東京モーターショーが一新され、初開催されることになった「ジャパンモビリティショー2023」。10月28日より一般公開される数多くの展示の中で、我々ライダーに未来を感じさせてくれる朝日電装の出展内容を一足先にご紹介したいと思う。
文・写真:河野正士

AI/クラウド連携システム(IoTセンサーシステム)

画像: AI/クラウド連携システム(IoTセンサーシステム)

各種センサー類を駆使してライダーの操作をデータ化して、集計しクラウドに集約。それをAIにかけることで、どのようなメリットを得られるか研究開発を進めているシステムです。

レースでは、ライダーの操作ログを取り、車両開発のベースにしていますが、このシステムはその走行データを、街を走る車両から取得するというものです。

ライダーの操作をすべてデジタルデータ化する=ビッグデータ化することで、新しい価値の創造や安全性の向上に活かしていきたいと考えています。朝日電装の主力製品であるAPS(アクセル・ポジション・センサー)は、その基本的な測定装置です。

アウトプットのひとつの方向としては、そこで得た操作のデータを教習所やライディングスクールなどのプログラムに活かすこともできると考えています。

朝日電装のインドの開発拠点である「ASAHIDENSO R&D INDIA PVT. LTD.」と進めているのは、二輪車EVのシェアリングサービスを進める中で、走行データや使用環境のデータをモニタリングすることで車両の維持管理を容易にし、耐久性の向上や安全性の向上を図るとともに、航続距離の表示など、利便性の向上にも繋げることができるシステムの構築です。

また操作ログの収集システムはADASにも流用できると考えています。とくに販売価格が低いコミューターは販売台数も多く、生活の一部となっている地域も多い。

その結果、低価格コミューターの事故発生率も高まります。その低価格コミューターにADASシステムを搭載するためには、システムの簡素化や低価格化が必須です。このIoTセンサーシステムは、それにも活用できると考えています。

エルゴ・スイッチ・ハンドル(Ergo Switch Handle)

画像: デザイン協力:9.5thDesign https://www.nine5thdesign.com/

デザイン協力:9.5thDesign
https://www.nine5thdesign.com/

操作性を最優先して、ハンドルスイッチやグリップの形状そのものを再定義しました。グリップは筒型から偏芯の薄型とし、それを握り込みながら親指の自然な可動域の中でスイッチ操作ができる形状としています。

既存のハンドルスイッチは、ハンドルパイプの外周にスイッチボックスを固定するため、そのボックスの外周に配置する各スイッチはハンドルパイプの中心から距離が遠くなり、親指の可動域のギリギリまたは可動域の外に配置されています。

アクセルやブレーキ&クラッチレバーを操作しながらそれのスイッチ類を操作するのは難しく、グリップを握り替える必要がありました。

そこでグリップとハンドルスイッチを一体化することで、グリップを握り混んだ状態ですべてのスイッチを操作できる様にデザインしました。

また、一般的なグリップエンドからコの字の場所に配置したグリップをデザインしました。ハンドルパイプに挟み込む従来のスイッチボックス形状から、グリップとハンドルスイッチを一体で造ることで、スイッチ類をグリップ中心に近づけて配置することができ、親指の自然な可動域の中で、スイッチ操作を可能にしました。

スロットルはツイスト式ではなく、親指を使ったスロットルを採用しています。朝日電装は二輪車用のツイスト式スロットルはもちろん、ジェットスキーが採用する人差し指を握りこむスロットルも、ATVが採用する親指を押し込むスロットルも、長く研究開発してきた歴史があります。

二輪車は長くツイスト式スロットルを採用してきましたが、操作の慣習は別として、安全性の向上を踏まえた新しいカタチにチャレンジしても良いのではないか、と考えました。エルゴスイッチハンドルでは、その提案のひとつとして、親指スロットルを採用しています。

このグリップ形状はレバー類の装着方法も変えることができ、レバー比を大きく取ることができることから小型化も実現しています。そしてこの形状はオフロード車に広く装着されているブッシュガードのような役割も果たし、転倒時にレバー類やスイッチ類の損傷を軽減することも可能です。

また、レバー類の損傷用加工が必要ありません。くわえてハンドル前面の両端にデイタイムライトを装着すれば被視認性も高めることができます。ハンドルバーの形状を変えれば、グリップ位置は自由に変更可能で、ハンドルバーにすることで既存のアクセサリーも装着可能になります。

想定しているのは、小出力EV車。グリップエンドからコの字の場所にグリップを配置することで、この形状がハンドル操作においてネガティブな要素とならないよう引き続き研究開発が必要ですが、朝日電装としていくつかの解決策も持っています。

しかし、その解決策を提示する前に、まずは二輪車における新しいハンドルとグリップ、そしてスイッチ類のカタチとその操作性を提案し、二輪車関連メーカーの方々はもちろん、ライダーを含む一般の方々から、その感想や意見を聞きたいと思っています。

EV向けAPS(アクセル・ポジション・センサー)

画像: EV向けAPS(アクセル・ポジション・センサー)

二輪車EVが増えるにあたり、その操作の基本となるアクセル操作の新しいカタチを提案したいと考えました。いま二輪車のアクセル操作はツイスト式です。しかし、それに囚われない操作方法を考えました。

想定しているのは小出力の二輪車EV。現在市場に投入されている原動機付二輪車(50ccモデル)の場合、そのアクセル操作は全開か全閉か大半です。もし、そのような使い方に限定するのであればツイスト式よりもレバー式でも対応できます。

また、ブレーキ操作と連動してスロットルを自動的にOFFにする装置をセットすればダイヤル式も可能になります。既存の慣習に囚われず、二輪以外のボタン操作も参考にしながら、あらゆるカタチをタブーなしに考えると、アクセル操作とAPSの可能性は無限にあります。

先にも説明したとおり朝日電装は、マリン、ATV、農機建機などで、あらゆるスロットル操作を研究開発してきた実績があります。そこで得た知見を二輪車EVという、新しいモビリティの操作に活かすべきだと考えました。

モビリティショーでは、その新しい操作感を体感していただき、皆さんから広くご意見を聞かせていただきたいと思っています。

一般公開は2023年10月28日から11月5日まで

ジャパンモビリティショー2023の一般公開は2023年10月28日から11月5日までとなります。朝日電装について詳しく知りたい方は、公式サイトをご確認ください。

文・写真:河野正士

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