【レビュー】トライアンフ「タイガースポーツ800」インプレ（2025年）パワフルな新開発エンジンを搭載！ 爽快ロードアドベンチャー

トライアンフ「タイガースポーツ 800」インプレ（宮崎敬一郎）

しなやかで快適な走りと取っつきやすさが魅力

近年のタイガーシリーズは850、900、1200ともにTプレーンクランクという変則的なクランク配置のトリプルエンジンを採用してきた。点火間隔の点では不規則になるが、トラクションを生み出しやすく、コシのあるトルクを味付けしやすいレイアウトだ。

だが、新たに登場したタイガースポーツ800とタイガースポーツ660は120度等間隔の3気筒。回転バランスがよく、吹けがシャープで高出力を稼ぎやすい。低回転域でよく粘るが、その回転域からのパンチ力は穏やか。3気筒ユニットのオーソドックスなレイアウトだ。

エンジンの特性から説明したのは、これがバイクのキャラクターをわかりやすく表していたからだ。タイガースポーツ800はトライアンフのアドベンチャーブランドである「タイガー」の中でも徹底的にオンロードに特化したツーリングスポーツというキャラクターに仕上がっている。

完全な新作となる800のエンジンはストリートトリプル765用がベース。低中域でコシのあるトルクを補強するため、ストロークをアップするなどして排気量を拡大している。それでも6000回転以上で元気の良くなる性格で、ピークは115PS/10750rpmを発揮。現行のオンロード寄りアドベンチャー、タイガー850スポーツがフラットな85PS/8500rpmなのと比較するとそのキャラクターがよくわかるだろう。

低回転域ではよく粘り、吹けは軽いし、回せばスポーツネイキッド並みに元気がいい。エンジンのメカノイズは少し大きくなっているが、回り方は滑らかだ。

フレームなどはタイガースポーツ660がベースなようで、850よりコンパクトだし、サストラベルも前後とも20mmほど抑えられた150mm。サスの味付けもオフ車的でソフトな850よりかなり反力を優先したセッティング。ピッチングを抑えてオンでのダイレクトなフットワークの方を補強している。

実際のところ、切り返しもツーリングバイクとしては身軽。だが、乗り心地は一般的なスタンダードスポーツよりずっとしなやか。快適で、ロングランに耐える能力がある。アドベンチャーモデルとして、走りの守備範囲、想定している路面状況は荒れ気味の舗装路といったところだと思えばわかりやすい。

660も基本的に800と同じキャラクターで、オンロードに特化したツーリングスポーツ。万能スポーツ「デイトナ660」をトルク型エンジンにし、アップライトなポジションで場所を選ばない扱いやすさを追求。サスも快適志向のものに……といった構成だ。

アドベンチャーは大柄で高価……などと身構える必要はない。エンジンもハンドリングもコミューター的で取っ付きやすく、この親しみやすさが一番の魅力だろう。今回の2機種は、ダートの走行を重視しないなら、サイズや動力性能を含め、極めて実用的で魅力的なアドベンチャースポーツだ。

トライアンフ新型「タイガースポーツ 660」

タイガースポーツシリーズの弟分となる660は、81PSを発揮するトライデント660系の3気筒ユニットを搭載。2025年モデルではライディングモードに「スポーツ」モードが加わったほか、クルーズコントロールやクイックシフターも標準装備され、標準装着タイヤもミシュランのロード5となるなど、装備面の充実も図られている。

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