気楽さをさらに進めたCLサーファー
フランス、ビアリッツの美しいビーチの隣で行われるヨーロッパ-最大級のバイクイベント、「Wheel and Waves」(ホイール&ウエーブス)。その’24年開催時にホンダはCL500(一部250)をベース車に指定してのカスタムコンテストを実施した。
参加者はヨーロッパ各国のホンダディーラーがセレクトしたカスタムビルダーで、ある種の国代表として各ビルダーは車両を製作して参加する。過去の例と優勝車を列記しておけば、’20年、CB1000Rをベースにした時はスイスのBrivemo Motos(ブリヴェモ モトス)がCB1000R“Africa Four”で優勝。’21年のCB650Rではポルトガル、Mototorfa Motorfa dealer(モトトルファ モトールファ ディーラー)のFenix CB650R。’22年のCMX500RebelではイタリアのMotocicli Audaci(モトチクリ アウダチ)によるcreators of the Maanboard CMX500 Rebel。’23年はDAX125で、ポルトガルのArt on Wheels(アートオンウィールズ)がTamara Alves(タマラ アルヴス)とコラボレートして“Furiosa”Dax(怒りの戦士的な映画のキャラクターを表現)を製作といった流れだった。

ベースや流行、取り上げるモチーフによって表現はさまざまで、この’24年の優勝車はオールドカフェレーサー的なイメージを投影してきた。2位はフラットトラックスタイル。そして3位となったのが、この“CLサーファー”だった。ビアリッツの会場付近にはゆったりとしたサーフィンの雰囲気が漂うとして、それを名称や造形に反映させたという作り。手がけたのはドイツの旗艦ホンダディーラー、ホンダモトラッドだ。スクランブラーとして腰高のCLをクリップオンハンドルやローダウンしてカットしたエキゾーストなどえ全体的に低く仕立て直し、メタリックシルバーの燃料タンクやブルーストライプを入れた前後のマッドガードでサーフィンムードを醸し出しているというわけだ。
入賞者もさることながら、9カ国16台の参加者からは、CL500/250のスクランブラースタイルを生かしたものやスクランブラーが内包するオンロード/オフロードの性格をどちらに振るか、振った上でどのジャンル(オフならフラットトラックやラリー、もしくは元々のスクランブラー等)に行くかという選択があって、CLにこんなバリエーションがあると見ても乗っても面白いかもと思えるほどにユニークで特徴的だった。中でもこのCLサーファーは、CLの気楽さをさらに進めた感じ(クルーザーにはベースとなったレブルがあるが、それも絶妙に避けた様子だ)でもある。カスタムのバリエーションを知るという意味でも、面白い1台だ。
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Detailed Description 詳細説明

シルバーをベースにブルーのラインを入れた燃料タンク。そのサイドにはステッチを入れたレザーパッドが置かれ、ベンチスタイルのシートも同様のデザインでまとめる。

いわゆるスカチューンの仕立てでシート下をまとめ、シート後部にはシンプルな造型のリヤフェンダーをセットした。

排気系はステンレス製の2-2ダウンタイプで、リヤタイヤ直前までで終わっているのも特徴。

エンジンやフレームには手が入らない(塗装や造型以外を制限している)。エキパイにはO2センサもマウントされている。

Wheel and Wavesの会場で。実際の展示では各国の国旗などをあしらったサーフボードを用意してその上に各車両を置き、見せる要素も深めていた。