この記事ではベテランテスター宮崎敬一郎氏のお気に入りモデルを紹介します。
※スタッフの推薦は「ジャパン・バイク・オブ・ザ・イヤー」のランキングに影響はしません。また国産車だけでなく輸入車も含んでいます。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
宮崎敬一郎が選んだ2024年の推しバイク 第1位 BMW「R1300GS」
トップモデルを改革した大英断に拍手を送りたい
世界の大ヒットモデルでアドベンチャーモデルのキングでもある、BMWのGSの最新モデルとなるのがR1300GS。新たに装備されたACCや自動車高調整機構なども話題になっているアイテムだが、それよりも、エンジン、フレームの全面的な刷新に注目したい。同じテレレバーであっても構造を全面変更するなど、貪欲にあらゆるものを新開発して、軽量化、ハイパワー化、それによる機動性の向上を実現している。
だが、個人的にはこれまでと同様のGSを違う構造で実現しただけのような気がしていて、バイク自体のキャラクターは全く変わっていないと思う。違うのは余力として蓄えられたポテンシャルが高いことだろう。
このR1300GSも従来と同じく、突き抜けたスペックや走破性などは持ち合わせていない。ただ、高いレベルであらゆる場所での扱いやすさや走破性が優秀なのだ。これがいい。その集合体として、このR1300GSは「万能冒険アイテム」として比類無き使い勝手の良さ、信頼性を獲得している。
どんな路面でも躊躇なく分け入るため、オンでもオフでもつぶしが効くよう、フロントは19インチのまま。これも尖った味付けを嫌った清々しいパートのひとつだ。目先の派手なオフ性能には引っ張られることなく、万能性を選んでいる。このランキングに入れようかどうか悩んだアフリカツインの新型アドベンチャースポーツや、タイガー900GTプロも、このGSと同様に19インチを選択して頼れる万能走破性を実現したモデルだ。
とは言っても、もちろん登場したばかりのニューモデルだ。確かに優れたバイクだとは思うが、もう少し…と思えるところもたくさんある。個人的には少し安っぽく見えるようになったのは寂しいが、先代のR1250GSと乗り比べれば元気で扱いやすさが輝いている。これほど長きにわたって欧州でトップセールスを続ける人気モデルに手を入れたのだ。まずはその決断に拍手を送りたい。
ライディングポジション・足つき性
シート高:850mm(GSスポーツは870mm)
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
車体は非常にスリムで、足つきの良さはこのクラスの中でトップレベル。バランスの取れたライポジでリラックスもできる。ハンドル高はカラーで上下調整が可能だが、ノーマルのままでもかなりバランスがいい。
BMW「R1300GS」注目ポイント
BMW R1300GS 主なスペック
全長×全幅×全高 | 2210×1000×1405(STD、スクリーンロー)mm |
ホイールベース | 1520mm |
最低地上高 | NA |
シート高 | 850mm(GSスポーツは870mm、ツーリングは820-850mm) |
車両重量 | 250kg |
エンジン形式 | 空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒 |
総排気量 | 1300cc |
ボア×ストローク | 106.5×73mm |
圧縮比 | 13.3 |
最高出力 | 107kW(145PS)/7750rpm |
最大トルク | 149N・m(15.2kgf-m)/6500rpm |
燃料タンク容量 | 約19L |
変速機形式 | 6速リターン |
ステアリングヘッド角 | 63.8° |
トレール量 | 112mm |
ブレーキ形式(前・後) | Φ310mmダブルディスク・Φ285mmシングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70R19・170/60R17 |
メーカー希望小売価格 | 287万4000円~(消費税10%込) |