1911年に設立され、110年以上の歴史の中で様々な排気量のモデルを生み出してきたベネリ。2016年8月からは巨大企業『GEERY』の資本参加を受け、古豪ベネリは新生ベネリとして、着実に名門復活への歩みを加速させている。

ビッグ・ファイブに数えられるイタリア生まれの古豪

画像: ビッグ・ファイブに数えられるイタリア生まれの古豪

ベネリの始まりは1911年。母テレサ・ベネリが6人の息子に安定した仕事を与えようと、全ての資産を投じて作業場を設立。当初は整備工場を運営し、四輪・二輪用スペアパーツを製造していたが、1919年に初となる2ストローク75ccエンジンを完成させた。その2年後の1921年12月にベネリ初のオートバイである『Velomotore』が誕生した。

Benelli Velomotore(1921)

2ストローク98ccエンジン搭載のTouringと125ccエンジン搭載Sportのライトウェイトバイク。1923年には147cc仕様も追加された。

画像: Benelli Velomotore(1921)

Benelli 175スポーツ(1921)

画像: Benelli 175スポーツ(1921)

Benelli 175グランスポーツモンツァ(1933)

画像: Benelli 175グランスポーツモンツァ(1933)

イタリア国内外のレースで活躍、1950年には250cc世界チャンピオンに

1923年から参戦したイタリア選手権で勝利。1930年代には欧州各国のレースでも数々の栄冠を獲得。ベネリの名は欧州全土に知れ渡るようになる。1939年には当時の最高峰レースであるマン島TTレースで250ccライトウェイトクラスで優勝を果たしている。

画像: イタリア国内外のレースで活躍、1950年には250cc世界チャンピオンに

1940年代にはスーパーチャージャー搭載の水冷250cc並列4気筒レーサーを発表するが、第二次世界大戦により、レース活動は休止。大戦後に開催された世界GPでは過給器が禁止となったため、この革新的なエンジンがレースで活躍することはなかった。

とはいえ、ワークスライダーとしてダリオ・アンブロジーニを起用し、初開催の1949年に2位、翌年にはシリーズタイトルを獲得、世界チャンピオンに輝いた。その後、マイク・ヘイルウッドやヤーノ・サーリネンといった歴史に名を残す名ライダーもベネリに乗っている。

▲6人兄弟の末っ子、「トニーノ」ことアントニオがベネリのテストライダー兼レーシングライダーを務めた。

多気筒モデルのパイオニア世界初の250cc4気筒市販車も

第二次大戦前に800人の従業員を擁する企業にまで成長していたベネリ。市販車では1951年に代表的なモデル『レオンチーノ』を発表する。『レティツィア』と共に、数カ月で2000台以上を販売するほどの好調な売れ行きとなり、まさにベネリの屋台骨とも言える名車の誕生だった。

Benelli レオンチーノ(1951)

画像: Benelli レオンチーノ(1951)

その後、1970年代を前に、世界中のメーカーが次世代のフラッグシップとして、革新的なビッグバイクを発表していくなかで、ベネリは1971年に並列2気筒650ccエンジン搭載のトルネード650を発売する。1972年になると自動車メーカーのデ・トマソグループとなり、1975年には世界初の6気筒市販車、750seiをリリースした。ホンダのCBXよりも数年早い。実は250cc4気筒エンジンを搭載した市販車もベネリのQUATTRO 250が世界初で1977年のことだ。

この6年後、水冷初の250cc4気筒エンジン搭載のスズキGS250FWが登場することからも、ベネリが多気筒モデルのパイオニアであることが分かる。

Benelli レオンチーノ250

画像: 1951年に発売されたレオンチーノのオマージュにより誕生したレオンチーノ250。特徴的なイタリアンデザインを採用しつつ、乗りやすさを追求した最新モデル。64万9000円

1951年に発売されたレオンチーノのオマージュにより誕生したレオンチーノ250。特徴的なイタリアンデザインを採用しつつ、乗りやすさを追求した最新モデル。64万9000円

Benelli トルネード650(1971)

画像: Benelli トルネード650(1971)

Benelli 750sei(1975)

画像: Benelli 750sei(1975)

Benelli 900Tre(2002)

画像: ▲2002年に発売されたトルネード900Treは個性的な3気筒SSモデル。ラジエーターをシート下に配置し、ヘッドライト両サイドのダクトを通ってテールのファンによって冷却する構造。

▲2002年に発売されたトルネード900Treは個性的な3気筒SSモデル。ラジエーターをシート下に配置し、ヘッドライト両サイドのダクトを通ってテールのファンによって冷却する構造。

巨大企業GEELYの資本参加でイタリアの名門復活の兆し

2005年からは中国に本拠地を持つQ.J.グループに吸収されたベネリだが、車両の企画やデザインは今もイタリア、ペーザロで行われ、レオンチーノやTRK502など、ベネリの新たな主力モデルが誕生している。

2016年、ベネリは大きな転機を迎える。ダイムラーの筆頭株主でボルボやロータスなど有名ブランドを傘下に収める世界有数の巨大企業GEELYの資本参加を受けることとなった。大きな資金を得たことで、新型車両の開発も積極的で勢いづいたベネリは、イタリアでTRK502/Xが3年連続で販売台数1位を獲得。メーカー別のシェアでも昨年トップに輝いた。日本国内では2021年からプロトが輸入元となり、初年度からTNT125がヒット。

さらに、2022年はクラシックタイプのインペリアーレ400を導入し人気となった。古豪ベネリは日本国内でも「新生ベネリ」として名門復活への歩みを加速している。

画像1: 巨大企業GEELYの資本参加でイタリアの名門復活の兆し

欧州だけでなくアジアや南米、アフリカなどグローバルに展開する強みを活かし、TNT125(写真上)などの小排気量から、インペリアーレ400(写真下)のようなクラシックタイプ、名車の名を受け継ぐスクランブラーのレオンチーノ250など、豊富なラインアップを誇る。

画像2: 巨大企業GEELYの資本参加でイタリアの名門復活の兆し

Benelli TRK 502/X

画像: ▲イタリアで最も売れているバイクのBenelli TRK 502/X。日本国内導入が待たれる、扱いやすいアドベンチャーモデルだ。

▲イタリアで最も売れているバイクのBenelli TRK 502/X。日本国内導入が待たれる、扱いやすいアドベンチャーモデルだ。

まとめ:オートバイ編集部/取材協力:PLOT

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