長きにわたるパンデミックで、旅はかつての思い出になっていた。泊まりがけのツーリングはもう1年ほどしていない。春の訪れを感じつつ、何かきっかけが欲しいと思っていたところ、まん防が解除された。直後には名古屋モーターサイクルショーが初開催される。リブートするには、ちょっとつらいくらいがいい。250ccでめいっぱい走ってみたくなった。
文・写真:西野鉄兵

ホンダ「CRF250ラリー」のツーリング性能をレビュー

画像: ホンダ「CRF250ラリー」のツーリング性能をレビュー

積載性

CRF250ラリーは使い勝手のいい荷掛フックを標準装備。ただ、ノーマル状態では樹脂のテールカウルにバッグを直置きするかたちとなり、長距離を走ればまず違いなく傷がつく。

そこでシートクッション製品を敷いてみました。養生テープで貼り付けていて見栄えはよくないけれどクッション性はいい感じ。無傷で800kmの旅を完遂。

今回は広報車でしたが、愛車だったらまずすぐにリアキャリアを付けます。それが一番間違いなし。同じ理由から養生テープを過剰なほどにベタベタ貼って、傷がつくのを防止しています。


画像: 積載性

シートの硬さ・ライディングポジション

行きは300kmくらいまでお尻の痛みは気にならなかった。しかしそこから宿までラスト50kmは辛い感じに。帰りは、50kmほどで早くも痛みが発生。疲れもあっただろうけど、お尻の痛みって蓄積されるんですよね。

ただCRF250ラリーは、ライディングポジションの自由度が高いのが特長。同じ250ccでも小ぶりなネイキッドとちがい、ゆったり乗れます。お尻が痛くなったら当たるポイントをずらせるし、気分転換がてら立ち上がるのもラクラク。

画像1: シートの硬さ・ライディングポジション

175cm・70kgの僕の場合、400cc以下のバイクは少し窮屈に感じることも多々あるのですが、CRF250ラリーはジャストサイズといえるもの。それもフルサイズオフロード車の魅力ですね。

CRF250ラリーは脚長モデルの〈S〉タイプもあるけれど、今回の車両はスタンダードモデル。シート高は830mm(〈S〉は885mm)。サスの沈み込みも大きく、跨ってしまえば両足かかとまで接地しました。

オフロードをバリバリ走る人には〈S〉がいいのでしょうけど、オンロード主体の旅好きにはスタンダードの方が扱いがラクなはずです。


画像2: シートの硬さ・ライディングポジション

実測燃費・航続可能距離

今回のツーリングの総走行距離は823km。メーターに表示される平均燃費は38.3km/Lを記録。

画像1: 実測燃費・航続可能距離

給油回数は、走り終えた後も入れて計3回。油種はレギュラー。

【実測燃費】
1回目:311.3km÷8.8L=約35.3km/L
2回目:318.3km÷8.71L=約36.5km/L
3回目:193.6km÷5.4L=約35.8km/L

高速道路走行が中心となった今回のツーリング。ビビりな僕は2回目の給油も目盛りがひとつになってからそれ以上は踏み込めませんでした。

計算上の航続可能距離は、平均燃費が35km/Lだとして、35km/L×12L=420km。400km毎は危険だけど、350km毎を目安に給油してもよさそう。


画像2: 実測燃費・航続可能距離

高速道路の巡航性能

スクリーン、ハンドガード、脚まわりのカウルは偉大。細身なバイクなのに、風を受けている感覚があまりなく、覚悟していたよりもはるかに快適でした。

エンジンは気持ちよく吹け上がり、SAから本線への合流時も心配は一切なし。120km/h制限の道路で105km/hくらいで走っているクルマを追い越すのは少し大変。

画像1: 高速道路の巡航性能

個人的には90km/h~110km/hが快適で、回転数は6速で約5500~6500rpmといったところ。そんなことからも、新東名よりも東名の方が、得意になって走れました。


画像2: 高速道路の巡航性能

まとめ

CRF250ラリーは、2020年末にフルモデルチェンジを遂げています。車体は軽量化され、サスペンションのストローク量をアップ。エンジンの力強さも増しました。そして、燃料タンク容量を2L増量。ステップ・ハンドル・シートの防振対策も強化されています。

今回久しぶりにCRF250ラリーに乗り、あらためて旅バイクとしてのトータルバランスに優れているモデルだと感じた次第です。

オンオフ走れて軽くて扱いやすく、長旅もどんとこい。考えようによっては、排気量問わずすべてのバイクで最強のオールラウンダーといえるかも。街乗りも林道走行もスイスイできて、高速道路だってかなり快適に走れちゃうわけですからね。

画像1: まとめ

欠点というか唯一気になったのは、サイドスタンド。近年のホンダ車あるあるともいえるんですが、他社のバイクと比べて直立しがち。そのため、ちょっとした傾斜地でもその都度向きを考えて停めていました(僕は心配性なので、けっこうシビアだと思いますが)。

それ以外にネガなことは、帰り道にお尻が痛くなったことくらいなもので、あとはすべて大満足。

これまで一台持ちなら、400cc~800cc程度のバイクがベストだと個人的には思っていましたが、CRF250ラリーは250ccだけどあり。あり中のあり。いや250ccだからこそいいのだと思います。デカいバイクだとオフロード性能の高いモデルでも林道走行の腕が問われますからね。

画像2: まとめ

ホンダ「CRF250ラリー」の主なスペック・価格

※表の 《 》内は〈s〉タイプ。
当記事の車両はスタンダードタイプです。

全長×全幅×全高2200×920×1355《2230×920×1415》mm
ホイールベース1435《1455》mm
最低地上高220《275》mm
シート高830《885》mm
車両重量152kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量249cc
ボア×ストローク76.0×55.0mm
圧縮比10.7
最高出力18kW(24PS)/9000rpm
最大トルク23N・m(2.3kgf・m)/6500rpm
燃料タンク容量12L
変速機形式6速リターン
キャスター角27゜30'
トレール量109mm
タイヤサイズ(前・後)80/100-21M/C 51P・120/80-18M/C 62P
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格74万1400円(消費税10%込)

文・写真:西野鉄兵

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