文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2024年2月26日に公開されたものを一部編集し転載しています。
チャンピオンになる可能性を残したのは3名でした
ランク2位と12点差でポイントリーダーの地位につくジャック ブルネルにとって、会場のあるロンドンは地元。そしてチャンピオン争いの最大のライバルだったハリ クラスは、前戦での負傷が響き最終戦は欠場となりました・・・。
これら要素からするとブルネルはかなり優位に立っているといえますが、タイトル争いの重圧との戦いはどのような状況でもハードなものです。英国アリーナクロス王者になるため、ブルネルの挑戦は10年目を迎えました。長年の悲願達成を目前にして、緊張しない人は少ないでしょう。
最終戦前の時点で、ブルネルのほかにタイトルの可能性を残すのはチームメイトのジャスティン ボーグルと、マーク マッキャン 64 YouTubeチャンネル所属のアダム チャットフィールドの両名でした。なおチームタイトルは、スターク フューチャー レーシングが86点で首位。2位のマーク マッキャン 64 YouTubeチャンネルは71点。ブルネルとボーグル、そしてエディ ウェイドの代役で前戦から加わったヤニス イルスチの3名は、チームタイトル奪取の使命を帯びて最終戦にのぞむことになります。
ライダー、チームの両タイトルの独占に成功! 歴史にその名を刻むことに!
迎えたプロメインイベント、好スタートを切ったブルネルですが、セドリック スベイラスにかわされたあとは2位をキープすることに・・・。さらにホルヘ サラゴサにパスされ3位に落ちたブルネルですが、4位のトーマス ドゥとのギャップは大きかったため、堅実にポジションを死守することにつとめました。
そして3位を守り抜いたブルネルはポイントを105まで伸ばし、欠場したハリ クラスに34点の大差をつけてライダータイトルを獲得! 年間ランクにボーグルが6位、ウェイドが16位、そしてイルスチが21位に入ったことで、チームタイトルもスターク フューチャー レーシングのものになりました。
ジャック ブルネル(スターク フューチャー レーシング)
「ベルファストでの初勝利の後、私はバイクの能力をみんなに示した! ロンドンでの最終戦に臨むのは非常にストレスがたまるもので、プレッシャーも感じた。そう! これは亡き父と、このために懸命に働いてきたみんなのためのものなんだ!」
アントン ワス(スターク フューチャー CEO兼創業者)
「我々はアリーナクロスとACU(英オート サイクル ユニオン)の継続的なサポートに感謝したいと思います。我々の広範な努力にもかかわらず、世界の特定の連盟はいまだに(電動車の)バーグがICE搭載車と対等に競争することを制限しています。とはいえ、私たちの継続的な努力は、調和のとれた共存の可能性を強調するものであることに変わりはありません。我々の究極の目標はスターク フューチャーだけでなく、より重要なこととして我々の大切な消費者がレースに参加し、バーグが提供する比類のない経験を楽しむ姿を目撃することです」
元世界モトクロス選手権王者で、スターク フューチャーのローンチ黎明期から電動モトクロス車の開発に携わったチーム監督のセバスチャン トーテリは、「我々は挑戦し、結果を残した。我々はプッシュし続けたし、これからもプッシュし続けるだろう。我々にはプランがあります」とレース後にコメントしています。いつの日にか世界最高峰レベルでの選手権で、電動車が戦う日が来るのは思うより遠いことではないのかもしれません。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)