2023年5月14日、2023 MotoGP世界選手権第5戦フランスGPが行われた。Moto3クラスではダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech3)が優勝した。これまで速さを結果に結びつけることができなかった佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)だが、今季最上位の2位表彰台を獲得した。

佐々木歩夢が今季3度目のポールポジション獲得

画像: レコード更新の速さを見せた佐々木歩夢。

レコード更新の速さを見せた佐々木歩夢。

決勝前日に行われた予選では、佐々木と山中琉聖(Gaviota GASGAS Aspar M3)がQ2から出走、鈴木竜生(Leopard Racing)、鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)、古里太陽(Honda Team Asia)の3名がQ1から出走となった。

Q1では、これまでポイントが獲得できていない古里が奮起。鈴木、鳥羽が苦戦する中、古里はセッション序盤からQ2進出圏内の上位4名に入っており、ラストアタックでも4番手タイムを記録。見事Q2進出を決めた。

鳥羽はタイムを縮めることに成功するもQ1を7番手で終了、鈴木も11位と振るわずQ2進出を逃している。

ポールポジションを争うQ2で速さを見せたのはやはり佐々木だった。トップタイムを記録しセッションを折り返すと、ラストアタックでも自身のタイムをさらに更新。オールタイムラップレコードを更新し、2位に0.5秒の大差をつけて今季3度目となるポールポジションを獲得した。2番手はディエゴ・モレイラ(MT Helmets - MSI)、3番手はオルガド(Red Bull KTM Tech3)が入った。山中が13番手、古里が14番手でQ2を終えている。

画像: 5戦中3戦で予選を制している佐々木。

5戦中3戦で予選を制している佐々木。

D.オルガドが佐々木との首位争いを制し優勝 佐々木は2位で今季初表彰台

画像: レース序盤からトップの座を守り続けたオルガド。

レース序盤からトップの座を守り続けたオルガド。

晴天の中、決勝は20周で行われた。ポールポジションの佐々木はスタートを決め、トップで1コーナーを抜けるも、次のシケインでオルガドが佐々木をオーバーテイクしトップに浮上する。佐々木同様、単独でのペースが良かったオルガドが先頭に出たことにより、レース序盤から隊列の間隔は開いていき、先頭集団は10台に絞られることに。

オルガドは佐々木、デニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)、モレイラ、ジャウマ・マシア(Leopard Racing)、イヴァン・オルトラ(Angeluss MTA Team)を従えてトップのまま周回、大きな順位変動はなく周回を重ねていく。トップ集団の後方には順位を上げてきた山中がつき、チャンスをうかがっていく。目の前を走るアンドレア・ミーニョ(CIP Green Power)が転倒し、山中は8位につけ、先頭集団の後ろにつけた。

残り10周を切ったタイミングで佐々木がオルガドに仕掛けていくが、オルガドは冷静に対応しトップの座を堅守。残り5周になり、マシアが佐々木に仕掛け2位に浮上。そこから佐々木とマシアの2位争いが勃発し、その隙にオルガドはラストスパートをかける。

マシアをなんとか攻略した佐々木はオルガドに迫るも差をつけることができずそのままの順位でフィニッシュ。オープニングラップから首位の座を譲らなかったオルガドが貫禄の走りで優勝を果たした。

ポールトゥウィンとはならなかったが、佐々木が2位でフィニッシュし今季初表彰台を獲得。ようやく速さを決勝に結びつけることができた。3位にはマシアが入っている。

前戦スペインではトップ争いを繰り広げるも、トラブルに泣いた山中は予選14位から見事な追い上げで5位でフィニッシュ。スペインから調子が上がっているだけに、今後に期待だ。

鳥羽が12位、鈴木が13位でポイント獲得。古里はポイント圏内を走っていたものの、ファイナルラップに痛恨の転倒を喫してしまい、無念のリタイアにi終わっている。

画像: 今季初表彰台を獲得した佐々木歩夢。 www.motogp.com

今季初表彰台を獲得した佐々木歩夢。

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2023 Moto3 第5戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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次戦は混戦が予想されるイタリア・ムジェロサーキット

画像: スリップストリームが効くロングストレートでは毎周に渡って順位が入れ替わる。 https://www.motogp.com/ja/gallery/2022/05/29/moto3-race-gran-premio-d-italia-oakley/423249

スリップストリームが効くロングストレートでは毎周に渡って順位が入れ替わる。

https://www.motogp.com/ja/gallery/2022/05/29/moto3-race-gran-premio-d-italia-oakley/423249

第6戦の舞台はロングストレートが特徴のムジェロサーキット。ストップ・アンド・ゴーのレイアウトであるムジェロではブレーキングが上手いライダーが本領を発揮するサーキットだが、タイヤへの攻撃性が高いため、タイヤ選択やタイヤマネジメントも重要だ。

そしてMoto3クラスにおいてはなんといっても長いストレートでのポジション争いが激しくなる。スリップストリームが効きやすいMoto3では、直線で順位の変動が激しく、最後の最後まで誰が勝つかわからない展開になることが多い。

最終コーナーをトップで通過しても、スリップを利用され、ゴールラインで逆転されてしまうこともあるので、ポジション取りも非常に重要だ。現在予選で驚異的な速さを見せている佐々木は今季のMoto3クラスで単独でタイムを出せる数少ないライダーである。

決勝でも序盤から先頭で走っていくことで、先頭集団の数を減らしていければ勝率が高くなってくるはずだ。このレースプランを遂行できる可能性が1番高いのは佐々木と言っていい。スリップをつかうことなく、自力の速さで今季初優勝を飾ってくれることを期待したい。

レポート:河村大志

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