全身カーボンパーツで固めた「Mコンペティション・パッケージ」

「名古屋モーターサイクルショー2023」のBMWブースには、BMWモトラッドが誇る最高峰のスポーツモデルが2台展示されています。今回はそのうちの1台、スーパースポーツのM1000RRの実車をじっくり見ながらご紹介していきましょう。
大きなウイングレットを装備して、前モデルよりもかなりアグレッシブになったルックスが目を惹きますが、この車両はいわゆる「Mコンペティション・パッケージ」で、各部の外装パーツにカーボンを多用した上級仕様。価格は448万8500円です。

会場でも皆さんスマホ片手に熱心に撮影されている方を多く見かけましたが、この大きなウイングは、300km/hで最大22.6kgものダウンフォースを発生させるもので、ウイングを大型化したことで、前モデルより6.3kgもダウンフォースが増加しています。フロントまわりを安定させ、コーナリングスピードを飛躍的に高めるアイテムです。

よりシャープになったフロントマスクですが、ノーズ中央のラムエアダクトは深い形状となっていて、いかにも吸入効率が高そう。アッパーカウルは当然ながらカーボン製。カーボンの織り目も整然としていて、上品ささえ感じさせます。

この「Mコンペティション・パッケージ」の大きな特徴の一つが、このフロントの大きなホイールカバー。高速で回転するホイールが発生する空気の乱流を整え、特に250km/h以上の直進時で空力効果を高めるアイテムなのですが、ナンバーのつく公道走行可能な市販車が、標準でこんなレーシングアイテムを装備していること自体が驚きです。フロントフェンダーと一体化したブレーキダクトも、キャリパーを冷却して安定した制動力を確保するレーシングアイテムです。

ステップはライダーの好みに合わせてペグの位置を細かく調整できる、ギルズ・ツーリング製。ホイールはなんとカーボンホイールが標準! という内容になっています。ちなみにパワーは212PSで、車重はこのMコンペティション・パッケージで191.8kg。スペックも、もはやここまで来るとどれほどスゴイのか想像すらつきません…。
日本仕様はETC2.0を標準装備! 公道で“M”の世界を堪能できる

とまあ、このように、レーシングマシンそのまんまという内容の新型M1000RR、Mコンペティション・パッケージなのですが、さらに驚くのは、日本仕様はETC2.0を標準装備していること! つまり、このスーパーマシンの走りの片鱗(あくまで片鱗。本領発揮はサーキットですから…)を、公道で賞味することだって可能なのです。
レーシングシーンの最先端テクノロジーを誇るマシンに、一度でいいから乗ってみたい。新型M1000RRは、そんなライダーの夢を叶えてくれる1台なわけです。そう考えたら、448万8500円という価格も、決して高いものではないのかもしれませんね。
BMW「M 1000 RR」主なスペックと価格
| 全長×全幅×全高 | 2085×899×1224mm | 
| ホイールベース | 1457mm | 
| シート高 | 832mm | 
| 車両重量 | 170kg(乾燥) | 
| エンジン形式 | 油冷/水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 | 
| 総排気量 | 999cc | 
| ボア×ストローク | 80×49.7mm | 
| 圧縮比 | 13.5 | 
| 最高出力 | 156kW(212PS)/14500rpm | 
| 最大トルク | 113N・m/11000rpm | 
| 燃料タンク容量 | 16.5L | 
| 変速機形式 | 6速リターン | 
| キャスター | 101.4mm | 
| ステアリングヘッド角度 | 66.2° | 
| タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・200/55ZR17 | 
| ブレーキ形式(前・後) | Φ320mmダブルディスク・Φ220mmシングルディスク | 
| メーカー希望小売価格 | 384万9500円~(消費税10%込) | 
文・写真:松本正雅
				
				

