文：西野鉄兵／写真：大冨 涼
一般的なレインスーツとは一線を画す！ 濡れないことだけに一点集中した合羽
Makku × BLUE MONSTER CLOTHING
レインアーマー
カラー：ホワイト、サックス、レッド
サイズ：M、L、LL、EL
発売日：2025年8月25日（月）
販売店：BMC公式オンラインストア、2りんかん全店
税込価格：7980円
レインウエアは防水性や撥水性とともに、透湿性や通気性をウリとしたものが一定価格以上の製品では主流です。
そんななかBMCが初めて手掛けたレインスーツである、この「レインアーマー」は透湿性という概念を捨て、その代わりに“濡れないこと”を突き詰めて、能力を防水性に全振りしています。
アーマー（鎧）という名称にふさわしい分厚い生地を採用。持った瞬間にいままで使ってきたバイク用の合羽とは異なる重みを感じます。
▲パッケージにも記された“豪雨の中でも濡れない合羽”のキャッチコピー。BMCがレイン用品専門メーカーMakkuに企画を持ち込み、生まれたライダー専用のレインスーツです。
構造は縫い目を減らすため極力シンプル。通気性を持たせるベンチレーションなどは備わっていません。縫い目部分の裏地は執拗なまでにシームテープが施されています。
ネックガードとメッシュフードという脱着可能なパーツを備え、首元も徹底ガード。ジャケットの丈はかなり長めで、浸水を防ぐことへの並々ならぬ執念のようなものを感じます。
私の手元に届いてから約3週間、ようやく雨が降ったタイミングでバイクに乗れる機会が訪れました。
外に出ると、想像以上にけっこうな勢いの雨でした。
小一時間、豪雨と言って差し支えない中を走ってみました。
結果──浸水はしていなかったと思います。
ギリギリ濡れなかったという感覚ではなく、濡れる気がしなかったという印象です。
“浸水はしていなかったと思います”と濁したのは、レインアーマーの内部から濡れてしまったため。つまり汗をかきました。
手元とパンツの裾は、ビタッとベルクロでガード。首元は先述のネックガードとメッシュフードで浸水防止。ジャケットの前合わせも二重のフラップで徹底防御。雨が入り込む隙がありません。
合羽が浸水した際はその直後に「冷たっ！」と気づくものです。よくあるのは、お尻まわりでしょう。パンツは臀部の縫い目を極力なくし、構造上どうしても縫い目が必要な部分には三重のシームテープが施されています。
今回のテスト前に、一度洗濯をしていました。そのため撥水性は新品状態から比べるとだいぶ落ちていたはずです。ポリ塩化ビニル引きのポリエステル100％生地、それ自体が高い防水性を持っていることが体感できました。
雨の中を走りながら頭に浮かんだのは、真空パックのビニール袋。肉や魚を冷蔵庫に入れる際に使うアレです。ツーリングバッグの中で絶対に濡らしたくない衣類などを守るために使っている人もいるでしょう。各部がピタッと密閉され、真空パックされている気分になりました。
それゆえ雨にはめっぽう強い。反面、逃げ場のなくなった蒸れは汗に変わっていきました。
ライダーにとって、もっとも過酷な環境は、冬場の雨天です。透湿性や通気性が低いということは、防風性が高いとも言い換えられます。本領を発揮してくれるのは、これからの先の季節でしょう。
高原や山岳道路をツーリングしていると、合羽をプラスアルファの防寒着として活用しているライダーをよく見かけます。そういった使い方にもうってつけ。
完全に割り切った考え方から生まれた「レインアーマー」、長い目で見ても今後たくさんお世話になりそうです。
本気で雨を防ぎたいという方にイチオシ。振り切った考えから生まれた普通じゃない感じ、半端じゃない感じをぜひ体感いただきたいです。
