPAC地域統括責任者を務めるマノジ・ガジャルワール氏。17年にわたりブランドの進化を牽引してきたリーダーが見据えるのは、“ピュア・モーターサイクル”という原点の再定義だ。成熟した日本市場に、どのような新しい潮流を起こそうとしているのか。その哲学と展望を伺った。
まとめ:オートバイ編集部

ロイヤルエンフィールド社 APAC責任者にインタビュー

画像1: 〈インタビュー〉ロイヤルエンフィールド社APAC責任者・マノジ・ガジャルワール氏|「数字の先にあるのは、ひとりのライダーの物語」17年の経験が導く、新たな原点

マノジ・ガジャルワール氏

ロイヤルエンフィールド 
アジア太平洋地域事業責任者

ロイヤルエンフィールドのAPAC(アジア太平洋)事業を統括するマノジ・ガジャルワール氏(Manoj Gajarlawar)。2008年にロイヤルエンフィールドへ入社して以来、アジア太平洋、中東、アフリカ、SAARC地域における国際的な事業やスペアパーツ事業、認定中古車ビジネスなどを幅広く担当してきた。2025年にはアジア太平洋地域のビジネス責任者に就任し、バンコクを拠点に日本、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシアなど主要マーケットの事業戦略を統括している。

17年の軌跡と〝正直であること〟への信念

画像: 17年の軌跡と〝正直であること〟への信念

──ロイヤルエンフィールドでの17年間を振り返り、キャリアの転機となった出来事や、リーダーとして大切にしてきた考え方をお聞かせください。

ロイヤルエンフィールドに入社してから今日までの17年は、本当にあっという間でした。最初はインド国内の現場から始まり、そのあと中東やアフリカ、それからアジア太平洋のビジネスも任されるようになりました。いろいろな国を回るなかで強く感じたのは、「どんな数字の後ろにも、必ずライダーひとりひとりの人生がある」ということです。

つまり、売上やシェアを追いかけるだけではなく、その国の文化やライダーの物語をちゃんと理解しなくてはならない、という考えはずっと大事にしてきました。そしてリーダーとして一番意識しているのは、「ユーザーに対して正直であり続けること」です。短期的な成果よりも、長く信頼してもらえるかどうか。

販売だけでなく、アフターサービスやスペアパーツまでを含めて、ブランドとのつき合いが心地よいものになっているかどうかです。その意味でも、営業とパーツ・サービスの両方に関わってきた経験は、とても大きかったと思います。

──これまでご担当されてきた地域と比べて、日本市場にはどのような可能性を感じていますか。そして今後の目標もお聞かせください。

APAC(アジア太平洋地域)の中でも、とくに日本には大きな可能性を感じています。日本には成熟した二輪文化があって、移動の道具としてだけでなく、「自分の時間を楽しむためのバイク」という受け止め方をしている方が多いように感じます。

ロイヤルエンフィールドが大事にしている“ピュア・モーターサイクル”という考え方と、日本のライダーの価値観はかなり相性がいいと感じています。これから3〜5年の間に、日本でロイヤルエンフィールドの存在感をぐっと高めて、ミドルクラスのカテゴリーで「このクラスならロイヤルエンフィールドだよね」と言われるようになりたいです。

そのためにディーラーネットワークを広げるのはもちろんですが、イベントやコミュニティを通して、「このブランドと一緒に過ごす時間って楽しいよね」と感じてもらえる場を増やしていきたいです。

──独自の二輪文化を持ち、国産メーカーが強い日本市場について、どのような印象を抱き、そしてどのようなブランドに育てていきたいですか。

日本のライダーに初めて会ったとき、「すごく真面目で、同時にすごくバイクが好きな人たちなんだな」と感じました。スペックやメカニズムにとても詳しい一方で、自分なりの楽しみ方もちゃんと持っています。国産メーカーが強いのは当然なんですが、その中でも海外ブランドに対してオープンマインドな方が多いのは、いい意味で驚きでした。

今後日本でロイヤルエンフィールドをさらに成長させるために、「日常とちょっとした冒険をつないでくれる相棒」のような存在にしたいですね。通勤や街乗りにも使えますし、週末はそのまま少し遠くまで走りに行ける。派手ではないけれど、気づいたらいつもそばにいる。そんなポジションが理想です。それを実現するために私は三つのことを重視しています。

まずは、安心してバイクライフを任せられる販売・サービス網をしっかり整えること。次に、試乗会やツーリングイベントなど、実際に触れてもらえる機会を増やすこと。そして最後に、オーナーさん同士が自然につながれるようなコミュニティ作りです。

ロイヤルエンフィールドの魅力は、バイクそのものだけじゃなくて、「そのバイクに乗っている人たちの雰囲気」にもあると思っているので、日本でもその空気感を育てていきたいですね。

125周年が導いたクラシック650の答え

画像: 125周年が導いたクラシック650の答え

──ロイヤルエンフィールドの125周年を記念して「クラシック650」を選ばれた理由と、そのモデルに込めたストーリーについて教えてください。また、「ブリット」というモデル名を650ツインとして再定義した意図や、クラシックとの違いについてもお聞かせください。

125周年という節目に、あらためて「ロイヤルエンフィールドらしさって何だろう?」と自分たちに問い直しました。その答えのひとつが、クラシックが持っている普遍的なスタイルと乗り味でした。だからこそ、その血統を受け継ぎつつ、今のライダーの期待にも応えられるモデルとしてクラシック650を用意しました。

デザインでは、タンクのラインやメーターまわり、クロームの使い方など、どこかハンドメイドを感じてもらえるような質感を意識しています。ハイテクというよりは、長く付き合ううちに味が出てくるような存在であってほしいです。そのあたりに、クラフトマンシップへのこだわりを込めました。

そして「ブリット」の名前には、ロイヤルエンフィールドの歴史の中でも特別な重みがあります。その名前を650ツインに冠したのは、過去の名をただ復活させるのではなく、「これからの時代のブリット」を提案したかったからです。クラシックがどこかエレガントでタイムレスな雰囲気だとすれば、ブリットはもう少しストレートでタフ、道具感のあるキャラクターですね。

クラシック650は、スタイルや雰囲気をじっくり味わいたい人向け。ブリット650は、よりシンプルに「走ること」を楽しみたい人や、カスタムのベースにしたい人にフィットするでしょう。同じ650のツインでも、選ぶモデルでライフスタイルが少しずつ変わってくる。そんな関係性をイメージしています。

──日本のロイヤルエンフィールドファンに向けてメッセージをお願いします。

日本のロイヤルエンフィールドファンの皆さん、そして我々のバイクに興味を持ってくださり、実際に選んでくださったことに、心から感謝します。ロイヤルエンフィールドは、高出力なスペックシートで勝負するブランドではないかもしれません。

が、そこにロイヤルエンフィールドならではの「乗り味」や「ストーリー」を感じていただけるブランドでありたいと思っています。もしまだ乗ったことがない方がいらっしゃったら、ぜひ一度、試乗してください。カタログでは分からない“感覚”の部分を、きっと感じてもらえるはずです。

そしてロイヤルエンフィールドにお乗りの皆さんには、これからも皆さんと共にバイクライフを歩んでいけたら、とても嬉しいです。一緒に、日本から新しい歴史を作っていきましょう。

バイクライフを支える「販売・サービス・コミュニティ」という三本柱

世界同日開催のライドイベント「One Ride」などを通じて、日本各地の正規販売店や会場を拠点に、オーナーやファンが集うミーティングを全国規模で展開している。

画像2: 〈インタビュー〉ロイヤルエンフィールド社APAC責任者・マノジ・ガジャルワール氏|「数字の先にあるのは、ひとりのライダーの物語」17年の経験が導く、新たな原点
画像3: 〈インタビュー〉ロイヤルエンフィールド社APAC責任者・マノジ・ガジャルワール氏|「数字の先にあるのは、ひとりのライダーの物語」17年の経験が導く、新たな原点

CE対応ジャケットやブーツなどのライディングギアに加え、Tシャツやフーディーなど日常でも着られるアパレルを幅広く展開している。

画像4: 〈インタビュー〉ロイヤルエンフィールド社APAC責任者・マノジ・ガジャルワール氏|「数字の先にあるのは、ひとりのライダーの物語」17年の経験が導く、新たな原点
画像5: 〈インタビュー〉ロイヤルエンフィールド社APAC責任者・マノジ・ガジャルワール氏|「数字の先にあるのは、ひとりのライダーの物語」17年の経験が導く、新たな原点

ロイヤルエンフィールド社APAC責任者インタビュー写真

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