1969年に登場したレジャーバイク、ダックスホンダST50。50年の時を隔ててよみがえったダックス125は現行ホンダ125ccシリーズのミニサイズ担当。けれどDaxにはモンキーにもGROMにもない「誰かと一緒に」な楽しみが込められている。オートバイ編集部・中村が次男坊とタンデムツーリングしてきました♪
文:中村浩史/写真:森 浩輔

──大きくなったらバイク乗るか?
「もちろん!」
こんな会話が、親父は嬉しい。

モンキーよりもグイグイ強くハンターよりもヒラヒラ走る

そのDax、走ってすぐにわかるのは、力強い加速だ。ホンダ原付ニ種エンジンの第二世代、ロングストロークの空冷単気筒エンジン+自動遠心クラッチの組み合わせは、ハンターカブ&C125と同じなんだけれど、Daxはひときわ力強く感じる。

Daxが力強いと感じる原因のひとつは、Daxが吸排気系で低中回転トルク型にしていることと、Daxの車重がやや軽いこと。前後スプロケット比の2次減速比でも違いがあって、加速型に振ってあるのはC125→ハンターカブ→Daxの順だ。

しかし、エンジンもギアレシオも同一、動力源も同じなだけに、車体剛性の高さと車体重心の低さがそう感じさせるのだと思う。ハンターカブ&C125のバックボーンフレームと違って、Daxはスチールプレス製のメインチューブがしっかりした構造(初代Daxでは鋼板Tボーンフレームと呼んでいた)としているから、フレームのわずかなしなりやたわみもハンター&C125より少なく、よりダイレクトに前に進むのではないか。

さらに、この125ccの3モデルの中で、Daxだけが12インチホイールを履き、それゆえ重心も低い。それも「しっかり前に進む」=力強く感じる要因なのだろう。ちなみに同じ12インチを履くモンキーよりもロード向けタイヤを履いているから、キャラクターはモンキーよりもGROMに近い。

画像: ホンダ「ダックス125」2人乗りインプレ(中村浩史)

スーパーカブ譲りの自動遠心クラッチを駆使しての走行はイージーのひとこと。シフトペダルの作動ストロークも大きいから、遠慮なくガチャンと踏みつけてしまってよろしい。モンキー&GROMに採用された5速ミッションがないのが悔しいけれど、なんのDaxは4速ワイドミッションで、ちまちまシフトチェンジしなくても走れる、と思えばいいのだ。

出力特性としては、トルクとギア比の組み合わせのせいか、60km/hくらいまでの力強さが印象的。最高速度は100km/hに届かないくらいだが、タンデム時のシティランに非力さを感じないためにも、この速度域に力強さを出しているのだと思う。

シフトアップはつま先側を、シフトダウンはカカト側を踏んづけて走り、停止時には例によってロータリーミッションとなるため、つま先側シフトで4速→ニュートラルにシフトできる。このニュートラル出しを忘れて信号待ちしていると、青信号と同時に4速発進でよろよろよろっとスタートすることになるので注意! このシーソーペダルと停車時ロータリーミッションは5分も走れば慣れるけれど、時々うっかりしちゃうのはご愛敬だ。

AT限定免許でも乗れて、クツの甲側が傷まないと書いたけれど、この自動遠心クラッチ型式は、ビギナーが最も恐れるであろう「エンスト」が皆無となるのも、大きなメリットのひとつだ。信号青スタートのうっかり4速発進でも、スピードが乗らないまでも、エンストすることはない。

ハンドリングは、同じ12インチホイールを履くモンキーよりもどっしり安定方向。モンキーよりもホイールベースが55mmも長いだけに、直進安定性がよく、これはタンデムを考えたからでもあるのだろう。

つまりDaxは、ハンターカブのがっしり感を軽快に、C125の華奢さをガッチリ方向に、そしてモンキーのシャープな動きを安定方向としたモデルだと思う。さらにエンジンが力強く、タンデムも可能という欲張りなキャラクターを持っているのだ。

これが、人気のホンダ原付ニ種最新モデルの完成度。新世代のレジャーバイクが、このDaxなのだ。
「今度のやつはシートが長いね。足置くところもあるし、低いし、座りやすいよ」と次男が言う。今まで、近所をちょろりとしか乗ってことなかった男を、ちょっと遠出に連れ出してみる。
――今日は遠くまで行こうぜ。

わけわからず、バイクに「ちゃんと」乗れるのが楽しみでついてくる次男。身長178cmの後ろに乗るには、145cmの次男がちょうどいい。このまま大きくなられると、またタンデムの機会は減っちゃうかもしれないね。

自宅を出て、一路南へ。本当は山にでもショートツーリングに連れて行こうと思ったけれど、なにがしかのエサがないと素直については来ない。
――前に行ったさ、横浜の美味いハンバーガー食いに行こうぜ。

ウキウキでついてくる次男。居住性のいいタンデムシートに、30分を過ぎても1時間を過ぎてもなかなか音を上げない。途中、信号待ちでは、やれオレはデカいバイクに乗るんだとか、クルマよりバイクが欲しいんだよね、なんてイキってる。オヤジもそんな時期、あったぞ(笑)。
「おとうさ、信号待ちの後にガクンて出るのやめて」
――お、そうか。ゆっくり出るわ。

モンキーにはない、Dax特有のロー発進でのダッシュの良さを楽しんでいたら、それがタンデムライダーには不評だったわけだ。それからは、加減速もゆっくり、ジェントルな運転を心がけることになった。

片道50㎞ほどだから、途中で1回休憩を入れてみる。タンデムライダーのインプレも聞いてやるか。――後ろ乗っててどーよ。モンキーと比べて椅子が長いだろ。
「座りやすいよ。あとさ、手で掴まるとこもあってイイね。ただイスが硬い。お尻痛くなっちゃう」
――あ、それおとうも感じたわ。お尻の片っぽ、痛くなるよな。
「あとね、やっぱバイク気持ちいいね。クルマだと退屈なんだよ」
 ほぉ、お前、案外バイク乗りに向いてるのかもしれないな。

画像: 今回、次男坊を連れ出す口実にしたのが、港ヨコハマの精肉店「尾島商店」が展開するミートカフェオジマ。実はここ、レーシングライダーの加賀山就臣の中学時代からの友人が経営する店で、ユッキーに紹介してもらったお店なのだ。 神奈川県横浜市中区野毛町2-9

今回、次男坊を連れ出す口実にしたのが、港ヨコハマの精肉店「尾島商店」が展開するミートカフェオジマ。実はここ、レーシングライダーの加賀山就臣の中学時代からの友人が経営する店で、ユッキーに紹介してもらったお店なのだ。

神奈川県横浜市中区野毛町2-9

画像2: ホンダ「ダックス125」タンデム・インプレッション|こどもといっしょに、どっか行こう!
画像: ミートカフェオジマの超人気メニューが、このチーズバーガー(1120円)。お肉屋さんのカフェだけに、ステーキ、ハンバーグの肉料理はもちろん、パテからこだわった絶品です!

ミートカフェオジマの超人気メニューが、このチーズバーガー(1120円)。お肉屋さんのカフェだけに、ステーキ、ハンバーグの肉料理はもちろん、パテからこだわった絶品です!

親子の緊張を解きほぐしたDaxのタンデム特性

実は、久しぶりのタンデムだった。それも、息子を乗せての、わりとしっかりした距離を走るショートラン。最初はオヤジも息子も緊張していたけれど、オヤジはDaxのタンデム適性のよさに、息子は初めてのバイクでの遠出の気持ちよさにリラックスしたのだろう、帰り道は信号待ちのたびに話す、楽しいタンデムツーリングだ。

これが成人を後ろに乗せるとなるとちょっと窮屈だけれど、小中学生とのタンデムならば、すごく快適に走ることができる。一般道の速度ならば力強さも申し分ないし、前後サスペンションだって硬すぎ柔らかすぎが、まるで気にならない。
「これ、お兄ちゃんもお母さんも乗るの、狭いよね。オレのだね、ここ」

休日の午前中に家を出て、お昼過ぎには帰ってくるショートランを終えて、いっちょ前に独占欲まで出てきてやがる。よかった、楽しそうだ。
「オレさ、何歳からバイクの免許取れるの? 高校生はいいの?」
――おぉ、16歳からだな。
「16歳になったら、すぐに免許取るから、おとう、これちょうだいね」
ま、そんな会話も嬉しいね。

画像: 「おとう免許取ったらコレちょうだいね♪」「え…う、うん」

「おとう免許取ったらコレちょうだいね♪」「え…う、うん」

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