いまやほとんどの人が名前は知っている安全装置がABS(アンチロック・ブレーキ・システム)だが、その効能や機能についてはあまり知らないのではないだろうか? 1995年にABSを登場させてから30周年を迎えたボッシュが、最新ABSの機能と効果を体感させてくれる試乗会を開催したので、早速体験してみよう。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海/協力:BOSCH
※本ページで紹介しているABSシステムの各機能は、ライダーの安全な走行をサポートする機構で、事故や転倒を回避できるものではありません。走行の際は安全に留意した、慎重な運転を心がけましょう。

テスト1.最新のコーナリングABSの実力を試す!

コーナリングABSとは?

画像: ▲コーナリングABSの主要構成パーツがこちら。ECUはトラクションコントロール等、エンジン制御システムとの連携が必要な機能を実装する際、インターフェースとして使用する。

▲コーナリングABSの主要構成パーツがこちら。ECUはトラクションコントロール等、エンジン制御システムとの連携が必要な機能を実装する際、インターフェースとして使用する。

ブレーキ時にタイヤがロックしてしまうのを防ぎ、安定した減速を可能にするのがABS(アンチロック・ブレーキ・システム)だが、タイヤがロックしやすく、ハードブレーキングによる転倒のリスクが高いコーナリング中でも安定した減速を行ない、急な車体の起き上がりなど、車体姿勢の乱れも抑制してくれるのがコーナリングABSだ。

IMU(慣性計測装置)で車体の挙動を検知し、前後のスピードセンサーから検知した前後輪のスリップ状況も加えてABSユニットに搭載されたコントロールユニットが判断、最適な制動力を算出してブレーキ圧を調整。コーナリング中の急制動時の転倒リスクを減らすのに加え、走行ラインの修正が必要な際も安心感をもって操作が可能だ。

画像: テスト1.最新のコーナリングABSの実力を試す!

通常なら即転倒、の状態でもコケない絶妙アシスト!

「車体がバンクしている状態でブレーキを強く掛ける」ことは通常タブーとされている。ブレーキ効力が強過ぎるとフロントタイヤはグリップ限界を超えて外側に押し出され、ハンドルが内側に切れ込んで、あっという間に転倒してしまう。

世界トップレベルの技術を持つモトGPライダーでもこうした転倒が多いこともコーナリング中のブレーキコントロールの難しさを物語っているし、僕もそうした転倒を経験して恐怖感が体に染みついている。

テスト車に跨がると、ボッシュのスタッフさんが微笑みながら「思い切りブレーキをかけてみてください」と言う。さすがにそれは怖いので徐々にブレーキを強めていったのだが、やってみると拍子抜けするほど何も起きない。

画像: ▲フロントフォークがブレーキングでフルボトムしているのに注目。通常なら転倒コースでも絶妙なアシストでグリップを失わない。

▲フロントフォークがブレーキングでフルボトムしているのに注目。通常なら転倒コースでも絶妙なアシストでグリップを失わない。

車体左右に付けられた転倒防止用のアウトリガーの先端が接地するまでバンクさせた状態で、通常なら一発でロック→即転倒の握り方、踏み方をしても車体挙動を乱さずギュン! と減速する。腕から伝わる前輪の接地感とフロントフォークの動き、尻で感じるリアタイヤの接地感でABSが介入していることは判るが、タイヤはしっかりグリップしたままで、コーナリングラインの変化も意識しないと判らないほど僅かでしかない。

これまでコーナリングABS付きの車両に乗ってもコーナリング中に介入させることは避けてきたし、効果を体感した今でもABSに頼るような操作は禁物だと思う。ブレーキの強弱に関わらず、路面とタイヤのグリップが低ければ転倒するから、あくまでパニックブレーキ時のアシストとして捉えるべきだ。

ただ、そのアシスト力は想像を遙かに超えたレベルに進化している。ライダーの安全に大きく貢献することは間違いない。

画像: ▲コーナリング中のリアスライドもドラッグトルクコントロールが介入してスリップ量を調整。スリップダウンやハイサイドを未然に防いでくれる

▲コーナリング中のリアスライドもドラッグトルクコントロールが介入してスリップ量を調整。スリップダウンやハイサイドを未然に防いでくれる

30年の進化でユニットの重量が10分の1に!

画像1: ライダーの安全を守って30年! 最新ABSの驚異の機能と実力を体験取材【BOSCH ABS 30周年試乗会】

写真向かって右側に持っているのは、1995年のカワサキ・GPZ1100に搭載されたボッシュ初の二輪車用ABSシステムで、左はボッシュ製の最新ABSユニット。

四輪用のユニットを転用し、大きく重かった30年前の装置は、いまや同等以上の機能を保持しながら、重さはなんと10分の1にまで軽くなっており、サイズも非常にコンパクト。

搭載位置の自由度が高く、コストも抑えられ、ABSはいまやほとんどのバイクに標準装備されるようになっている。

テスト2.ウェット路面でも安心! ABS+トラコンの威力を体感

ABSの威力を体験できる状況のひとつがウェット路面。今回は転倒防止のアウトリガーを付けた状態で、ウェットを想定した路面ミューの低い、滑りやすいコースでABSを存分にテストしてみたぞ!

画像: テスト2.ウェット路面でも安心! ABS+トラコンの威力を体感

スムーズな作動でライダーに恐怖心を与えない!

ウエット路面でのブレーキングでは、ブレーキをジワッと入力してタイヤに掛かる荷重を穏やかに増やしていき、タイヤのグリップ力を感じながらコントロールすることが重要。急ブレーキをかけてしまうと車体の挙動を乱し、グリップ状態も掴みにくくなるからだ。

しかし、パニックブレーキをかける必要がある場面では、そんな微妙なコントロールをしている余裕などはない。だから、近年のバイクに搭載されている各種の電子制御の中でも、ABSは最も重要なのだ。

今回ウェット路面をテストしたコースは特殊なタイルを使った舗装の上に水を撒いたもので、半分凍っているような感覚のツルツル路面。まずは直進状態でリアブレーキペダルを一気に踏んでみたところ、ブレーキ圧が抜ける→復帰する、の繰り返しがスムーズで、恐怖感はゼロ。

フロントブレーキをガツンとかけるのはさすがに緊張するが、転倒防止のアウトリガーを信用してギュッと握ってみると、リア同様にギクシャクせず普通に減速する。ドライ路面のように短距離で止まることはないが、タイヤが一瞬ロックしただけ。ツルツルの路面でも躊躇なくブレーキングできる。

画像: ▲意図的にリアを振り出した状況からブレーキングしてみても、車体姿勢を大きく乱すことなくスッと停まる。見ていてあっけないほどの安定感だ。

▲意図的にリアを振り出した状況からブレーキングしてみても、車体姿勢を大きく乱すことなくスッと停まる。見ていてあっけないほどの安定感だ。

ドライ路面→濡れた路面→特殊路面の連続で路面のμ(※ミュー=摩擦係数)が大きく変化する部分でも試したが、μに合わせてABSの介入度も変わるから、入力のコントロールは不要。急に姿勢が変わって慌てるようなことはなかった。

ABSとトラクションコントロールがあれば、ウェット路面での危険性は格段に低くなる。一度体験すれば、誰でもその効果を体感できるはずだ。

急坂でも安心の「ビークルホールド機能」!

画像2: ライダーの安全を守って30年! 最新ABSの驚異の機能と実力を体験取材【BOSCH ABS 30周年試乗会】

ABSの機構を活用した便利機能のひとつがビークルホールドコントロール。坂道発進や坂道停止時にブレーキを操作しなくても停車状態を維持する機能だ。

作動条件や解除方法はメーカーにより異なるが、坂道でブレーキをかけて完全に停車するとセンサーがバイクの停車を検知し、ABSユニットを介して液圧を発生&キープ、ブレーキ操作をしなくてもブレーキをかけた状態を維持してくれる。勾配の厳しい場所などでの転倒リスクを大きく減らしてくれるメリットがある。

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