文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2024年1月9日に公開されたものを一部編集し転載しています。
チームを率いるのは、1996年、1998年世界王者のセバスチャン トーテリ!
10年目のシーズンを迎えた英国アリーナクロス選手権は、賞金総額14万英ポンド≒2,566万円という英国屈指のモトクロスシリーズ戦です。このアニバーサリーイヤーの同シリーズの注目は、第2戦から電動モトクロッサー専業メーカーの「スターク フューチャー」チームが、ICE(内燃機関)搭載車を相手に、"トラクサス プロ メイン イベント"に挑むことでした。
なお今シーズン第1戦は2023年9月にチェスターのボールズワースで行われましたが、じつはスターク フューチャーは昨秋の開幕戦にも主催者から参加のオファーを受けていました。しかしチームがアリーナクロス参戦準備を始めたのは7月のことで、準備不足を理由に参戦を見送ったのです。
2度世界モトクロス王者に輝いたセバスチャン・トーテリが監督になって率いるチームは、10年以上欧州スーパークロス/アリーナクロスで活躍したキャリアを持つジャック ブルネル、2014年AMAスーパークロス選手権250SX東王者などの経歴を持つ米オクラホマ出身のジャスティン ボーグル、そして若手のエディ ウェイドの3名をライダーに起用しました。
記念すべき、電動モトクロッサーによる初勝利! 初タイトル獲得はあるか・・・?
幸先よく、3名のライダーは揃って予選を勝ち抜いてメインイベント決勝の出場権を獲得! 不運にもウェイドはスタートで転倒し、挽回もままならず13位フィニッシュという結果に終わりました。そしてボーグルはレース終盤まで3位の好ポジションをキープしながらも、転倒により6位まで順位を落とすことになります。
最もこの日輝いたライダーとなったブルネルは、強敵ハリ クラスとの激闘を制するなど2勝を記録し、見事スターク フューチャー チームのデビュー戦で総合優勝という快挙を達成しました。
ジャック ブルネル:「僕が聞かれたのは、本当に電動バイクに乗りたいのか、ということだけだった。僕は今、それができることをみんなに示した。僕の望みは勝つことだった。だから毎朝6時に起きて、仕事の前にトレーニングに行くんだ。そのために周回を重ね、そのためにスターク フューチャー レーシング チームとチャンスをつかんだ。バイクのフィーリングは最高だから、プッシュし続けるのが待ちきれない」
セバスチャン トーテリ : 「とても満足している。チーム全体として素晴らしい仕事をしてくれた。イギリスでのアリーナクロスは初めてだったので、順応して準備を整えなければならなかったが、最終的にはすべて完璧だった。アリーナクロスのオーガナイズは素晴らしかった。次回は2週間後にベルファストで開催される。2夜連続のイベントなので、より多くのライダーが表彰台に上れるよう頑張りたい」
スターク フューチャー チームは、1月19日と20日に北アイルランドのベルファストにある、SSEアリーナで開催される第3・4戦のためにテストとトレーニングを行うとアナウンスしています。満員のAOアリーナで繰り広げられたスターク フューチャーの快挙は、マグレなのかそれとも電動モトクロッサーの実力の証明なのか・・・が英国のモトクロスファンの間で話題となっています。
ともあれ、その答えはやがて時が明らかにしてくれるでしょう。2023/2024シーズンが終了後に、どのような年間リザルトが残されることになるのか・・・。今後のチームの戦いぶりに注目しましょう!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)