変化していくモチーフを別メーカーパーツ加工で補完する

1974年にWGP(世界グランプリ)に復帰し、当時4ストロークが幅を利かせながらも2ストロークが速さを見せ出した最高峰の500クラス。ここにロータリーディスクバルブ・水冷スクエア4気筒エンジンを持ったファクトリーマシン、RG500(XR14)を開発したスズキ。

翌’75年には500クラス初勝利を挙げる(バリー・シーン)と、’76年には世界タイトルを獲得。’77年にも連続タイトル(ともにシーン)を得た。4年に渡る開発と熟成の賜物と言えるXR14、その最終’77年型にしてシーン2度目のタイトル獲得車のルックスを再現したというのが、この車両だ。

画像1: 変化していくモチーフを別メーカーパーツ加工で補完する

製作者、そしてオーナーは、ごあじさん。バイクや4輪をいじるのも、乗るのも好きという人で、以前もごあじさん製作のバリー・シーン初優勝年度(’75年)仕様XR14レプリカを紹介している。

この車両も基本的な成り立ちやベースはその車両と同じで、朽ちていたRG250Γを再生しつつ、こうしたレプリカルックにカスタムした。各部をきれいにし、磨き、必要なパーツは用意するか再生し……という手法も同じ。最初の状態の写真も見せていただいたが、本当によくある朽ちたバイクだった。今では仲間の集まりやツーリングでおもに使われているというから、よくここまでレストアされたな、と思うのがまずはのポイントだ。

もうひとつのポイントは、モチーフ車の変化をうまく捉えたことだろう。同じXR14とは言え、年式、場合によってはレースごとに仕様は変わっていた。ライダーのゼッケンすらころころ変わっていた時代だ。XR14も変わる。内容はさておき、フロントカウルも丸みを帯びて少し大きくなり、テールカウルも’74-’75年のダックテールではなく、フロントに合わせたラウンド形状になる。

画像2: 変化していくモチーフを別メーカーパーツ加工で補完する

その造形を、ごあじさんは流用という形で解決した。’75年仕様では海外製カウルを使ったところを、こちらの’76年仕様ではフロントカウルにヤマハTZ250用を延長して装着。リヤも形状に近い汎用品を探してフィッティングした。カラーリングも当時のシーン車=ヘロン・スズキのノンスポンサーカラーを自家塗装で仕上げた。

ごあじさんは自身が仕立てた’75年と’77年のふたつのXR14レプリカを2022年のクラシックMOTOフェスタにも出展。その時にはバリー・シーンレプリカスーツ(当時風のレザースーツを探したそう)やヘルメットを着用し、デモランでも楽しそうにその姿を見せてくれた。モチーフの変化を再現する手法も、なるほどと思えたのだ。

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1977年に自身2度めにして最後となるタイトルを獲得したXR14バリー・シーン車を再現。もう1台のRG250Γ・RG500レプリカ('75年・シーン初優勝仕様)で使われていたヨーロッパ製レプリカカウルでなく、こちらのフロントカウルはTZ250用を一部延長して使っている。ヘッドライトも収まり、ウインカーも装着されているのでミラーを加えれば公道走行もできる(ナンバーも取得している)。

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「RG250Γ」の刻印が見えるトップブリッジは'80年代のセレクト(フシミレーシング製)。エンジン回転計や水温計はRG250Γのノーマルだ。

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燃料タンクはΓ純正。スポンサーカラーでないことにこだわり、ヘロン(イギリスを拠点にスズキのサテライトチームを運営)カラーを選択した。

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シートカウルは汎用品を装着。サイドのFABERGEは香水メーカーで、このロゴステッカーをはじめ各部ステッカーやペイントは自作だ。

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2.15-16/2.15-18インチのホイールや国産市販車初採用のアルミフレーム、水冷並列2気筒エンジンなどはΓのノーマルをきれいに再生したもの。

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リヤまわりもRG250Γ純正をレストア。排気チャンバーはSRSスガヤ製、ステップはO&Tなど、RG250Γ現役当時のパーツも巧みに使われている。

取材協力:車両オーナー・ごあじさん

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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