アレックス・マルケスがスプリント優勝
最終戦の予選でポールポジションを獲得したのはマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)。勢いに乗るアプリリアのエースがレコードを更新してみせた。2番グリッドにアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)、3番グリッドにはファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)が入った。
バレンシアには今季8度目のタイトルを獲得したマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)も姿を見せた。年間で最も予選で最速タイムを出したライダーに贈られる「BMW M Award」の授賞式に出席、自身8度目の受賞となった。

自身8度目の「BMW M Award」の受賞となったマルク・マルケス。
曇り空のもと、13周で行われたスプリントレースは、アレックス・マルケスがホールショットを奪う。一方、ポールシッターのベッツェッキはペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)、ラウル・フェルナンデス(Trackhouse MotoGP Team)、ジャンアントニオと立て続けに抜かれてしまった。ライン取りのミスかと思われたが、ベッツェッキはレース後マシンにトラブルがあったことを明かしている。

アレックス・マルケスがベッツェッキを捕えトップを奪取。
2周目のターン2、ルカ・マリーニ(Honda HRC Castrol)とジョアン・ミル(Honda HRC Castrol)がまさかの同士討ち。先頭争いでアレックス・マルケスとアコスタが抜け出し、トップ2と3番手のフェルナンデスとの差は1秒に広がった

ミルのミスによりマリーニが巻き込まれてしまった。
初優勝を狙うアコスタだったが、中盤に入るとアレックス・マルケスとの差が1秒に拡大。後方ではフェルナンデスとジャンアントニオの差が0.2秒差と接近戦を展開していた。

序盤は神経戦となったアレックス・マルケスとアコスタだったが、その差は徐々に広がっていく。
フェルナンデスを射程距離内に定めたジャンアントニオは、残り2周でオーバーテイク。フェルナンデスは食い下がるも、ここはジャンアントニオに軍配が上がった。
アレックス・マルケスはアコスタとの差をさらに広げトップチェッカー。スプリントでは今季3度目の優勝となった。2位にアコスタ、3位にはジャンアントニオが入った。
ベッツェッキは5位でフィニッシュも、フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が14位でフィニッシュしたため、ランキング3位を確定。さらにアコスタもバニャイアを抜きランキング4位に浮上している。
小椋藍(Trackhouse MotoGP Team)は予選12番手から9位でフィニッシュ。見事な追い上げをみせ、入賞を果たしている。

アレックス・マルケスはスプリントで今季3勝目を挙げた。
ベッツェッキが今季3勝目!小椋は無念の転倒リタイア
決勝も上空には雲が多く、気温18度、路面温度19度のドライコンディション。スタート前、グリッドにつく際にフランコ・モルビデリ(VR46)がアレイシ・エスパルガロ(ホンダ)に追突し転倒してしまうアクシデントが発生。モルビデリはピットロードに向かい、レースは予定通りスタートした。

ベッツェッキが逃げるなか、バニャイアは貰い事故でリタイアに。
27周の決勝ではベッツェッキが好スタートを切りトップを死守。スプリントとは違い、ベッツェッキは早くもギャップを築いていった。
オープニングラップのターン4ではヨハン・ザルコがブレーキングで止まりきれず、バニャイアを押し出してしまう。今季好不調の波に苦しんだバニャイアだが、最終戦も厳しい結果となった。なお、この接触によりザルコにはロングラップペナルティが科されている。
7周目、スプリントで力走を見せ、決勝も好成績への期待が高まっていた小椋だったがターン1で転倒。最高峰クラス1年目は無念の転倒で終了となった。
トップ争いはこう着状態が続いていたが、2番手のアレックス・マルケスのペースが下がっていく。ベッツェッキとの差は広がり、逆に3番手のフェルナンデスとの差が縮まった。
2番手との差を縮めたフェルナンデスは11周目にアレックス・マルケスをオーバーテイクし2番手に浮上。アレックス・マルケスはアコスタ、そしてジャンアントニオにもパスされてしまう。
フェルナンデスがアレックス・マルケスを攻略した時、トップのベッツェッキとの差は約1秒の差があった。しかし、終盤になるとフェルナンデスがベッツェッキとの差を急激に詰めていき、自身2勝目を狙う。

ベッツェッキに迫るフェルナンデス。今季後半戦を象徴するトップ争いとなった。
しかし、トップのベッツェッキはフェルナンデスに隙を与えることなくトップチェッカー。飛躍の年となった今シーズンを優勝で締め括った。
フェルナンデスが2位に入り、アプリリアがワンツーフィニッシュ。3位にはアコスタとのバトルを制したジャナントニオが入った。
来シーズンからSBK(スーパーバイク世界選手権)に参戦するミゲル・オリベイラ(プラマック)は11位、ソムキアット・チャントラ(LCR)は17位でMotoGPラストレースを完走。来季の最高峰クラスにはSBKで3度の世界タイトルを獲得したトプラク・ラズガットリオグル、そして今季Moto2クラスでブラジル人初の世界王者に輝いたディエゴ・モレイラが参戦する。
2025 MotoGP 第22戦バレンシアGP 決勝結果

アプリリアがワンツーフィニッシュ。ジャンアントニオがドゥカティ勢として一矢報いた。

レポート:河村大志


