オートバイ界にとっての1980年代とは現在につながる技術的要件が一気に実用化へと歩を進めた時代だった。水冷エンジン、カウリング、アルミフレーム、キャストホイールにラジアルタイヤ──。その80年代の扉を力強く開け放ったのがヤマハが「最後の2ストローク」として開発した2ストスーパースポーツ、RZ250。発売日は80年8月5日。オートバイ界の1980年代は、この日に幕を開けた。
文:中村浩史/写真:森 浩輔

ヤマハ「RZ250」各部装備・ディテール解説

画像: 人気モデル、空冷2ストローク2気筒のRD250の後を受けて登場したRZ250は、そのスタイリングからメカニズム、すべてが新しいブランニューモデルだった。パフォーマンスの上でも、当時はやり始めていた250ccのプロダクションレースで、グリッドのほぼすべてをヤマハRD250とスズキRG250が占めていたのに、RZ発売後はアッという間にRZ250だらけになったほどだった。

人気モデル、空冷2ストローク2気筒のRD250の後を受けて登場したRZ250は、そのスタイリングからメカニズム、すべてが新しいブランニューモデルだった。パフォーマンスの上でも、当時はやり始めていた250ccのプロダクションレースで、グリッドのほぼすべてをヤマハRD250とスズキRG250が占めていたのに、RZ発売後はアッという間にRZ250だらけになったほどだった。

画像: 軽量スチールフレーム RZがTZレプリカと呼ばれたのは、水冷エンジンはもちろん、モノクロスサスペンションを採用したフレーム構造も理由のひとつだった。ダブルクレードルフレームとリンクレスのリアサスペンションの構造がよくわかる。

軽量スチールフレーム

RZがTZレプリカと呼ばれたのは、水冷エンジンはもちろん、モノクロスサスペンションを採用したフレーム構造も理由のひとつだった。ダブルクレードルフレームとリンクレスのリアサスペンションの構造がよくわかる。

画像: 市販2ストロークモデルに水冷方式を取り入れたRZ。排気ガスの浄化に安定した冷却が必要だったことからの必然の水冷エンジンだった。表面のつるんとしたシリンダー肌、大きなラジエターが新時代到来を告げていた。

市販2ストロークモデルに水冷方式を取り入れたRZ。排気ガスの浄化に安定した冷却が必要だったことからの必然の水冷エンジンだった。表面のつるんとしたシリンダー肌、大きなラジエターが新時代到来を告げていた。

画像: 写真はアフターマーケットパーツのチャンバーに交換されているが、ノーマルで多段膨張室を持つチャンバー風マフラーを採用していたのがRZだった。

写真はアフターマーケットパーツのチャンバーに交換されているが、ノーマルで多段膨張室を持つチャンバー風マフラーを採用していたのがRZだった。

画像: 写真のRZに装着されていたのは、当時ヤマハ2ストロークに強かったSSイシイ製チャンバー。乾いた2ストチャンバーサウンドが懐かしかった。

写真のRZに装着されていたのは、当時ヤマハ2ストロークに強かったSSイシイ製チャンバー。乾いた2ストチャンバーサウンドが懐かしかった。

画像: ノーマルはこちら側にディスクローターのないシングルディスク。当時からRZ350のホイールとマスターシリンダーを使用したWディスク化が流行っていた。

ノーマルはこちら側にディスクローターのないシングルディスク。当時からRZ350のホイールとマスターシリンダーを使用したWディスク化が流行っていた。

画像: 前年のRDにはディスクブレーキが採用されていたのに、RZはドラムブレーキが標準装備。これはヤマハが軽量化を考えたためで、兄貴分のRZ350もドラムだった。

前年のRDにはディスクブレーキが採用されていたのに、RZはドラムブレーキが標準装備。これはヤマハが軽量化を考えたためで、兄貴分のRZ350もドラムだった。

画像: 丸パイプフレームに補強のスタビライザーを入れ、そこにリアサスを受けたモノクロスリアサスペンション。ホイールはスキーリフトのポールを参考としたデザイン。

丸パイプフレームに補強のスタビライザーを入れ、そこにリアサスを受けたモノクロスリアサスペンション。ホイールはスキーリフトのポールを参考としたデザイン。

画像: 当時まだカウル装着が認可されていなかったため、RZは当然のノンカウル、初カウル採用は83年型RZ250Rから。写真のダブルホーンはXJ400またはRZ350用を装着。

当時まだカウル装着が認可されていなかったため、RZは当然のノンカウル、初カウル採用は83年型RZ250Rから。写真のダブルホーンはXJ400またはRZ350用を装着。

画像: デザインスケッチまで起こされてデザイン検討が重ねられた2眼メーター。タコメーター内に水温計がビルトインされているのは、まさに憧れの装備だった。

デザインスケッチまで起こされてデザイン検討が重ねられた2眼メーター。タコメーター内に水温計がビルトインされているのは、まさに憧れの装備だった。

画像: 写真の車両ではアップハンドルに交換されているが、RZのブラック一色のノーマルハンドルは、前傾姿勢が取れる低いコンチハンとして人気が高かった。

写真の車両ではアップハンドルに交換されているが、RZのブラック一色のノーマルハンドルは、前傾姿勢が取れる低いコンチハンとして人気が高かった。

画像: なにより新鮮だったRZのフューエルタンクフォルム。写真の車両もタンクのみ載せ替えしてあって、この初期型純正色の前には350の青ストライプタンクを載せていた。

なにより新鮮だったRZのフューエルタンクフォルム。写真の車両もタンクのみ載せ替えしてあって、この初期型純正色の前には350の青ストライプタンクを載せていた。

画像: 前後に段つきがある、タンデムシート側がやや持ち上げられたシートもRD時代までにはなかったRZの特徴のひとつ。撮影した車両はややシートアンコがへたっていた。

前後に段つきがある、タンデムシート側がやや持ち上げられたシートもRD時代までにはなかったRZの特徴のひとつ。撮影した車両はややシートアンコがへたっていた。

画像: 当時まだ珍しかったテールカウル。先代のRD250は、最後期モデルでもダブルシートと小テールの組み合わせで、このパーツひとつとってもスポーティだった。

当時まだ珍しかったテールカウル。先代のRD250は、最後期モデルでもダブルシートと小テールの組み合わせで、このパーツひとつとってもスポーティだった。

文:中村浩史/写真:森 浩輔
この記事は月刊『オートバイ』2022年2月号特別付録「RIDE」に収録した内容を一部編集して掲載しています。

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