電動車によるロードレース選手権である「MotoE」の、サマーブレイク明け最初の戦いの舞台となったのは、オーストリア・レッドブルリンクでした。2022年8月20日〜21日の決勝では、第4戦オランダ終了時点で最多勝(3勝)を記録しているブラジルのエリック・グラナド(LCR E-チーム)がレース1とレース2を完全勝利し、ランキング首位のドミニク・エガーター(ダイナボルト・インタクトGP MotoE)との差を詰めることに成功しました!
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年8月22日に公開されたものを転載しています。

レース1でE.グラナドが4勝目!! そして日本の大久保光が4位入賞!!

8月19日の予選では、エリック・グラナドがポールポジションを獲得! 意外? なことですが、近年のMotoEでの最速ライダーのひとりであるグラナドにとって、今ラウンドが初のポールポジション獲得の機会でした。

予選2位はM.カサディ(ポンス レーシング40)、3位はM.フェラーリ(フェロ グレシーニ MotoE)、4位はK.ザンノーニ(オンゲッタ SIC58 スクアドラコルセ)で、ランキング首位のD.エガーターは5位にとどまりました。

20日のレース1で、ホールショットを獲得したのはM.カサディでした。一方M.フェラーリは1コーナー出口でクラッシュ! 2コーナーではブラッドリー・スミス(ウィズU GRT RNF MotoEチーム)が転倒し、メディカルセンター行きとなる波乱の幕開けとなりました。

Twitter: @MotoGP tweet

twitter.com

2周目の2コーナーで、グラナドはK.ザンノーニをパスして2番手に浮上。そして4周目1コーナーでエガーターがザンノーニを抜いて3位となり、チャンピオンシップを争う両者が首位のM.カサディを追走する構図が出来上がりました。

カサディとグラナドのバトルは、6周目の1コーナーでグラナドがミスからワイドライン走行することでタイムをロス。ファイナルラップでカサディはグラナドに対する差を盤石のものとして、これで勝負は決したと観る者の多くを確信させました。しかし・・・。

Twitter: @MotoGP tweet

twitter.com

なんとカサディは最終コーナーでクラッシュ! 労せずに首位に立ったグラナドが、2位エガーターに約1.2秒の差をつけて今シーズン4勝目をゲットしました!

Twitter: @MotoGP tweet

twitter.com
画像: オーストリアラウンドのレース1に勝利したE.グラナド(右)。チームメイトのM.ポンスも、3位に入賞しました。 e-team.lcr.mc

オーストリアラウンドのレース1に勝利したE.グラナド(右)。チームメイトのM.ポンスも、3位に入賞しました。

e-team.lcr.mc

3位にはグラナドのチームメイトのM.ポンスが入賞。そして4位の座は、その順位をめぐって激しいバトルを繰り広げた日本人唯一のMotoEライダーの大久保光(アヴァント アジョ MotoE)が獲得。次戦での日本人初のMotoE表彰台を期待させる、素晴らしい走りを披露しました。

画像: E.ガルゾ、A.エスクリチとのバトルを制し、レース1の4位に入った大久保光。今シーズンは残すところあと1ラウンド2レースですが、有終の美を飾る活躍を期待しましょう! ajo.fi

E.ガルゾ、A.エスクリチとのバトルを制し、レース1の4位に入った大久保光。今シーズンは残すところあと1ラウンド2レースですが、有終の美を飾る活躍を期待しましょう!

ajo.fi

MotoE2022 第5戦オーストリア レース1 リザルト
1 51 エリック・グラナド LCR E-Team 11'55.3130
2 77 ドミニク・エガーター Dynavolt Intact GP MotoE +1.271
3 71 ミケル・ポンス LCR E-Team +1.224
4 78 大久保 光 Avant Ajo MotoE +3.369
5 4 エクトル・ガルゾ Tech3 E-racing +3.589
6 17 アレイシ・エスクリチ Tech3 E-racing +3.619

残るはあと1ラウンド・・・タイトル争いの行方に注目です!

8月21日のレース2は、前日のレース1同様にM.カサディがホールショット獲得! 2019年度MotoE王者のM.フェラーリは最初の1コーナーでグラナドをパスして2位に浮上しますが、3周目の序盤でグラなどはフェラーリを抜き返し、首位カサディのテールに迫りました。

Twitter: @MotoGP tweet

twitter.com

残り4周でグラナドはカサディをパスして首位に浮上。タイトルを争うライバルのエガーターは、逃げるグラナドを追い上げることを試みますが、両者の間に入るかたちでM.ポンスが2位を獲得。2戦連続のLCR E-チームのダブル・ポディウムを実現するとともに、ポンスが2位になったことでチームメイトのグラナドに最高のアシストをプレゼントしました。

Twitter: @MotoGP tweet

twitter.com

MotoE2022 第5戦オーストリア レース2 リザルト
1 51 エリック・グラナド LCR E-Team 11'54.4640
2 71 ミケル・ポンス LCR E-Team +0.248
3 77 ドミニク・エガーター Dynavolt Intact GP MotoE +0.428
4 27 マティア・カサディ Pons Racing 40 +0.482
5 17 アレイシ・エスクリチ Tech3 E-racing +2.641
6 18 シャビ・カルデルス Avintia Esponsorama Racing +2.769

画像: 昨年度は惜しくも、わずか7点差でジョルディ・トーレスにタイトルを奪取され年間2位に甘んじたD.エガーター。MotoE初タイトル獲得をかけて、最終戦サンマリノでE.グラナドと戦うことになります。 www.intactgp.de

昨年度は惜しくも、わずか7点差でジョルディ・トーレスにタイトルを奪取され年間2位に甘んじたD.エガーター。MotoE初タイトル獲得をかけて、最終戦サンマリノでE.グラナドと戦うことになります。

www.intactgp.de

MotoEは初年度からずっと、電動車を使うゆえのインフラやロジスティックスの問題から、欧州のMotoGPラウンドの併催イベントとして行われてきました。それは今年も変わらず、MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの各クラスの最終決戦よりかなり先に、今年のMotoEチャンピオンを決める戦いが9月2〜4日のサンマリノ(ミサノ)で行われます。

オーストリアの2レースの結果により、ランキング首位のエガーターと2位グラナドのポイント差は17.5点まで縮まりました。MotoE第6戦・・・最終戦で得ることが可能なポイントの最大値は50点ですから、グラナドにも逆転の目は十分にあるでしょう。最後に笑うことになるのはエガーター、グラナド、どちらになるか? 最終戦の熱いバトルを期待しましょう!

MotoE2022 ランキング ※2022年8月21日時点
1. D.エガーター スイス 194
2. E.グラナド ブラジル 176.5
3. M.フェラーリ イタリア 121.5
4. M.ポンス スペイン 115
5. M.カサディ イタリア 111
6. 大久保 光 日本 79.5

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

This article is a sponsored article by
''.