2025年9月5日から7日にかけて、スペインのカタロニア・サーキットにてMotoGP第15戦カタルーニャGPが行われた。連勝街道を突っ走るマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)は次戦サンマリノでタイトルを決める可能性が出てきた。しかしそれに待ったをかけたのはランキング2位につける弟アレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)だった。

レース終盤にドラマ! マルク・マルケスがスプリント14勝目

画像: 序盤はクアルタラロと激しいバトルを繰り広げていたマルク・マルケス。

序盤はクアルタラロと激しいバトルを繰り広げていたマルク・マルケス。

スペインらしい晴天となった土曜日。予選ではアレックス・マルケスが2023年以来、自身2度目のポールポジションを獲得した。2番手にはファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)、3番手にマルク・マルケスが並んだ。また、小椋藍(Trackhouse MotoGP Team)は8番グリッドから上位フィニッシュを狙う。

気温28度、路面温度40度のドライコンディションのなか、12周のスプリントレースがスタート。

ポールシッターのアレックス・マルケスがホールショットを奪い、クアルタラロとマルク・マルケスが続く。クアルタラロとマルク・マルケスが激しいバトルを繰り広げていき、2周目のターン1でマルク・マルケスがクアルタラロをオーバーテイクし2番手に浮上。そこに4番手のペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)も背後につける。

しかし、アコスタのペースが上がらずファビオ・ディ・ジャナントニオ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)に抜かれ5番手に後退することに。一方、トップのアレックス・マルケスは2番手のマルク・マルケスとの差を徐々に広げはじめていた。

中盤なると、フランコ・モルビデリ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)とホルヘ・マルティン(Aprilia Racing)が接触、フェルミン・アルデゲル(BK8 Gresini Racing MotoGP)とマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)が接触するなど転倒が相次ぐことに。

波乱は続く。残り3周のターン10でトップを走行していたアレックス・マルケスがフロントを失い転倒してしまったのだ。

弟のまさかの転倒により労せずしてトップに立ったマルク・マルケスがトップチェッカー。思わぬ形でスプリントレース14勝目を挙げた。2位はクアルタラロ、3位はディ・ジャナントニオが獲得した。

小椋はスタートで順位を落とすも、巻き返しをみせ9位でフィニッシュ。スプリントでは久々のポイント獲得となった。

画像: まさかの優勝を果たしたマルク・マルケス。運も味方につけスプリント14勝目を挙げた。

まさかの優勝を果たしたマルク・マルケス。運も味方につけスプリント14勝目を挙げた。

アレックス・マルケスが土曜日の雪辱を晴らす今季2勝目

画像: 最強の兄を抑えトップをひた走るアレックス・マルケス。

最強の兄を抑えトップをひた走るアレックス・マルケス。

土曜日に比べ雲が多くなったものの決勝のドライコンディションとなった。気温28度、路面温度40度のコンディションのなか、24周の決勝がスタートした。

スプリントでは弟の先行を許したマルク・マルケスだったが、決勝ではスタートを決めホールショットを奪う。

3番手には唯一リアにソフトタイヤを選択したアコスタ、以下クアルタラロ、エネア・バスティアニーニ(Red Bull KTM Tech3)が続き、小椋もスタート順位である8番手をキープした。また、その後ろには21番グリッドスタートのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)がスタートを決め大幅に順位を上げている。

マルク・マルケスがトップで周回を重ねるも、ウィークを通して速さを見せているアレックス・マルケスが4周目のターン1で兄を捕らえトップの座をを奪い返す。その後ろではクアルタラロを攻略したアコスタ、バスティアニーニのKTM勢が追走していた。

レースが中盤に差し掛かると、リアにソフトを選択したことが裏目に出たのか、アコスタのペースが上がらない。上位2台を逃したくないバスティアニーニが反応し、アコスタをオーバーテイクし3番手に浮上した。

優勝争いを演じるマルケス兄弟は0.3から0.5秒差のまま周回を重ねていく。トップ2台が安定して速いラップを刻んでおり、3番手に浮上したバスティアニーニも徐々に離されていった。

終盤に入るとマルク・マルケスが弟との差を詰めようとするも、残り4周のターン7でラインを外してしまいその差は0.8秒に拡大。そこからは両者の差は1秒ほどにまで広がってしまった。どうやらマルク・マルケスがリスクを犯さず2番手をキープすることに専念したようだ。

スプリントで自ら勝機を失ってしまったアレックス・マルケスだったが、決勝では兄マルク・マルケスに隙を与えることなくトップチェッカー。初優勝同様に、最高峰クラス2勝目も地元スペインで挙げた。

2位にマルク・マルケス、3位にはバスティアニーニが入った。小椋は後方から追い上げてきたバニャイアに一度抜かされるも、終盤に抜き返し、6番手を走行していたルカ・マリーニ(ホンダ)をもオーバーテイクし6位フィニッシュ。自己ベストの5位に次ぐ、セカンドベストを更新してみせた。

次戦は9月12日から14日にかけて行われるサンマリノGP。サンマリノはヨーロッパラウンド最終戦であり、その次はいよいよ日本GPが開催される。

ここ数戦苦しい戦いが続いていた小椋だが、MotoGPマシンでの走行経験が比較的多いカタルーニャでは力強い走りを披露してくれた。次戦のサンマリノでも上位フィニッシュを達成し、母国GPに向けて弾みをつけたいところだ。

そして今年の日本GPはタイトル決定の舞台になるかもしれない。今大会でランキング2位のアレックス・マルケスが優勝したことで、サンマリノでマルク・マルケスのタイトル決定の可能性が低くなった。MotoGPライダーになって凱旋を果たす小椋の勇姿のみならず、チャンピオン決定の瞬間が見られる可能性も高い。今年の日本GPはこれらを現地で目に焼き付けてもらいたい。

2025 MotoGP 第15戦カタルーニャGP 決勝結果

画像: 初優勝に続き2勝目も地元スペインで達成したアレックス・マルケス。

初優勝に続き2勝目も地元スペインで達成したアレックス・マルケス。

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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