2010年の初代モデルから続いたリッタークラス空冷4気筒の系譜も、2021年秋発売のCB1100 EXとCB1100 RSのファイナルエディションをもって国内販売向けの生産を終了。惜しまれつつも最終版となったCB1100系のトラディショナルモデル、CB1100 EXの走りを今回はテストしてみました!
談:伊藤真一/まとめ:宮﨑 健太郎/写真:松川 忍

絶妙なタイヤサイズの選定が非常に、好ましく思えるCB1100 EXのハンドリング

1970~1980年代が主流で、最近では少なくなった前後18インチホイールのオンロードスポーツですが、その種のモデルに乗ったことがある方なら理解していただきやすいと思いますが、リア側に対して、フロント側がちょっと遅れて入ってくるイメージ…と表現した方が皆さんに伝わりますかね? いい意味で昔のオンロードスポーツっぽい走りで、意識してそういうハンドリングにまとめ上げているのかもしれません。

画像2: ホンダ「CB1100 EX Final Edition」インプレ(伊藤真一)

タイヤサイズの選定も絶妙ですね。フロントが120でリアが140ですが、この選定により前後18インチながらコーナーでアンダーが出ない、すごくニュートラルなハンドリングが生み出されています。リア140というと車格の割に細く思えますが、走らせているとき細いとは全然感じないです。これがワンサイズ太くなると、接地感のズレとかに敏感になってしまうと思います。2017年に試乗したモデルよりも、サスペンションは熟成された印象で、さらに良くなっていると感じました。気になることが多い、ハンドルバークランプ部のラバーマウントも、コーナーを走っているときにグニャっと動くような感触もなく、とても好ましく思いました。

キャスター角が寝ていることもあって、直進時もコーナリング時もあまり操作に対して神経質な動きをせず、気を遣う必要がないのも良いですね。今回の試乗コースは都内から高速道路を使って伊豆方面に向かいましたが、ロケが2月だったこともあり高速道路の印象は…寒い‼ です(苦笑)。普段はプロテクション効果が微妙なカウルやスクリーンが装着されているバイクに乗るくらいなら、ネイキッドに乗る方が良い…と言ってますが、今回だけは寒さに負けてスクリーンが欲しいと思ってしまいましたね。撮影スタッフは昔風の布垂れ風防とか良いかも、と言ってましたが、EXがトラディショナルなスタイリングだからといって、それを付けるのはちょっとやり過ぎかな、と思います(笑)。

画像3: ホンダ「CB1100 EX Final Edition」インプレ(伊藤真一)

大排気量車ですから、高速道路が苦手ということは全くないですけど、EXは法定速度内のスピードでストレスを感じず楽しめるバイク。スポークホイールだから…ではないと思いますが、高速域での操作に対する反応はすべて遅れ気味なので。まぁ目くじらを立てて走らせるようなバイクではありませんので、キャラクターに合った特性と感じました。

車重255kgに対し、最高出力は90馬力ですが、試乗している間は結構5速を多用していました。最近の大排気量車では公道の場合、走り出したらすぐ6速に入って、そのまま走り続けるみたいな乗り方をするのが多いですけど、EXの場合はギアをしっかり選んで走った方が楽しめますね。あとトルクの出方とかも、ハンドリング同様に昔のバイクっぽさを感じました。

大排気量空冷4気筒のご先祖である「K0」っぽさを感じさせるCB1100 EXのエンジンフィーリング

2010年の初期のCB1100は、スロットル操作に対して「ドン」とつくような感じがありましたが、12年後のEXファイナルエディションでは「トン」というレベルに抑えられており、操作に対して「フワッ」とつくようになっていて乗りやすいです。

以前ロングラン研究所でCB1300 SFに試乗したとき、エンブレがあまり効かないなと感じたのですが、このEXも同じようなフィーリングでエンブレが効かない感じでした。スロットルをオフにしたとき、触媒を守るためにあまり燃焼カットをしないためなのかもしれません。

ただ、それで乗りづらいということは全くなくて、変に強くエンブレがかかるよりも走りやすいです。ミッションはすごくタッチが良くて、3速以上ではクラッチを使わず走ってました。

2018年にRSに乗ったときも、このエンジンはホンダコレクションホールが完調に整備したK0(CB750FOUR)のフィーリングを彷彿させると感じましたが、今回試乗したEXにも「K0っぽさ」を感じましたね。自分がK0について本当に詳しいわけではありませんが、EXはK0リバイバルというか、昔乗ったことがあるバイクみたいな、懐かしさというか親しみやすさを覚えました。

画像4: ホンダ「CB1100 EX Final Edition」インプレ(伊藤真一)

K0みたいに4本マフラーを付けたら良いかなとも思いましたが、EXのマフラーは全く音がしない…というか、ちょうど良い感じで走らせている周囲に音が溶け込んでいく感じで、とても良い音量と音質だと思いました。自分はマフラー交換を楽しみたいタイプですけど、EXの場合マフラー換えてしまうと排圧の変化などで乗り味も変わってしまうかもしれないので、純正のままで換えなくても良いかなと思いました。

ブレーキは、フロントはガツンと強く効くタイプではなく、ジワッと効くタイプですね。キャリパーはアキシャルマウントですが、効き始めとパッドの離れがわかりやすいので、この手のモデルでしたらラジアルマウントよりも自分は好きですね。リア側はパッドを押している感じがわかりずらかったのですが、ある意味その辺をボカすことで高級感ある使い心地を狙っているのかもしれません。コントロール自体は、非常にしやすかったです。

まとめとしては、自分が購入する車両を友人に譲る話は…とりあえず一旦保留ですね(笑)。CB1100 EXファイナルエディションは、自分がバイク降りる年齢まで手元に置いといても良いかも、と思える1台でした。

画像5: ホンダ「CB1100 EX Final Edition」インプレ(伊藤真一)

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