まとめ:オートバイ編集部
BMW「ASA(AUTOMATED SHIFT ASSISTANT)」の特徴
BMW「ASA(AUTOMATED SHIFT ASSISTANT)」の特長
1.クラッチ操作不要で扱いやすさ向上
2.走行状況に応じた変速のATモード
3.MTモードは使い慣れたシフトペダル式

R 1300 GS/GS ADVENTURE

R 1300 R(日本未発売)

R 1300 RS(日本未発売)

R 1300 RT
大型車の扱いやすさも増してくれる便利な機構
BMWの「オートマチック・シフト・アシスタント(ASA)」は、クラッチ操作なしでスムーズな発進・変速を可能にする新世代トランスミッション。分類としてはヤマハのY-AMTやカワサキの6速ATと同様のAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)の一種で、従来のMTに電動アクチュエーターと電子制御ユニットを組み合わせ、クラッチとシフトチェンジの操作をアシストするシステムである。
変速モードはATと「Mシフトモード」と呼ばれるMTモードがあり、MTモードの変速操作はハンドル上のスイッチではなく、シフトペダルを操作するおなじみの方式。スポーツライディングの醍醐味はそのままに、クラッチ操作の煩わしさを排除している。

変速時にはスロットル開度や車速、エンジン回転数などを検知してクラッチを自動で切断・接続するが、ASAはクラッチの制御機構がユニークで、アクチュエーターでロッドを直接駆動してクラッチを断続するのではなく、らせん状の溝が刻まれたギアとアームを組み合わせ、クラッチのマスターシリンダーの油圧をシームレスに変化できるよう工夫されているのが特徴。
シフトショックの少ない滑らかな変速が可能となったほか、走行状況に応じて変化するATモードのシフトスケジュールもかなり煮詰められている。
基本的にエンストがないので、R1300GSのような大型車でも低速時の扱いに不安がなく、エンジンブレーキの自然な感覚も維持されているので、スポーティな走りでの一体感を損なわない点もポイント。フラットツイン系との相性がよく、今後もラインアップ拡充が予定されている。

Mシフトモードと呼ばれるMTモード。変速はシフトペダルで行ない、メーター右側には現在のシフトポジションの表示も出されている。

オートマチックのDモード。Dマークの横には現在使用中のギアポジション表示がつき、途中任意の変速も許容してくれる。

停車時にギアをロックしてくれるパーキングモードを装備。エンジンを始動すれば自動的に解除になるので煩わしさを感じることもない。

イラストの中央に見える、らせん状の溝を切ったスパイラルギアがアクチュエーターモーターで回転し、その溝に連動したアームがクラッチマスターの油圧を変化させる。

こちらはR1300 GSアドベンチャーのエンジンを分解したところ。写真右下に見える、ケース内にまとめられたギア類などのメカがASAのシステムだ。

MTモードの変速は左足のシフトペダルで行なう。従来のMT車に慣れたライダーには違和感なく操作できるのもポイントのひとつだ。

左スイッチボックスの脇に追加されているのがAT/MTの切り替えスイッチ。他のスイッチ類はノーマル車と同様だ。

他のAMTと同様にクラッチレバーは持たない。基本的にエンストしないので、大型車の悩みである低速での取り回しも向上する。

R1300シリーズのフラットツインは低速トルクが豊かで、早めのシフトアップでもギクシャクしにくいため、ASAとの相性もいい。今後のラインアップもR 1300シリーズを中心に拡大していく予定。ちなみにGSアドベンチャーの場合、MT車との価格差は9万7000円だ。
まとめ:オートバイ編集部