トライアンフ自慢のモダンクラシックシリーズに加わったスピードツイン900は、コンパクトな車体にトルクフルなエンジンを組み合わせ、ストリートからワインディングまで、あらゆるシーンで快活な走りを楽しめる一台だ。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
▶▶▶写真はこちら|「スピードツイン900」2025年モデルの全体・各部・走行シーン(13枚)

トライアンフ「スピードツイン 900」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: TRIUMPH Speed Twin 900 2025年モデル 総排気量:899cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:780mm 車両重量:216kg 発売時期:2025年1月 税込価格:119万9000円/123万4000円

TRIUMPH
Speed Twin 900
2025年モデル

総排気量:899cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒
シート高:780mm
車両重量:216kg

発売時期:2025年1月
税込価格:119万9000円/123万4000円

意のままに操れて愉しいオシャレなスタンダード

スピードツイン900は、かつて「ストリートツイン」とネーミングされていたモデルの進化版。これまでの「ストリートツイン900」をベースに倒立フォークを採用、リアサスもアップグレードして、走りのポテンシャルを高めている。

試乗車のカラーリングは爽やかでモダンなストリート系。イメージも一新され、まるで生まれ変わろうとしているようにも見えるが、従来モデルで光っていた多くの魅力は継承している。これは嬉しいことだ。

車体は400ccクラス並みにコンパクトでスリム。よく比較されるカワサキのW800よりホイールサイズが小さい分、ひと回りほど小柄に見える。それに重心が低いのか、押し引きの手応えがかなり軽い。

パルス感が強調される270度クランクの狙い通り、バランサーで振動を抑えていても、力の波動ははっきりと主張している。1200ほど濃厚ではないが、アイドリングの少し上あたりから3600回転ほどまでのレンジが特に味わい深い。いにしえのバーチカルツインのような吹け方で、まるで生き物のように表情を変えながら……やはり趣がある。

だが、そのパワー制御にクセがあるワケではない。実に素直で、パワーモードの「レイン」など必要ないほど優しく操れ、淀みなく力強いトルクを意のままに抽出できる。言い方はおかしいかもしれないが「力を制御する」ことがすごく愉しいのだ。

画像: トライアンフ「スピードツイン 900」インプレ(宮崎敬一郎)

ハンドリングも優しい上に忠実。SSのように応答がソリッドで過度にダイレクト、というのではなく、しっとりとしたタッチながら忠実でキレもいい。結構軽快で、サスの動きもスムーズという点においてはかなりいいし、乗り心地もいい。これも魅力的だ。

こうした特性のエンジンや車体のタッチは操る人間を穏やかにする。というか、なんだか操っているだけで愉しくなってしまう要素が満載されている。

コミューターとして街中をキビキビと走るようなことをしても、のんびりと遠乗りに出かけても、このバイク、操作しているのが愉しい。疲れないどころか、いつまでも走っていたくなるような不思議な感覚なのだ。

コンパクトでパワーも手頃、扱いやすいロードスターだ。ビッグバイクを扱うのに難儀する小柄なライダーに門戸を開いたエントリーモデルとしての資質を持っている。

しかし、それよりも注目するべき魅力は「いつまでも走っていたくなる」ような不思議なゆとりをもっていること。目を三角にして峠道を責めたり、いつもハイスピードでクルーズしたい……という使い方には向かないが、いざライダーがそんなことをしようと思ったとしても、振動の少ないエンジンはそれを許してくれるし、許容の少ないリーンアングルに納得できれば峠道も愉しい。

つまり、とても懐が深い上に愉しくてオシャレな万能スタンダードバイクなわけだ。     

This article is a sponsored article by
''.