文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、松川 忍
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トライアンフ「スピードツイン1200RS」インプレ(宮崎敬一郎)

TRIUMPH
Speed Twin 1200 RS
2025年モデル
総排気量:1197cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒
シート高:810mm
車両重量:216kg
発売時期:2024年11月
税込価格:222万9000円~
排気量を感じさせない扱いやすさが最大の魅力
少し前にスピードツイン900に試乗した。スリムで軽く、そのハンドリングとエンジンは素直そのもの。どこまでも走って行きたくなるような従順さが光った。
そして今回試乗するのは、その兄貴分である1200。ラインアップはスタンダードとハイグレードショックを装備した「RS」がある。この2機種に関してはカラーリングと足まわり、ライディングモードの選択肢などが異なるが、エンジンなどのメカは共通。
エンジンは5馬力パワーアップして105PSになった。フライホイールの軽量化や高圧縮化、発電系などの見直しによる結果だそうで、これでパワーフィーリング随分変わったように思う。
これまでは極低回転域から歯切れのいいパルスを伴った、荒っぽいレスポンスで力強くダッシュするフィールが特徴で、まるでいにしえのボンネビルのような雰囲気があった。対して、この新型はずっと滑らかに吹けるようになった気がするし、実際は力強いのだが……個人的には思いのほかあっさりしているようにも感じた。
車格は900とほぼ同じ。スリムでコンパクト。900のフロントホイールは18インチだが、こちらは17インチ。その分ちょっと小さく見えたりもするが、大きいエンジンの増量分で相殺しているのか、車重は同じ216kg。取り回しは同等と思えばいいだろう。
ハンドリングはさすがに900とは差が出る。ハンドルをコジるような操作では900の方がずっと軽快で、何も考えず小手先で操れる。1200はスタンダード、RSともに、ちょっと粘るようなタッチがある。ただ、これは鈍いわけではなく、手応えが少し重いだけ。カッチリとした身のこなしをするので、かなりスポーティな機動でも節度ある反応をすると思う。

スタンダードとRSの違いは足まわりのグレードで、それがそのまま乗り心地の違いに直結している。細かく小さな衝撃を滑らかに吸収する分、低速域での乗り心地ではRSの方が上質だ。ただ、大きめの凸凹などからの衝撃では、ストロークしてからの反力が強いバネのせいなのか、減衰設定なのか、RSは硬い感触になっていた。
3速くらいで回し切るようなスポーティなコーナリングになると、RSはしっとりして突き上げもなく、スタンダードより明らかにすばらしい接地感を実現する。タイヤもスポーティなハイグリップタイヤを履いているので、その違いもあるだろうが、ハイペースになるとマッチングはいい感じだ。
スピードツイン1200は、スタンダード、RSともに、トライアンフの「モダンクラシック」ファミリーの中でも最新の走りを手に入れており、その排気量を感じさせない等身大の扱いやすさが最大の魅力。幅広い体格のライダーに門戸を開いているビッグバイクだとも言っていい。