ライダー歴50年で5000台に試乗したテスター・太田安治氏が最新モデルを分析! 新型「MT-09」シリーズ、進化のポイントは車体や装備にあるという。いまの潮流から新型の乗り味を推測する。
以下、文:太田安治
画像: YAMAHA MT-09 / MT-09 SP 欧州仕様・2024年モデル 総排気量:890㏄ エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:825mm 車両重量:193kg(SPは194kg) 国内発売時期:2024年春以降

YAMAHA MT-09 / MT-09 SP
欧州仕様・2024年モデル

総排気量:890㏄
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:825mm
車両重量:193kg(SPは194kg)

国内発売時期:2024年春以降

2024年型で目立つのは車体周りの熟成。フレーム、スイングアーム、前後サスペンションといった基本骨格は受け継がれているけれど、エンジンマウントを変えてメインフレームの剛性を高め、逆にフロント周りは剛性を抑えめにしたとのこと。詳細は発表されていないけれど、ステアリングステム周りが変更されたんじゃないかな。

メーカーリリースには前後サスペンションのバネ定数(雑に言い換えればスプリングの硬さ)とダンピング特性、リアサスペンションのリンク比変更も記されているものの、数値や手法は書かれていないから乗り味の違いは想像できない。しっとり上質なハンドリングを狙ったのか、最新タイヤのブリヂストンS23と徹底的にバランスを取った結果なのか。これは乗ってみてのお楽しみだ。

画像: MT-09 2024年

MT-09
2024年

ちなみにMT-09はモデルチェンジのたびにハンドリング特性が変わっている。2014年に登場した初代は前後サスペンションのダンピングが弱めの設定で、加速/減速のスロットルワークだけでもピッチングが大きめに出て車体姿勢がギュンギュンと変わった。極端に言えばオフロードモデルっぽい動き。これはヨーロッパで『ストリートファイター』と呼ばれる、市街地を豪快に駆け回るようなジャンルのオートバイが人気を得たことが影響しているはず。

画像: MT-09 2014年

MT-09
2014年

レスポンスのいいエンジンをスロットルワークで、ストローク量の大きい前後サスペンションをブレーキでコントロールして、状況に合った旋回特性を引き出す面白さがあったし、流すように走らせていればよく動くサスペンションのおかげで乗り心地も良かったよ。

ただ、日本のライダーからは「エンジンの反応が過敏で、ピッチングも大きくてギクシャクする」という意見も多く聞いた。まあ、大型車のパワーに不慣れなライダーや、穏やかにツーリングを楽しみたいライダー向きではなかったね。

画像: MT-09 2017年

MT-09
2017年

そうした声が反映されたのか、2017年発売の2代目はサスペンションの設定を変更してストリートファイター風味からスポーツネイキッド風味へと変わり、21年にフルモデルチェンジを受けてディメンションが一新された現行モデルは、よりネイキッドらしい落ち着いたハンドリングに。タイヤの接地感が高まったし、電子制御系も一挙に進化して誰にでも扱いやすいキャラクターになった。サーキット試乗会でもガンガン走れて、個人的には完成の域に達した印象だったから、2024年モデルがスポーツ性と快適性のどちらに振れたのか興味深い。

僕は半年前にニンジャ1000からBMWのS1000Rに乗り換えたのだけれど、公道で存分にパワー感を味わえる1000cc未満の3気筒エンジンにも惹かれていたから、乗り換え候補にはストリートトリプルRSとMT-09SPも挙げていた。それだけに2024年春以降の発売に合わせて試乗できる日が待ち遠しい。

世界的にコスト/パフォーマンスの高さが絶賛されているモデルだから、国内販売価格がどうなるかも注目だね。

文:太田安治

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