コンストラクターの夢の実現、ロードゴーイングレーサー

今では目の字断面アルミスイングアームや各種ビレットパーツで知られる、宮崎県のウイリー。代表の富永保光さんはモトクロスライダーを経てショップ(モトショップ・ウイリー)をオープン、’80年代中盤にはオリジナルアルミフレームのエンデューロレーサーを製作した。このマシンは当時のオフロードブームとともに行われた有名エンデューロでも優勝を果たすなど実績を残したので、そちらを記憶している向きも多いかもしれない。

画像1: コンストラクターの夢の実現、ロードゴーイングレーサー

その後富永さんは以前から抱いていた「ビモータのような特別で美しい、かつ機能にあふれた車両を作りたい」という気持ちを強め、’90年代に入る頃にはロードバイクのルックスと機能(車体のよれを抑え、しっかりとした接地感を持たせるなど)を高めるスイングアーム製作を始める。

その素材は、理想とする剛性を求めるべく治具を製作し、それによって金属メーカーに特注するオリジナルのアルミ押し出しの目の字断面材。当時としては他にない、まさに先駆けと言えるやり方だった。これを母材として1本1本、時効硬化の時間も含めて速くても2日に1本というペースでしか作れないハンドメイドのスペシャルスイングアーム。当初は同店製カスタムやレーサーに使われ、’90年台半ばには実力派カスタムショップを中心に多くのユーザーが使うようになっていく。

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そしてこの「WR600RS」は、その流れを汲んで’90年代中盤に生まれた車両だ。WRはウイリー、RSはロードスター。フレームはもちろんウイリーオリジナル・アルミ7N01目の字断面材によるツインスパータイプで、エンジンはSRX600ベース。1号機はオートポリスをはじめとして各地のシングルレースで活躍し、写真の2号機で国土交通省(当時運輸省)の公道用認定型式を取得。年間99台まで生産可能な組立車となった。

1台だけ申請する改造車とも、4大メーカーとも違うが、量産を可能にした。これは初期の4輪・光岡自動車と同じだ。見てのように構成も、装備重量140kgという軽さも、ロードゴーイングレーサーという内容を持っていた。価格は当時、エンジン持ち込みなら140万円からで、この2号車にマグホイールを履いた仕様では170〜180万円程度と記された。その装備とオリジナル度からすれば、決して高くはなく、大きな魅力を持っていた。同時にこの車両の製作は、後のウイリー製品の基盤にもなった。

カスタムに携わる者なら誰もが1度は考える、究極のオリジナル車両。’90年代中盤という時代に、レーサーとしても、公道走行車両としても、そして量産可能な認可も受けるという正しいやり方で、形にされていたのだ。

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Detailed Description 詳細説明

画像1: Detailed Description 詳細説明

XLV750Rの速度計などでコンパクトにまとめられたコクピット。ステムやセパレートハンドル、フロントマスターはNC30(VFR400R)で燃料タンクはウイリー製アルミ。前後カウルもウイリー製でヘッドライトはRGV-Γ250SP用。レタリングはペティ・ペインターズ・パラダイスによる。

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フレームのスイングアームピボット左に見える「WRS01-7CC-0002」のシリアルナンバーはウイリー製WRストリート仕様第1号の2号車を意味する。その下の打刻、運輸局がこのWRに与えた正式な許可番号は「奇77奇」。奇はウイリーの所在地、宮崎県を意味するものだ。

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ツインスパーのメインフレームはウイリーオリジナルの5角目の字断面7N01-T5押し出し材製を富永さんがハンドメイドで作り、単体重量約8kg。認可にあたっては強度計算書等の多くの書類も提出した。もちろんディメンションも吟味されている。燃料/オイル込みの車両重量は140kgと、'90年代当時の2ストロークレーサーレプリカ並みの超軽量。エンジンは空冷SOHC4バルブ単気筒のSRX600をベースにSOHCエンジニアリング製鍛造ピストン/メガサイクルカム/めっきシリンダー等を使用。キャブレターはFCRφ39mmを2基備えた。

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メインフレームから伸びた前側エンジンハンガーの左側にマウントされたオイルクーラー。アールズ4.5インチ10段を縦置き装着する。

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スイングアームもウイリーオリジナルの5角目の字断面ハンドメイドで、単体重量4kg。リヤショックはクァンタム、フロントフォークはφ41mmのNC30用で、ともにアサカワスピードでセッティングしている。ホイールは撮影時でフロントにNC30用3.50-17サイズ、リヤにRS250R用5.00-17サイズを履いた。ブレーキはフロントキャリパーがNC30でディスクがサンスター、リヤはRS250R純正の組み合わせ。

取材協力:ウイリー

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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