まとめ:オートバイ編集部
ホンダ「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」の特徴
ホンダ「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」の特長
1.AT/MTを好みで切り替え可能
2.変速モードの種類も多彩
3.走行状況にきめ細かく対応

GOLD WING Tour

CRF1100L AfricaTwin Adventure Sports ES DCT

Rebel1100 S Edition DCT

NT1100 DCT

NC750X DCT

X-ADV
2つのクラッチがつなぐスムーズな変速システム
ホンダの二輪車用DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)は、クラッチ操作やシフトチェンジを自動化し、ライダーの意志に応じた素早く滑らかな変速を実現するトランスミッションのこと。
その名の通り2系統のクラッチを備えているのが特徴で、奇数段(1・3・5速)用と偶数段(2・4・6速)用を持つ。この2系統のクラッチを連携させて交互に使うのだが、次のギアが常に待機状態にあり、変速時には片方のクラッチを切りつつもう一方をつなげることで、トルク抜けのない連続的な変速を可能としており、変速ショックが極めて少なく、スムーズな加速を実現する。
構造的には、通常の多板湿式クラッチ2系統と、ギア機構、変速用アクチュエーター、そしてスロットル開度、エンジン回転数、車速、ブレーキ操作などの情報を常時モニタリングし、最適な変速タイミングを自動で判断するトランスミッションコントロールユニット(TCU)で構成されている。

変速モードの種類が多彩なのも特徴で、ATモード、MTモードのほか、機種によっては変速タイミングを高回転寄りとしたSモードも用意。アフリカツインやX-ADVにはオフロード走行を視野に入れた「Gスイッチ」も備わっている。また、自動変速を基本としつつ、状況に応じて手動介入できる「AT+マニュアル介入モード」であり、走行状況や好みに応じた変速を可能としている。
2010年登場のVFR1200Fに初採用されてから15年。たゆまぬ進化を続けたホンダ独自のDCTは、ツアラーからクルーザー、アドベンチャーまで多彩なモデルに採用され、世界中で高い評価を受けている。は、ツアラーからクルーザー、アドベンチャーまで多彩なモデルに採用され、世界中で高い評価を受けている。
ホンダ「DCT(デュアルクラッチトランスミッション)」のメカニズム

基本的にDCTは大型モデルに採用されており、アフリカツインやNT1100、レブル1100用のパラツインユニットにも設定される。

奇数段と偶数段のギアに2系統のクラッチが割り当てられ、これを連携させて切り換えながら変速していく。

変速モード切り替えの模式図。ATモードのDやSを選択中でもスイッチを使った手動変速は可能で、変速後にまたATに復帰する。

写真はNC750シリーズのクラッチ。2系統用意されていて、赤が奇数段、青が偶数段のギアを変速するのに使用される。

走行中は常に次のギアがクラッチを切った状態でスタンバイしており、シフトチェンジの操作が行われると瞬時に切り換わる仕組みだ。

左下に見えるのが変速用のアクチュエーター。シフトチェンジ自体はモーターを使ってシフトフォークを動かしている。

写真はゴールドウイングのハンドル右操作部。イグニッションを切ると自動的にニュートラルに戻るため、発進時は「D」ボタンを押してギアを入れてやる必要がある。

クラッチレバーは持たないためAT限定免許での運転が可能。グレーのスイッチはマニュアルモード時のシフトアップスイッチ。

一番下のボタンはシフトダウンスイッチ。駐車時にはニュートラルに戻る機構のため、パーキングブレーキを標準装備する。写真はレブル1100用。

油圧回路の見直しなど、たゆまぬ熟成を重ねたことで、最新のDCTはナチュラルな感覚で変速もスムーズ。シフトタイミングもライダーの感性にあっている。
まとめ:オートバイ編集部