2025年8耐は8月3日決勝です!
まだ6月終盤だというのに、早くも西日本の梅雨明けが発表されました。いつもなら梅雨明け→さぁ8耐、なんてタイミングなことが多いんですが、2025年の鈴鹿8時間耐久ロードレースは、8月1~3日に行なわれます。決勝スタートは8月3日、いつもの午前11時半であります。
今年の8耐は、すでに発表されていた通り、ヤマハワークスチーム「#21ヤマハレーシングチーム」が2019年以来6年ぶりに参戦することがビッグニュース! ヤマハワークスチームといえば、“絶対王者”中須賀克行を軸に、2015年から4連覇を飾ったチームで、今回はMotoGP、WSBK、全日本ロードからライダーを選抜して参戦すると発表しつつ、MotoGPからはジャック・ミラー、WSBKからアンドレア・ロカテッリを招集。もちろん全日本の代表は中須賀です。

ヤマハの8耐といえばゼッケン21 今年は、2000年ごろのワークスマシンYZF-R7的カラー!
そこに対するはホンダワークスチーム「#30HONDA HRC」で、こちらも全日本ロードの高橋巧を軸に、昨年の大会で初出場初優勝を決めて見せたMotoGPライダーのヨハン・ザルコ、これも2022年に初出場初優勝を決めたWSBKライダーのイケル・レクオーナがトリオを組みます。ホンダ陣営は当初、MotoGPライダーのルカ・マリーニの8耐参戦も考えていたようですが、マリーニは鈴鹿のテストで転倒し、負傷。その結果、経験値も豊富な上記のトリオに落ち着いたようです。

全日本ロードレース開幕戦には高橋巧が8耐への実践テストの名目でスポット参戦しました
3つ目のワークスチームはスズキワークス「#0Team SUZUKI CN CHALLENGE」。ただしこちらは、チーム名からもわかるように、昨年大きな話題を呼んだ「カーボンニュートラル」な8耐に挑むチームで、ホンダやヤマハがいる、世界耐久のメインカテゴリーであるEWCクラスではなく、実験クラスと呼ばれるエクスペリメンタルクラス。本戦からは「章典外」扱いになるのですが、チームスズキの面々は、全日本ロードレースの開幕戦・第2戦とスポット参戦して実戦テストを敢行。本気で8耐優勝を狙っていると思われます。

CNチャレンジの軸となるのはスズキテストライダー津田拓也 今年のRには羽がある!
エクスペリメンタルって言ったって「速くなるため」の装備があるエクスペリメンタルではなく、実戦データの乏しいブリヂストンのCN専用タイヤ、CN燃料やMOTUL製のCN専用オイルを使用するのですから、ガチンコで勝負をしてくると思われます。
このチームには、スズキテストライダーの津田拓也を軸に、本来ならヨシムラの正ライダーであるエティエンヌ・マッソン、さらにMoto2参戦中のアルベルト・アレナスを招集してチームを結成。CNチャレンジの「カーボンフリー」的な実効データも聞いてみたいところです。

第2戦菅生の事前テストで大転倒を喫したDUCATIチーム加賀山の水野涼のケガの回復やいかに!

オートレース宇部レーシングの目標はあくまで世界耐久チャンピオン! この鈴鹿8耐のあと、ボルドール24時間耐久にも参戦予定です!
そして全日本ロードレースを戦っているチームでは、ドゥカティワークスマシンを使用するDUCATIチームカガヤマが水野涼+レオン・ハスラム+マーセル・シュロッターのトリオで参戦し、今シーズンからBMW本社製ワークススペックエンジンを使用して全日本ロードレースに参戦しているオートレース宇部が浦本修充をエースに、ロリス・バズ+ハンネス・スーマーでチームを結成。この上記5チームが2025年鈴鹿8耐注目のチームといえると思います。

鈴鹿の事前テストにも参加していたYARTヤマハ 昨年は2位、勝ち方を覚えてきた!

スパ8耐を制したTSRホンダ 悲願の地元・鈴鹿での優勝をかなえたい!

開幕戦ル・マン24時間、第2戦スパ8耐と表彰台に乗れていないヨシムラ 世界耐久チームで8耐優勝を!
そして、鈴鹿8耐が「世界耐久選手権」の一戦として開催されていることを忘れちゃいけません。つまり、世界耐久のレギュラーチームも優勝候補なのです。ここでも、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ、そしてBMWのワークス、いやセミワークスといったほうが正解かな、その強豪も来日します。

全日本ロードレースはモトバムホンダから走る伊藤元治のエトワールでの貴重なカット!
ホンダの世界耐久のエースチームは、世界耐久第2戦「スパフランコルシャン8時間」を勝ったF.C.C.TSRホンダフランス(アラン・ティシェ/コレンティン・ペロラーリ/羽田太河)、ヤマハの世界耐久トップチームは、昨年の鈴鹿8耐で2着に入ったYARTヤマハ(カレル・ハニカ/マービン・フリッツ/ジェイソン・オハローラン)がラインアップ。カワサキは鶴田竜二率いるトリックスターレーシングがチーム運営を手がけるカワサキWEBIKEトリックスター(クリスチャン・ガマリーノ/マイク・ディ・メリオ/グレゴリー・ルブラン)が調子を上げています。BMWはWSBKと同等にこの世界耐久を重視していて、BMWモトラッドワールドエンデュランスという、バリバリのワークス体制での参戦。チーム体制はまだ明らかになっていませんが、スパ8耐ではマーカス・レイテルバーガー/シルバン・ギュントーリ/スティーブン・オデンダールが走っていましたね。鈴鹿テストにはWSBKライダーのマイケル・ファン・デル・マークが参加していましたからひょっとしてファン・デル・マークが参加?って可能性もあるかもしれませんね。
スズキは現チャンピオンチーム、ヨシムラSERT MOTULで、グレッグ・ブラックとダン・リンフットに、ここ鈴鹿8耐では、いつもはヨシムラのリザーブとしてチームに常時帯同している渥美心がチームを結成します。鈴鹿開催ということで、地元スペシャルである渥美がいるからこそ、ヨシムラはCNチャレンジにマッソンを貸し出せるってわけです。

日本人トリオではがぜん楽しみなAstemoProHondaSIR SIRはシンイチ・イトウ・レーシングですからね

8耐ではアンラッキーが続くSIRは、こんな魅力的な若いチームを送り出します!
このワークス、セミワークスチームを迎え撃つのが全日本ロードレースのレギュラーチームです。ブ厚い層を誇るホンダ陣営は、本誌でもおなじみ。伊藤真一率いるAstemo Pro Honda SIRにサプライズがありました。同チームからJSB1000クラスに参戦している野佐根航汰に、ST1000クラスを戦う荒川晃大というダブルコータに、第3の男として、なんとMoto3世界選手権を戦う山中琉聖をブッキング! 若い、フレッシュなトリオですね! ビッグバイクでのレースは初となる琉聖のCBR1000RR-Rへの対応とともに、この若い力の可能性は楽しみです!
ほかホンダ勢では、Team ATJが岩田悟&鈴木光来&國峰啄磨、桜井ホンダは全日本レギュラーの伊藤和樹、スーパーモタードキングの日浦大治朗に、オーストラリアンのジョシュ・ブルックスが加わります。

ハルクプロは全日本から名越、アジア選手権から阿部、Moto2から國井を招聘します

NCXXレーシングは左から岡部、井手、原田監督、豊島でSST優勝を狙います!

TeamTAROはSSTでなくEWCクラスを走ります!
ワークスチーム参戦に話題をさらわれちゃったヤマハ勢では、常にSSTクラス優勝を繰り広げるNCXXレーシングが井手翔太&豊島怜&岡部怜に、このチームを束ねるのが“クールデビル”原田哲也! このSST強豪チームに挑む一番手は、カワサキプラザレーシングの岩戸亮介&彌栄郡&中山耀介、さらに日本でいち早くBMWをトップカテゴリーに送り込んだTONE RT SYNCEDGE4413BMWが星野知也&吉田愛之助&ジェデゲ・ゼカライヤクワミで、同じくBMWで全日本ロードレースを戦う関口太郎は、昨年EWC世界耐久を戦った亀井雄大に、中村竜也を招聘してTeam TAROを結成。そうそう、BMWといえば忘れてはならない、純国産の世界耐久レギュラー、チームエトワールが大久保光/渡辺和樹/伊藤元治のラインアップで、鈴鹿8耐2度目の登場となります。
7月最終週や8月第一週末に行なわれる「真夏の」「灼熱の」「酷暑の」鈴鹿8耐は、ひょっとしたら2025年が最後で、2026年からは開催時期を前後にずらすかもしれない--と言われています。またしても歴史の証人になるかもしれない第46回鈴鹿8耐は、8月3日に決勝です!
文責/中村浩史