SRの大ヒットは、実はヤマハにとっては予想外だった。そのSR人気が盛り上がりつつあった1980年代終盤、ヤマハは「SRの後継モデル」として新しいシングルスポーツモデルづくりをスタートさせる。しかし、SRに取って代わるはずのSRXがデビューしてもSR熱が冷めなかったことがわかるのは、それからずいぶん後のことだった。
文:中村浩史/写真:松川 忍

ヤマハ「SRX600」ライディングポジション・足つき性

シート高:760mm
ライダーの身長・体重:178cm・80kg

画像1: ヤマハ「SRX600」ライディングポジション・足つき性

本文中でも触れたが、この頃の市販モデルは足つき性がよく、SRXもシート高は760mmと、身長160cmもあれば足つきに心配はなかった。当時のロードモデルは、タイヤやサスペンションの性能が現代ほどではなく、思い切ってフロント荷重できず、リア車高も低いのが当たり前だった。

画像2: ヤマハ「SRX600」ライディングポジション・足つき性

ヤマハ「SRX600」各部装備・ディテール解説

画像: セル装着をガンとして受け付けなかったSRファンと違って、SRX勢はセル装着を歓迎。エンジンでは、他には初代モデルから大きな変更はなかった。点火はCDIからフルトラに、ミッションや減速比も同一だ。ドライサンプ式のため、エキパイ横にオイルタンクを配して走行風を効率よく当て、冷却性を向上させている。

セル装着をガンとして受け付けなかったSRファンと違って、SRX勢はセル装着を歓迎。エンジンでは、他には初代モデルから大きな変更はなかった。点火はCDIからフルトラに、ミッションや減速比も同一だ。ドライサンプ式のため、エキパイ横にオイルタンクを配して走行風を効率よく当て、冷却性を向上させている。

画像: エンジン本体は前期モデル最終型のまま、吸排気系を容量アップして新設計。中低速回転域でのレスポンス向上を果たしたという。

エンジン本体は前期モデル最終型のまま、吸排気系を容量アップして新設計。中低速回転域でのレスポンス向上を果たしたという。

画像: ホイールデザインが変更され、小径ダブルディスクからΦ320mmの大径シングルディスク+4ピストンキャリパーへ。写真のディスクローターは交換済みの非ノーマル。フロントフォークは初期モデルのΦ36mmからΦ38mmと大径化され、タイヤも前17/後18から前後17インチに変更された。

ホイールデザインが変更され、小径ダブルディスクからΦ320mmの大径シングルディスク+4ピストンキャリパーへ。写真のディスクローターは交換済みの非ノーマル。フロントフォークは初期モデルのΦ36mmからΦ38mmと大径化され、タイヤも前17/後18から前後17インチに変更された。

画像: 異径2眼メーター、丸ヘッドライトのデザインも美しいSRXらしいショット。ライトステーやウィンカーボディといった小物ひとつひとつもデザインが施されている。

異径2眼メーター、丸ヘッドライトのデザインも美しいSRXらしいショット。ライトステーやウィンカーボディといった小物ひとつひとつもデザインが施されている。

画像: 初代SRXから受け継がれた、センターにスピード、追加したようなタコメーターのデザインを持つメーターパネル。ハンドルはトップブリッジ上にマウントされる。

初代SRXから受け継がれた、センターにスピード、追加したようなタコメーターのデザインを持つメーターパネル。ハンドルはトップブリッジ上にマウントされる。

画像: タンク容量は1L減って14L。タンクデザインは初代モデルを踏襲しブラッシュアップ。この頃のヤマハモデルの「ミラクリエイト」と呼ばれる塗装は美しさが際立っていた。

タンク容量は1L減って14L。タンクデザインは初代モデルを踏襲しブラッシュアップ。この頃のヤマハモデルの「ミラクリエイト」と呼ばれる塗装は美しさが際立っていた。

SRX600ヒストリー

SRX600(1985年)

1985年4月に発売された初期モデルのSRX600。空冷単気筒というエンジン形式以外は、なにもかもSRとは違う新世代スポーツシングルとして、中型免許枠の400cc、大型免許枠の600ccが併売された。アルミフレーム、フルカウル、水冷4気筒エンジンが当たり前だった1980年代中盤に、この異色の空冷シングルは、当初の予定を大きく上回る販売台数を達成する大ヒットモデルとなった。

画像2: 【インプレ・歴史解説】ヤマハ「SRX600」|608cc単気筒スポーツにいま乗って感じたこと、SRとSRXの関係性やちがいを解説
画像: EXHAUST SOUNDS "SRX600" 1985 www.youtube.com

EXHAUST SOUNDS "SRX600" 1985

www.youtube.com

SRX600(1988年)

ホイールデザインを変更、ダブルディスクを大径シングルとするなど、マイナーチェンジされた2本サス最終モデルがこれ。18インチホイールは17インチに変更され、写真の最終モデルではラジアルタイヤも標準装備。

画像3: 【インプレ・歴史解説】ヤマハ「SRX600」|608cc単気筒スポーツにいま乗って感じたこと、SRとSRXの関係性やちがいを解説

DOHCの高回転よりも常用回転域の力強さを狙って、あえてDOHCとせずSOHCヘッドを搭載したSRX400/600。後期型ではセルスターターを搭載し、デジタル制御のフルトランジスタ点火を採用。400は33PS、600は42PSをマークしていた。

後期型いちばんのトピックは2本サスを排してモノクロスサスとしたこと。フレーム、スイングアームも新設計となったものの、重量は+4kgに留まっていた。

ヤマハ「SRX600」主なスペック

※1990年モデルのスペック

全長×全幅×全高2090×720×1045mm
ホイールベース1425mm
最低地上高140mm
シート高760mm
乾燥重量149kg
エンジン形式空冷4ストSOHC4バルブ単気筒
総排気量608cc
ボア×ストローク96.0×84.0mm
圧縮比8.5
最高出力42PS/6500rpm
最大トルク4.9kg-m/5500rpm
燃料タンク容量14L
変速機形式5速リターン
キャスター角24゜35′
トレール量92mm
タイヤサイズ(前・後)110/70R17・140/70R17
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
発売当時価格55万9000円(消費税抜き)

文:中村浩史/写真:松川 忍

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